エミール・クストリッツァ監督率いるエネルギッシュすぎるおじさんバンド、 9年ぶりの来日ライブにメンバーもファンも大熱狂!

弾ける笑顔もたまらないエミール・クストリッツァ監督
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『アンダーグラウンド』(95)『黒猫・白猫』(98)などで知られるサラエボ出身の映画監督エミール・クストリッツァ。彼が率いる「エミール・クストリッツァ&ノー・スモーキング・オーケストラ」は、クストリッツァ映画に欠かせない独特の陽気なメロディとリズムを生み出すバンドだ。

ジプシー・ミュージックとジャズ、ラテン、スカ、ハードロックなどを自由奔放にミックスさせた彼らの“ウンザ・ウンザ・ミュージック”は、クストリッツァ映画と同様に世界中に多くのファンを持ち、ヨーロッパをはじめアメリカ、南米、アジアなどでツアーを成功させている。

9月2日、クストリッツァ9年ぶりの監督作『オン・ザ・ミルキー・ロード』(9月15日公開)の日本公開を記念した来日公演が開催された。バンドとして初来日したのも9年前のこと。念願の2回目となる日本での貴重なステージを目撃しに、東京・お台場のZepp Tokyoへと足を運んだ。

18時ちょうど。開演時間ぴったりに客電は落とされた。監督が大好きだと語るロシア国歌「祖国は我らのために」が流れると観客の歓声が沸き起こる。クストリッツァは、オーディエンスの声に応えるように高く拳を掲げ、登場。バンドは、バンドマスターでギター&ボーカルのクストリッツァをはじめ、アコーディオン、ヴァイオリン、ギター、ドラム、キーボード、ベース、サックス、トランペットの計9人の大所帯。

1曲目からメロディアスなアコーディオンとヴァイオリンの響きが、観客を丸ごとクストリッツァ映画の世界へと誘ってくれる。スタンディングの客席は一気にダンスホールと化し、思い切り揺れる、揺れる!

序盤のロックナンバー「Fuck you MTV」では「Do you agree?」と問いかけ、客席に「Fuck you MTV!」と叫ばせる過激なコールアンドレスポンスを敢行。さらに、ヴァイオリンのデヤン・スパラヴァロは、早々と最前列から観客をステージに次々とあげていく(当然、女の子だけ)。

ステージ上で踊りまくる13人のクストリッツァ・ガールズたち。クストリッツァは彼女たちにダンスの指導をしたり、なぜか腕立て伏せや腹筋をさせるというエアロビクス講師のようなパフォーマンスを披露(ちなみに、クストリッツァは20回以上も腕立て伏せを実践!御年62歳、体幹がしっかりされています)。

一方で、その最中にバンドのマネージャーはステージに上がり、彼らの記念写真を撮りまくっている。なんでもありの混沌とユーモア。まさに、クストリッツァ的世界観!と感動していると、『黒猫・白猫』の「Bubamara」や『ライフ・イズ・ミラクル』(14)の「When Life Was A Miracle」、さらに『ジプシーのとき』(89)『アンダーグラウンド』の名曲群を次々と披露。これにまた、客席は大いに盛り上がる。

さらに「まだ盛り上がれるか?」「ビールは好きか?」と観客を煽り、ライブの定番曲であるバルカン・スカ・ナンバー「Cerveza」でブチあげ。平均年齢50歳のバンドとは思えないバイタリティに驚かされる。

続く「Was Romeo Really A Jerk?」では再び客席からステージ上に上がってくれる“ジュリエット”を今度はクストリッツァが指名し、華麗なダンスを楽しんだ。気づけば、ライブは後半戦へ。

楽曲と楽曲の合間には、クストリッツァがデヤンを「“ミスター・ハイネケン”」と呼び「だけどここでは“サッポロビール”が最高!」というリップサービスも。

他にも、デヤンとクストリッツァで巨大な弓を持ってきて、同時にヴァイオリンとギターを弾くスラップスティック(というかドリフ的な)コント仕立てのパフォーマンスをしておどけてみたり、全員が横並びで中腰になり一歩ずつ前へ進むダンスを披露するなど、とにかく飽きさせないサービス精神に満ちた2時間近いステージ。15曲以上を披露し、ラストまで一気に駆け抜け、さらに2曲のアンコールも。

最後、日本式に丁寧なおじぎをして帰っていった彼ら。終演のアナウンスが流れてもいつまでも鳴りやまない、拍手とコール。それが、クストリッツァとバンドへの賛辞であることは間違いなかった。【取材・文/梅原加奈】

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