3D上映・デジタル化は映画館主の“真の救世主”か?

3Dカメラの開発までした驚愕映像『アバター』のジェームズ・キャメロン監督
  • 3Dカメラの開発までした驚愕映像『アバター』のジェームズ・キャメロン監督

“映画館でしか味わえない”3D映画は、配給・映画館主にとって救世主だ。

家で気軽に観られるDVDやホームシアターと決定的に差別化できるのは、シロップたっぷりのポップコーン? いや、残念ながら3D上映くらいしかない。今や3D上映は、「映画はDVDでもいいじゃん」という人に映画館へ足を運ばせる大きな誘因となっている。

なんとか客を呼び戻したい配給や映画館主からしてみると、3D上映を推し進めるのは当然のこと。早く導入に踏み切れるのは大手シネマコンプレックスのチェーンだ。大作を多く上映するシネコン各社は、「これこそ映画の醍醐味」とばかり設備投資を進めてきた。

だったら、早く3D上映・デジタル化に切り替えればよいのか? 実はそう簡単な話ではない。映画館主は、ピンキリだが約1500万円とも言われるデジタル上映設備に投資するに当たり、その投資コストを回収できるだけの観客が入るかどうか見極める必要がある。

また、3D映画はホームシアターの世界にもインパクトを与える。家で気軽に3D映画が観られる時代、テレビ放送が3D化する時代は近い将来必ず来る。テレビの登場で映画が衰退し、ビデオの登場で映画業界が斜陽の時代に入ったのと同様、配給・映画館主は第三のインパクトを乗り越える局面に立たされている。

一方で、今年世間をにぎわせた『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』のように非3D映画でありながら、たとえデジタル上映でなくとも、多くの人が映画館に足を運んだ作品もある。『マイケル〜』公開時、多くのシネコンで、本作以外のスクリーンが空席という状況が散見されたという。必ずしも3Dやデジタル上映でなくてもよいことは、本作でなくとも言わずと知れたことだろう。

サイレント(無声映画)からトーキー(発声映画)へ、モノクロからカラーへ、映像のフォーマットが変わるたびに新たな表現が生まれてきた。大人なら1800円(3Dなら多少割高な料金)を支払って映画を観る我々は、映画の新たな可能性を喜ぶが、映画を作る側・見せる側の隠れた葛藤は察してあまりあるところだ。

ブームに乗るか、静観か、映画館主は身の丈にあった選択を迫られている。【Movie Walker】

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