長澤まさみが語る、12歳のデビュー当時から変わらない反骨精神

『散歩する侵略者』の長澤まさみにインタビュー
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映画やドラマ、ミュージカルで卓越した感性を披露し、最近では銭湯で激しく踊る破天荒なCMでも話題を呼んだ長澤まさみ。最新主演映画は、劇団「イキウメ」の人気舞台を黒沢清監督が映画化した『散歩する侵略者』(公開中)だ。2000年にデビューし、近年さらに演技の幅を広げてきた彼女にインタビューし、作品に対する向き合い方について話を聞いた。

数日間行方不明だった夫・真治(松田龍平)がようやく帰ってきた。真治と不仲だった鳴海(長澤まさみ)は、まるで別人のようになった真治に対して違和感を覚える。やがて、彼女は真治から「地球を侵略しに来た」と耳を疑うような告白を受けてしまう。

「私は現実味のあるフィクションみたいな作品がすごく好きで、台本を読んだ時ものめり込んでいきました」という長澤は、黒沢監督からのオファーに大喜びしたそうだ。夫役の松田龍平とは、待ち時間からお互いの距離を縮めていったという。

「夫婦役ということで、松田さんもすごく寄り添ってくれていたし、私も愛情をもって演じようと思って現場に入りました。松田さんもそういうタイプだったから、ちょうど良かったのかもしれないです」。

女優業については「監督たちの作る世界観で活かされるコマでしかない」と言い切るが、だからこそ「サービス精神だけは旺盛でいたい」と思っている。

「人を楽しませる自分を作りたい。いい意味で女優という仕事は形を変えられる武器があるから、自分自身のイメージなんて関係ない。周りを変えようと考えるよりは、自分が変わるという考えの方が楽しいから、いつも楽しいことを求めてやっているだけです」。

第五回「東宝シンデレラ」オーディションで、当時史上最年少の12歳でグランプリに選ばれてデビューした長澤は、まさにシンデレラガールとしてスターダムを駆け上ってきた。

「大きい会社に守られた立場にいるという目線は感じていました。ただ若い頃から、自分が得をしている人間だと思ったら負けだから、努力しなければいけないとわかっていたし、今でも難しい世界だなとは思っています。この仕事が自分に向いているかといえば、向いてないとも感じています。仕事だから頑張りますけど、人前に出る仕事というのはやはり大変ですし」。

これまでに、この仕事から逃げ出したいと思ったことはなかったか?と聞くと「作品に入っている時はないですが、それ以外の部分でこの仕事は合わない、やめたいと思った時はありました」と告白。

「今でも死ぬほど楽しいと思えることはあまりないです。もちろん楽しいこともありますが、仕事ですから。難しい仕事だと思いつつも頑張れちゃうのは、きっと若い頃からずっとやってきたからじゃないですかね」。

長澤はミュージカル「キャバレー」で演出の松尾スズキから「まさみちゃんは負けず嫌いだよね」と言われて、初めて自分がそうだということに気付いたそうだ。「できないと思われることはすごく悔しいですが、どこかでしょうがないかなという楽観的な考えも持っているから、あまり自分が負けず嫌いだとは思ってなくて。でも、だからこそ、これまで感情だけでやってこられたのかもしれないです」。

長澤は「作品に恵まれてきたのはありがたいことです。この世界は運がないとやっていけないところもあると思っているので」と、才能ではないところに感謝している。

「黒沢監督の映画に出たい俳優は山ほどいると思います。でも、どんな作品でもそうですが、やっぱり求められる人になれるかどうかは自分の頑張り次第で、そこはすごくはっきりした世界なんじゃないかなと。面白くなくなったら使われなくなるわけだし、そんな甘い世界ではないです。だから自分で高を括って待つような人間になっていたら、この先見えるものはないかなと」。

今でも、自分の作品を観る度にダメ出しをしてしまうという長澤。「人間は成長できる生き物だから、そこで止まることはたぶんないと思います。年を重ねていけばいくほど、もっといろんな力をつけていけるとは思っているので」。

近年、ますます攻めの姿勢を見せている女優・長澤まさみ。そのハングリー・スピリットは、実に男前だと思った。【取材・文/山崎伸子】

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