『新感染』『哭声』…韓国映画のパワーの秘密とは?ヨン・サンホ監督が語る

『新感染 ファイナル・エクスプレス』ヨン・サンホ監督を直撃!
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韓国発のサバイバイル・アクション映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』(公開中)。すでにハリウッドリメイクも決定するなど、世界中で快進撃を展開している。メガホンをとったのは、韓国アニメ界を代表するクリエイターで、本作が実写初挑戦となるヨン・サンホ監督。来日したサンホ監督に、「実写だからこそできること」について話を聞いた。

ソウルからプサンへ向けて時速300キロで疾走する列車内に、謎のウイルスに感染した女性が出現。ゾンビが次々と襲いかかるなか、乗客たちが生き残りをかけて決死の戦いに挑む姿を描く。1978年生まれのサンホ監督は、『豚の王』『我は神なり』といった社会派のアニメで、韓国アニメ界の注目を集めてきた。

『ソウル・ステーション/パンデミック』では、本作の前日譚となるストーリーをアニメで描いた。つまり、“ゾンビ”という同じモチーフを、アニメと実写、両方の手法で描く経験をしたが、「アニメのときは製作規模も小さいし、予算も少ないので、その分、マイナーな感じを出すことができた。実写の場合は今回、予算もとても大規模だったので、たくさんの観客に観てもらえるものを意識したんだ。普遍的な思いが込められればいいと思った」とそれぞれの魅力を語る。

実写映画にトライして大きな発見となったのは、「生身の人間が起こす化学反応」の面白さだという。コン・ユをはじめカラフルな役者陣が集ったが、「実写映画というのは、俳優がいてこそ成り立つもの。それに、“俳優”と一口に言っても本当に色々なタイプの方がいる。自分の直感を頼りに演技をする方もいれば、こちらの望む通りの演技を、その通りにやってくれる俳優さんもいる。あるときは、まったく違うタイプの俳優さんたちが、一緒に同じシーンを演じることもある」と実写映画の現場の印象を吐露。

「やはり俳優さんと一緒に映画を作っていくと、そこに化学反応が見られるもの。まったく予測できなかったような演技も生まれるので、本当に楽しいし、演出するこちらとしても瞬発力が必要になってくることがわかった」と役者たちの起こす化学反応に大いに刺激されたという。

韓国では1100万人以上の観客動員を記録し、2016年の興行成績ナンバーワン作品となるなど、爆発的大ヒットとなった。ゾンビ映画を引っさげて、メインストリームのヒットメーカーとなったサンホ監督だが、韓国映画界の現状についてこう語る。「これまで韓国で撮られてこなかったような映画が、どんどん作られている。例えばナ・ホンジン監督の『哭声/コクソン』はオカルト映画の範疇に入ると思うし、本作はゾンビ映画。そういった、タブー視されていた領域を打ち破るような機運があると思う」。

タブーを打ち破り、パワフルな映画が続々と作られている韓国映画界。そのパワーの源は、「若さと情熱」だと分析する。「韓国の現場に行くと、いつも感じることがある。それはメインのスタッフに私と同じような30代や、40代序盤の世代の方をはじめ、若いスタッフがたくさんいること。準備するスピードもとても速いんだ。もちろん職業、仕事としてやっているというのはあるけれど、みんな仕事である以上に、情熱を持って作業に励んでいる。それが韓国映画のエネルギーになっていると思う。そして、それがタブーを打ち破る力にもなっていると思うんだ」。

これまで手がけたアニメ作品や『新感染 ファイナル・エクスプレス』でも、鋭い心理描写で人間の暗部までをえぐり出してみせたサンホ監督。世界が認めた才能を、ぜひ目撃してほしい。【取材・文/成田おり枝】

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