谷口悟朗監督に聞く、アニメ「ジャングル大帝」の魅力は「『アバター』とはひと味違う奥行き!」
'09年にフジ系で放送されたスペシャルアニメ「ジャングル大帝 〜勇気が未来を変える〜」のDVDが15日に発売された。
'65年に日本初の長編カラーアニメとして誕生した手塚治虫原作の「ジャングル大帝」を現代によみがえらせたのは、アニメ「コードギアス 反逆のルルーシュ」シリーズなどで知られる谷口悟朗監督。'65年当時の作品では未開の地だったジャングルが、人間に保護された「ネオジャングル」へと舞台を変えたが、子どもライオンのレオが家族や人間たちとかかわりながら成長していくというテーマは普遍。脚本はバラエティー番組などで活躍する構成作家の鈴木おさむが担当し、手塚プロダクション制作によるクオリティーの高い“手描きアニメーション”も見応え十分の本作について、監督に話を聞いた。
――なぜ今「ジャングル大帝」という手塚作品の代表作を作ることに?
「まず手塚作品が現在置かれている状況からお話しすると、手塚治虫は“マンガの神様”と評されていますが、それでかえって小さい子どもが作品を手にしづらくなったのではと思うんです。本来、それは手塚先生が望んだことではありません。今もう一度、子どもたちと親御さんたちに作品を見てもらうために何かしたい、また、フジテレビも夜のゴールデンタイムに定期的にアニメ作品を放送していきたいという意図があり、今回のお話につながっていったんです」
――そうした中、本作を手掛けることにプレッシャーはありましたか?
「全くありませんでした(笑)。私自身、一度は手塚プロへの就職を志したこともあったので、一緒にお仕事ができることは感慨深かったです。それに、本作は今までに何度もアニメ化されてきた“古典”のような作品ですから、純粋に、素直にアニメと向き合えるいい機会でした」
――「ネオジャングル」という設定にしたのはなぜですか?
「当時は新鮮だったジャングルの描写も今は見慣れてしまったでしょう? 原作のまま“未開のジャングル”を描いても説得力に欠ける。今は人間が自然を保護する時代ですから、じゃあ、人間の保護区である『ネオジャングル』があったら、レオたちはどう成長していくのか? と、話を発展させていったというわけです。脚本に鈴木おさむさんが入ってくれたおかげで、、一般の方々にすっと入ってくる物語になったと思います」
――レオをはじめ、動物たちの動きが非常に愛くるしいですが、参考にしたものはありますか?
「映画『風の谷のナウシカ』('84年)です。ナウシカが連れている小動物がいるじゃないですか? あれが肩や頭に乗ってちょこちょこ動いているのが子どもの目を引きつけ、物語に引き込むんですよね。今作にはたくさんの動物が出てきて、しかもそれぞれが個性豊かに動くよう苦心しましたが、そこは手塚プロの大ベテラン、総作画監督の瀬谷新二さんの力が大きかった。天野喜孝先生による非常に完成度が高いキャラクターを動かすのにも高い技術が必要とされまして、そこは本当に苦労してやりました」
――レオの父親役に時任三郎、母親役に松嶋菜々子、凶暴なヒョウのトト役に船越英一郎といった豪華な俳優陣が参加しています。起用の決め手は?
「子役や動物役は技術のある声優さんが合いますし、対して、役者さんが持つ存在感がキャラクターの説明に役立つ場合もありますから、おのおの得意分野の方を起用してはと提案しました。ただ実は、船越さんは僕の中では“声優枠”だったんですよ(笑)。やってみたらやはり、芝居を“声で伝える”感覚を持っていらっしゃって上手でしたね。一方で、時任さんと松嶋さんはキャラクターが考えていることを声だけでは説明しきれない、という芝居をあえてしてくださった。だからこそ、レオが『お父さんとお母さんは何を考えているの?』と自分で考えて自立できる。本当にいい方々が集まってくれました。これも手塚作品の“無形の力”のたまものだと思います」
――最後に、監督が考える本作の一番の見どころを教えてください。
「今の時代にCGでなく手描きを中心としたアニメをTVスペシャルでやるなんて奇跡的です。日本のアニメが培ってきた歴史や、多くの細かい技術が感じられるはず。特に今回使っている撮影技術は相当にハイレベルなんです。例えば、セル画を重ねて撮影する際に、空気遠近(遠くのものはぼやけて色もくすんで見えること)を感じられるようにする技術が随所にある。2度、3度と見ていただければ、最初に見た時には気付かなかったことを発見できると思います。『アバター』とはまた一味違う奥行きを楽しんでいただけるはずです!」
DVD「ジャングル大帝 〜勇気が未来を変える〜」
発売中 【通常版】3990円(税込)/【特装版】6825円(税込)ポニーキャニオン
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