東京国際映画祭グランプリは仏映画『最強のふたり』に! 『キツツキと雨』は審査員特別賞
第24回東京国際映画祭が10月30日に閉幕。今年は「信じよう映画の力」をテーマに、様々な作品が計315回上映され、4万1648人を動員した。クロージングセレモニーでは各賞の受賞式が行われ、東京サクラグランプリは、エリック・トレダノ監督&オリヴィエ・ナカシュ監督によるフランス映画『最強のふたり』が受賞、役所広司と小栗旬が共演した沖田修一監督作『キツツキと雨』は審査員特別賞に輝いた。
『最強のふたり』は、車椅子生活を送る富豪と、彼を介護するアフリカ系青年が、最初はぶつかり合いながらも交流を深めていくという感動作。本作では、富豪役のフランソワ・クリュゼと、アフリカ系青年役のオマール・シーのふたりが最優秀男優賞も受賞した。残念ながら3人は来場しておらず、代わりに駐日フランス大使がトロフィーを受け取り、受賞の栄誉に対する喜びを語った。最優秀女優賞はアイルランド映画『アルバート・ノッブス』のグレン・クローズが受賞した。
『最強のふたり』と審査で接戦だったのが、審査員特別賞を受賞した沖田修一監督作『キツツキと雨』だ。沖田監督はトロフィーを手に「びっくりして、うまくしゃべれる自信がないです」と舞い上がった様子で壇上に。「日本映画のコンペティション出品作が1本ってことで、大きなプレッシャーを背負いました。観客がたくさん笑ってくれたと聞いて、それだけで十分と思いつつ、無心ではいられませんでした。地方ロケでたくさんの方の力を借りて作った映画なので、本当に嬉しいです」。
今回も、若くて新しい才能が開花した感のある東京国際映画祭。最優秀芸術貢献賞を受賞した『転山』のドゥ・ジャーイー監督は「こんな賞を、専門的に映画を勉強したことがなく、ただ夢を持っていただけの私にくださってよろしいんですか?」と松葉杖を手に興奮のスピーチ。観客賞を受賞した『ガザを飛ぶブタ』のシルヴァン・エスティバル監督も「初めての監督作で、初めての映画賞の受賞、初来日と、初めて尽くしで嬉しいです」と嬉しそうにスピーチした。
審査委員長のエドワード・R・プレスマンは、「日本は今回大変な年だったと思うけど、素晴らしい映画祭が開催され、私たちもとっても嬉しく思ってます」と感慨深い表情で語った。「映画は寺院であり、教会であり、その時代を象徴するものです。今回は、移民と移民や階級と階級のぶつかり合いなどをテーマにした作品が幾つか見られました。『最強のふたり』もぶつかり合いながら、その中で調和と喜びを見つけていく過程を丁寧に描いています」。
最後に、東京国際映画祭のチェアマン依田巽が今年の映画祭の感想を述べた。「今年は3.11以降、非常に苦労しました。例年だと最終日までゲストがいらっしゃるんですが、今回は来場されなかったりもしました。でも、ビデオメッセージで熱い思いが伝わったのではないかと。来年は25回という記念すべき映画祭になります」と、未来へ向けて力強い発言をして締めくくった。確かに多くの受賞者が登壇できなかったことは残念だったが、3.11以降少なくなっていた、ジャッキー・チェンら海外の大物ゲストも来日してくれた東京国際映画祭は、多くの人に元気を与えてくれたに違いない。【取材・文/山崎伸子】
<コンペティション部門受賞結果>
■東京サクラグランプリ:『最強のふたり』(フランス、エリック・トレダノ監督&オリヴィエ・ナカシュ監督)
■審査員特別賞:『キツツキと雨』(日本、沖田修一監督)
■最優秀監督賞:リューベン・オストルンド監督『プレイ』(スウェーデン=デンマーク=フランス)
■最優秀男優賞:フランソワ・クリュゼ、オマール・シー(『最強のふたり』)
■最優秀女優賞:グレン・クローズ(アイルランド『アルバート・ノッブス』)
■最優秀芸術貢献賞:『転山』(中国、ドゥ・ジャーイー監督)、『デタッチメント』(アメリカ、トニー・ケイ監督)
■観客賞:『ガザを飛ぶブタ』(フランス=ベルギー、シルヴァン・エスティバル監督)
<natural TIFF部門受賞結果>
TOYOTA Earth Grand Plix:『鏡は嘘をつかない』(インドネシア、カミーラ・アンディニ監督)
審査員特別賞:『ハッピー・ピープル タイガで暮らす一年』(ドイツ、ヴェルナー・ヘルツォーク&ドミトリー・ワシュコフ監督)
<アジアの風部門受賞結果>
■最優秀アジア映画賞:『クリスマス・イブ』(フィリピン、ジェフリー・ジェトゥリアン監督)
■アジア映画賞スペシャル・メンション:『TATSUMI』(シンガポール、エリック・クー監督)、『鏡は嘘をつかない』(インドネシア、カミーラ・アンディニ監督)、『ラジニカーントのロボット』(インド、S・シャンカル監督)
<日本映画・ある視点部門受賞結果>
作品賞:『ももいろそらを』(小林啓一監督)
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