地域の新たな魅力を再発見―地方ならではの“暮らし”のリノベーション

住まいを探していると、最近は「リノベーション」という言葉が数多く見受けられるようになった。また、地方への移住に対する関心が高まる中で、中古物件のリノベーションなども人気を集めている。

地方でのリノベーションの魅力やメリットについて、「東京R不動産」 などを運営するR不動産株式会社 代表取締役・吉里裕也さんの解説を交えて紹介する。R不動産は現在、東京のみならず金沢、湘南、京都、神戸など地方都市でも展開、現在全国10の拠点を持っている、中古物件や景観の良い物件に強い不動産屋だ。また、さまざまな地方の「暮らし」を伝える「real local」(リアル・ローカル)という媒体も運営している。

兵庫県篠山市の、築100年超の古民家を含む空き家数棟を、リノベーションして複合型宿泊施設に再生した「NIPPONIA(ニッポニア)」
  • 兵庫県篠山市の、築100年超の古民家を含む空き家数棟を、リノベーションして複合型宿泊施設に再生した「NIPPONIA(ニッポニア)」

まずは、リノベーションについて基本的な知識を整理しておこう。同じように住居の改修を意味する「リフォーム」という言葉もあるが、両者の本質は似て非なるものだ。

「リノベーションは改修よりも大きなアクションが特徴です。リノベーションを“Re”+イノベーション、リフォームを“Re”+フォーム、と捉えるとわかりやすいもしれません」と吉里さんは説明する。

老朽化した設備やインテリアなどを改修するという点では、リフォームもリノベーションも同じ。だが、“部分的な改修”というイメージのリフォームに対して、リノベーションの改修は時には建物の価値そのものを向上させるという大きなアクションとなる。

長野県長野市、善光寺から徒歩1分の場所にできたゲストハウス「DOT HOSTEL NAGANO」。築100年を超えた元旅籠の建物をリノベーションして宿に。オーナーは東京からの移住者
  • 長野県長野市、善光寺から徒歩1分の場所にできたゲストハウス「DOT HOSTEL NAGANO」。築100年を超えた元旅籠の建物をリノベーションして宿に。オーナーは東京からの移住者
利用者は外国人宿泊者が全体の8~9割を占めるという
  • 利用者は外国人宿泊者が全体の8~9割を占めるという

近年では、首都圏から地方都市へ移住しようとする人が、その地域に残る古くて味わいのある建物をリノベーションして豊かに暮らす、というケースも増えている。「地方ごとにその地域が持つ固有の文化・歴史とつながった、古い建物がそのまま残っているケースも多いのです」と吉里さん。古い建物を取り壊して新しい建物へと代わっていくのは、全国各地で見られる当たり前の風景だが、古い建物だから備わっている「物語」も含めて活かす。もちろん首都圏にもそうした建物はあるが、地域ごとの特色と共に、古い建物をリノベーションして暮らすという楽しみがそこにはあるという。

また、そうした古い建物は賃貸でも売買でも新築と比べて安価であることが多い点も魅力ではある。しかし、こうした物件に惹きつけられる人たちの多くは、価格とは別の価値を見いだしている。

「例えば、金沢や京都なら、昔ながらの町家をリノベーションして暮らすことは、その地方ならではの住み方の楽しみと言えるでしょう」

石川県金沢市の、築80年の町家を購入してリノベーション。現在、カフェ&設計事務所&住居として使われている。左がリノベ前、右がリノベ後
  • 石川県金沢市の、築80年の町家を購入してリノベーション。現在、カフェ&設計事務所&住居として使われている。左がリノベ前、右がリノベ後
1階は豆をテーマにしたカフェとして営業
  • 1階は豆をテーマにしたカフェとして営業

北出健展さん・美由紀さん夫妻は現在、東京と石川県金沢市に事務所を構えている。金沢では古くから残っている町家を購入して、事務所兼住居にリノベーションを施した。

一級建築士の健展さんの設計事務所とともに、美由紀さんが店主を務めるカフェ「豆月」もオープン。観光客で賑わうひがし茶屋街の外れにあるこの店は、地元の人々だけではなく、金沢に移り住みたい人たちも立ち寄る場所になっている。

移住するのは簡単なことではない。それまでの生活や仕事の基盤を移し変えるわけなので、一大決心だ。けれども、画一化された住まいでなく、歴史を重ね、唯一無二の趣きを備えた家との出会いを果たした人たちが、「これは縁だ」と移り住み、手をかけてリノベーションを行って住まう。そんな人たちが静かに増えている。

また、その地域の古い建物に、新たな価値を見出し、リノベーションを施した建物で楽しく暮らす、前出の北出さん夫妻のような事例は、その地域にも好影響をもたらす。

「地元の物件オーナーさんたちの中には、もともとこうした古い物件をあまり価値のあるものと考えていなかったケースも少なくありません。けれど、県外からわざわざ移り住み、魅力的に暮らしながら、建物も大事にする人を見て、可能性を感じられるようになる方も少なくありません。また、地域の古い建物を生かすというのは景観保存にもつながります。ですからそういった『価値を見出す』人たちとの幸福なマッチングは建物にとっても、また地域にとっても、とても前向きなことです」

移住とリノベーションについて語ってくれた、R不動産株式会社 代表取締役・吉里裕也さん
  • 移住とリノベーションについて語ってくれた、R不動産株式会社 代表取締役・吉里裕也さん

「例えば門前町や城下町、港町などのその地域固有の景観も守られ残ることにもつながり、結果的にその地域ならではのローカルツーリズムの醸成にもなり、観光面にも良い影響を及ぼすのではないかと思います」

これらの積み重ねによって、人がその地域に流入するようになり、地域そのものにも活力がみなぎる、という好循環も生まれていく。

「価値そのものを向上させる『リノベーション』は、建物に対してだけでなく、地域に対しての再生につながる“キー”になっているという気がします」【東京ウォーカー】

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