9歳の主演女優に完敗!?  諏訪敦彦監督の新境地

『ユキとニナ』の監督、諏訪敦彦(左)、イポリット・ジェラルド
  • 『ユキとニナ』の監督、諏訪敦彦(左)、イポリット・ジェラルド

国際的評価の高い諏訪敦彦監督が、名優イポリット・ジラルドと共に監督を務めた新作『ユキとニナ』(1月23日公開)。本作は、フランス人の父と日本人の母を持つ、ハーフで9歳の少女ユキが、両親の離婚をきっかけに成長する姿を描いた感動作だ。

諏訪監督といえば、即興の演技を取り入れる演出で知られる。だが、今回は初の共同監督作品であり、ユキを演じた主演女優ノエ・サンピは演技未経験! 制作は一筋縄ではいかなかった。

諏訪監督は「現場で一番強かったのは、ノエだった」と話す。実際、ノエの強い意思が物語を思いがけない場所へと向かわせた。親友のニナと家出したユキは、ふと思い付いたかのように独り森の奥へ。森を抜けるとそこは日本だった!

「実は、当初のシナリオでは、“森で独りになってしまったユキが、寂しくて泣いてしまう”という流れでした。でもノエは、“悲しいことを思い出してしまうから、私は泣かない”と言うんです。正直、戸惑いました」と、小さな主演女優のまさかの発言に困惑した諏訪監督。だが、そんな彼女こそ、俳優の感性を大切にする諏訪監督にとって、絶好の女優だったと言えるだろう。イポリットも「ノエが感じたようにユキが動いていく。それがこの映画の真実」と話した。

一般観客を招いて行われたティーチインでは、客席の小さな男の子から「どうして森を抜けたら日本だったの?」という素直な質問が飛び出した! 諏訪監督は「あなたはなぜだと思いましたか?」と逆質問。

「ユキが、この先自分は日本で暮らすことになるだろうって考えたから」という答えに、「それはあなたの答え。それがあなたにとってのこの映画です。答えはたくさんあるんです」と自らの映画の在り方について語った諏訪監督。相手が子供といえども、そのまなざしは熱い!

観る者の感性で完結するという『ユキとニナ』。映画を観て、その答えを見つけ出してみては?【取材・文/鈴木菜保美】

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