カンヌ常連の河瀬直美監督、東京国際映画祭への抱負を語る「東京は遠いなって思っていました」

「Japan Now」部門の会見に河瀬監督らが出席
  • 「Japan Now」部門の会見に河瀬監督らが出席

今年5月に開催された第70回カンヌ国際映画祭で、エキュメニカル審査員賞を受賞した『光』が、10月25日(水)から開幕する第30回東京国際映画祭の「Japan Now」部門で上映されることを受け、東京・有楽町の公益社団法人・日本外国特派員協会で記者会見が行われ、同作の監督を務めた河瀬直美が登壇。

3年前より新設されたこの「Japan Now」部門では今年「銀幕のミューズたち」と題して、日本の今を象徴する4人の女優たちの出演作のほか、日本を代表する作家たちの最新作など15本が上映される。河瀬の『光』も、そのうちの1本に選ばれた。

また河瀬は、作品の上映に加えて「マスタークラス」と名付けられた、次世代を担う映画作家に向けたセミナー形式のイベントに登壇することも決まっている。その内容について訊かれると「自分は生きることと映画を作ることを、切り離して考えられていないので、プライベートな部分と作るという部分をどうやって融合しているのか、具体例を出して説明していきたい」と、抱負を語った。

さらに、自身がオーガナイザーを務めている「なら国際映画祭」でも、若手作家の作品のプロデュースを行なっていることを例に出しながら「教えるというよりは、一緒に何かをやっていくワークショップのようなものができればいいと思います」と、自身が思い描く日本映画界の未来図に向け、次世代の作家たちとの向かい方について考えを明らかにした。

奈良で生まれ育ち、現在も奈良を拠点として映画を作り続けている河瀬は、これまでカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に5度出品するなど、日本を代表する国際派監督のひとり。世界の映画祭を経験している彼女にとって映画祭は「文化の違いを超えてコミュニケーションしていく場。自分の映画づくりのモチベーションになっている」と語る。

山形国際ドキュメンタリー映画祭で国際批評家連盟賞を受賞したことがきっかけで現在の地位を築き上げた彼女は、当時、映画祭の空気に大きな影響を受けたことを語った。それでも東京国際映画祭についての印象を「手の届かない存在」と形容。「奈良から見ると、東京は遠いなってずっと思っていました。でも今回参加することで、少しその距離感が縮まっているのかなと感じます」と、初めて東京国際映画祭で自分の作品が上映されることへの意気込みを見せた。

そんな河瀬のコメントに対して、同席していた「Japan Now」部門のプログラミングアドバイザーである安藤紘平氏は「実は東京国際映画祭としても、世界の河瀬さんには手が届かないと思っていた」と本音をポロリ。「Japan Nowを作ったことで、日本のベストの映画を上映するチャンスが叶ったので、やっと距離が縮まった」と語り、国内外に向けて日本映画の優れた作品を送り届ける、この部門の意義を熱弁した。【取材・文/久保田和馬】

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