「オイコノミア」MC・又吉直樹が語る“経済学と文学の共通点”

放送開始から5年、「オイコノミア」で学んだことが日常に生かされているという又吉直樹
  • 放送開始から5年、「オイコノミア」で学んだことが日常に生かされているという又吉直樹

身近なテーマを“経済学”の視点から考察していく情報番組「オイコノミア」(NHK Eテレ)で、ゼロから経済学に触れ合ってきた又吉直樹。放送開始から5年、番組で学んだことは日常に生きているという。

「経済学に『もしこのとき、これをやっていなかったら、他にどんなことができたか』を考える“機会費用”という概念があるんです。言葉は知らなかったけど、僕自身、昔からずっと考えてたことだった。だからこの言葉を番組を通じて知ったことで、何となく時間の捉え方も変わってきたんですよね。

あと人間って、得したことよりも損したことの方を重視してしまうらしいんですよ。経済学では“損失回避性”というんですけど、これもすごく腑に落ちる。ギャンブルとかやってても、損失回避という言葉を意識するだけで、遊び方が変わってくるというか。まぁ、ノブコブ(平成ノブシコブシ)の徳井(健太)くんみたいに、損失回避性という人間心理を分かった上でギャンブルがやめられないっていう恐ろしい人もいますけど(笑)。

とにかく、生活スタイルが劇的に変わったみたいなことはないんですけど、日ごろぼんやり感じていることを概念としてはっきり意識できるのは、この番組をやっててよかったなと思うことの一つですね。自分の考えが整理できるようにもなったし、僕という人間の考え方のクセも分かってきたし。もちろん経済学の考え方が全てだとは思わないけど、仕事でも勉強でも、自分のやり方とか生き方を、より有効なものにするためのヒントにはなるのかなと思いますね」

こうして経済学を学ぶ一方で、初小説「火花」の芥川賞受賞により、自身の著作活動が莫大な経済効果をもたらすこととなったのは周知の通り。文学と経済学、両者には通じるものがあるような気がする、と彼は言う。

「僕の中で“文学のここが好き”というところが、そのまま経済学にも当てはまるような気がするんです。経済学というのは、ある問題について、それをどう解決するか、どうすればよくなるのかを考えていく学問だと思うんですね。で、文学というのは、決して答えを見つけるということが目的ではないけど、世の中にはこういう矛盾があるとか、その中でこんな人間が生きているとかいうことを描いて、問題を提起することもできる。どうすれば社会の格差がなくなるかを考えるのが経済学だとしたら、その格差の現実を描けるのが文学なんじゃないかなと」

先日発売となった小説第2作「劇場」も大きな話題となり、芸人と作家の二足のわらじの生活は、ますます多忙に。今後の活動は?

「どっちかに専念した方がいいんじゃないかという人もいるんですけど、僕にしてみたら、会社員の人が休日にゴルフとか釣りとかに時間を使ってるのと同じで。僕の場合、小説を書くのは趣味に近いですし、もしかするとお笑いも趣味かもしれない。子供のころ、好きなことを毎日やってた、あの感覚がまだ抜けてないんです。言うたら、毎日が文化祭みたいな。だってね、誰にも頼まれてない文章を友達の前で読むためだけに書いたりしてるわけやから、趣味以外の何物でもないですよ(笑)。これからも、そんな文化祭感覚で、気楽にできたらいいなと思ってます」

「オイコノミア」
毎週水曜夜10.00-10.45
NHK Eテレで放送中
※再放送は毎週木曜夜0.30-1.15

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