これがダメなら芝居を辞めます! ——山寺宏一×水島裕×高垣彩陽インタビュー

「Cash on Delivery」に出演する山寺宏一さん、水島裕さん、高垣彩陽さんにインタビュー!
  • 「Cash on Delivery」に出演する山寺宏一さん、水島裕さん、高垣彩陽さんにインタビュー!

声優、俳優として幅広く活躍している山寺宏一さんと水島裕さん、そして演出家の野坂実さんによる演劇ユニット「ラフィングライブ」の第3回公演が、11月29日(水)から12月3日(日)まで東京・銀座の博品館劇場で上演されます。

初回公演の「パパ、アイ・ラブ・ユー!」、第2回公演の「Run for Your Wife」で大喝采を受けたラフィングライブが今回演じるのは、マイケル・クーニー原作の「Cash on Delivery」。

妻のリンダと暮らすエリックは、2年前から失業中の身であることを周囲に隠し、なんとあの手この手で社会保障手当を不正受給して生活。夫婦の家の2階に住む靴屋のノーマンもウソに巻き込み、ある日役人に「ノーマンが死んだ」と伝えます。そんなエリックたちのところに、社会保険証の調査員・ジェンキンズがやってきて……。ウソがウソを呼び、そしてそのウソに引き寄せられた関係者たちが続々と登場するコメディ作品です。

上演まであとひと月弱となったところで、主人公のエリックを演じる山寺宏一さん、もう一人の主人公ノーマンを演じる水島裕さん、そしてエリックの妻リンダを演じる高垣彩陽さんにインタビューしてきました。

――今回の上演作品が「Cash on Delivery」に決まった理由を教えてください。

山寺:最初、野坂さんから「この作品どうですか?」って提案があったんです。それで本格的に3人で会議をして、これでいこうと決めました。この他にも何本か候補はあったんですが、彼が「一押しはコレですよ」って。前2作がレイ・クーニーの作品だったのはたまたまだったんですが、今回はその息子であるマイケル・クーニーの作品なんです。作風も似ているので、ラフィングライブには合うと思って決定しました。

水島:マイケルは、親父さんのいいところを受け継いでて、表現も「あれ、このセリフどこかであったんじゃない?」っていうところもあるんですよ。

山寺:前2作では、ウソがウソを呼びパズルのように人間関係が入り組んだ作品でしたが、今回はより複雑です。話は難しくないんですが、人物がたくさん出るので、演じる側はまだ混乱中です(笑)。

水島:余裕ないよねぇ。

山寺:全くないですね、いや、毎回ないんですけれど(笑)。

――すでに稽古に入られていると思いますが、実際に演じてみていかがですか?

高垣:皆さんとの稽古が始まって、台本を一人で読んでいるときには見えてこなかったリンダの人柄や情景がすごく見えてくるようになりました。山寺さんもおっしゃってましたが、一つのウソが勘違いを呼び、どんどん積み重なっていく複雑なお話なので、今の自分の状況や相手からどのように観られているかが整理できてないと、作品の中で迷子になってしまうなぁと。自分の役割をきちんと全うしないと、ウソの面白さがお客さまに伝わらないので、そこが難しく、また面白いところですね。

山寺:前回もそうだったんですけど、高垣さんの役は巻き込まれる、ウソをつかれる側なんです。で、僕と裕さんの役はどんどんウソを付いてごまかしていくパターンで。

水島:僕も(本当は)巻き込まれているんですけどね。

山寺:巻き込まれているわりには、自分からいろんなことをやっちゃうっていう。

水島:はははは、そうなんだよね~。

高垣:二人の関係性が面白いですよね。ウソをつかざるを得ない状況になってしまって、そういう意図はないのに追い込んでいってしまう。そこからさらに巻き込まれた人たちが上手くかみ合って成立しているコメディなんですよ。

――高垣さんは前回の「Run for Your Wife」から引き続きの出演ですね。

高垣:初演の「パパ、アイ・ラブ・ユー!」を拝見してとても感動したんです。そして自分が翌年の「Run for Your Wife」にキャスティングしていただけるとは思ってもいなかったので、また感動しました。頑張ってやらせていただいたのですが、今年もまたメンバーに加えていただけたのはすごい光栄ですし、嬉しいです。

山寺:うちのエースですから!

水島:だね。あのはっちゃけぶり! 素晴らしかった。

高垣:いやいやいやいや(笑)。

山寺:前回の公演で希代のコメディエンヌぶりを発揮してくれて、僕と裕さんは彼女に頼り切ってます。昨日の稽古では、もう台本を持たずにやって、みんなびっくり。引っ張ってもらってます。ほんと、申し訳ない。

高垣:なんか大先輩方々からのプレッシャーがすごいんですが、あははは。

――毎回感じるのですが、キャスティングが本当に絶妙ですよね。

水島:毎回そうなんですが、僕と山ちゃんと野坂さんの3人で役柄にあった人を探して、お願いしているんですよ。

山寺:まあ、実際には知り合いというか、頼みやすい人でお願いしているんですけど、あははは。でも、何回も会議を重ねて決めているんですよ。

――今回の公演では、小形満さん(ドクター・チャップマン役)、横島亘さん(アンクル・ジョージ役)、そして越川詩織さん(ブレンダ・ディクソン)が初参加です。

山寺:小形満さんは長い間一緒にお仕事をさせていただいてて、台本を読んだ時に「これは小形ちゃんだ!」って僕の中で決まっちゃったんです。そこでお願いをしたらOKしてくれたんですが、彼は前の公演を観ていないんですね。「にもかかわらず、よくOKしてくれたね?」と尋ねたら、「僕、芝居の仕事は基本、断らないんだよって」って(苦笑)。「裕さんと山ちゃんと一緒にやりたかったんだよ」って言ってもらえると思っていたのに。「それが理由かい!」て、思わず突っ込んじゃいましたよ。

一同:笑

水島:でも、小形さんのチャップマン、すごくいいんです。

山寺:横島亘さんは野坂さんのご指名で、僕も何回かお仕事をご一緒させていただいて彼ならぴったりだと思いました。劇団民藝出身で真面目な芝居しかしたことないとおっしゃってて、雰囲気もまさにその通りなんですが、一杯飲んだらなんとまあお茶目で面白い。この人で良かったって思いました。

そして越川詩織さんは越川大介さんと島本須美さんの娘さんで、僕も小さい頃から知っています。前回の公演にも来てくれて、「次はオーディション受けてでも出たい!」と言ってくれて。天才肌の人なんで、ぜひぜひとお願いしました。

――前回に引き続き出演している岩崎ひろしさん(ジェンキンズ役)、高橋広樹さん(フォーブライト役)、初回公演からの斉藤こず恵さん(ミズ・クーパー役)、折笠富美子さん(サリー・チェンシントン役)と、出演陣が本当に豪華ですよね。この豪華なキャスティングで挑戦する題材に、なぜ喜劇を選ばれたのですか?

水島:これはもう単純で、コメディが楽しいから。そもそもの始まりは、野坂さんが「パパ、アイ・ラブ・ユー!」の脚本を持ってきたところからなんです。それを読んで僕は、主役に山ちゃんしか浮かばなかったんですよ。だから彼がOKしてくれたらやろうって。それで台本を預けたら、だいぶ悩まれて……その頃はまだ「おはスタ」も毎朝やってましたしね。

山寺:だからね、僕はずーっと「パパ、アイ・ラブ・ユー!」だけをやってていいとも思ったんです。

水島:えぇっ?

山寺:毎回「パパ、アイ・ラブ・ユー!」をやるのでもアリかな?と。初演ですごく笑っていただけたので。けど、せっかくだから他のもやりましょうという話になりました。

水島:ああ、なるほど。でも意味合い的にはそうなんですよ。みんなが笑ってくれることをやるのが、第一なんです。別に重い話や暗い話がダメってことではなくて、僕らがやるのはコメディがいいねっていう単純な話なんです。これは3人とも同じ気持ちです。

山寺:そういう点では高垣さんはどうなの? 本当はコメディ以外のものもやりたいんじゃない?

高垣:昨年演じて感じたことなんですけれど、舞台って本番を迎えるまでに何度も壁にぶつかって押しつぶされそうになる苦しい時期が必ずあって、それを乗り越えて本番に立った時の、“ラフィング”っていうユニット名そのままの笑い声を体感して、人ってこんなにも笑えるんだ、人の心を笑いへと動かせる演劇って、喜劇ってすごいエネルギーを持っているんだって感じたんです。これは、クセになってしまうなってすごく感じました。

水島:笑いってプラスの波動なんだよね。だからこっちも楽しくなってくる。笑い声を聞くんじゃなくて舞台で感じる。その波動を感じるのが楽しいんです。

高垣:でも、その笑いを作るために、裕さんと山寺さんと野坂さんが、ものすごく細部までこだわってるんですよ。舞台の上はもちろんですが、前回の公演では会場の席に着くまでの空間にもこだわって、装飾とかも凝った作りで。妥協されずに、どうしたら皆さんに笑顔になってもらえるだろうか?と、常に考えているのを感じました。

山寺:それはね、やっぱり裕さんのこだわりなんですよ。だって裕さんは、別プロデュースの「笑う朗読」では還暦過ぎてるのに着ぐるみ着て前説やってましたから。

水島:あははは、はい。

山寺:このサービス精神は、ほんとすごい。例えば、入ったお店の料理がどんなにおいしくても店員さんの感じが悪かったらやっぱり残念じゃないですか。あ、ラフィングでやる芝居の内容に自信がないってワケじゃないですよ(笑)。でも、なるべくプラスを積み重ねていこうっていうのが、裕さんの考え方なんです。

水島:もうちょっと言うと、これって僕個人っていうよりラフィングライブとしての考え方かな。そこに気づいてくれたのはとても嬉しい。ありがとうね、彩陽ちゃん。

山寺:あー、でも今回も何かやらなきゃって思い始めてきた……今は自分の芝居のことでいっぱいで、そこまで考える余裕がなかった(笑)。

――舞台ではお客さんの反応で芝居を変えたりするのですか?

水島:基本は、変えちゃいけないんだよね。

山寺:非常に細かいところまで野坂さんによる演出が入っているので、変えるというのは基本ないんです。もう、ものすごく細かいですよ。でも、お客さんの反応で気分的には変わってしまう。変えちゃいけないと思っていても、どうしても変わってしまうのが生の舞台なんです。

高垣:私は、気になる舞台には何回も足を運ぶんですが、時間やお客さんの層が違うだけで空気感が全く違ったものになるんですよね。たくさんの人と一緒に笑える、驚けるのは、ライブならではの魅力だと思います。その瞬間でしか得られない一期一会がきっとあるので、ラフィングライブの舞台もぜひ観に来てほしいです。

山寺:ぜひ観に来てください! これがダメなら芝居を辞めますから!!

水島:いやいやいやいや(笑)。

山寺:「山寺は芝居なんてやらずに声だけやっていればいいんだ」なんて声が聞こえたら、本当に辞めます。遺作ですよ、遺作。

水島:なるほど! それで引っ張ろうと。じゃあ、僕もそうしよう。ダメならこれが遺作です。

山寺:うそうそ、裕さんは絶対やりますよ!

一同:笑

山寺:でも、毎回最後にしてもいいって気持ちでやっているのは本当です。

水島:その気持ちは確かにあるね。

山寺:「いつまでにやろう」「絶対にやる」というのは止めようって、ラフィングライブでは決めているんです。

水島:劇団じゃないからね。そのためのユニットなんですよ。僕らがやりたくなったらやる。

山寺:そこは3人の気持ちなんで、「もういいかな」ってなったその時は、新ラフィングラブを高垣彩陽が立ち上げてくれることでしょう。

高垣:えええっ!? 私ですか?

山寺:その時は高垣座長に「ちょっと出して~」ってお願いしに行きます。

水島:あはははは、行こう行こう。

山寺:でも、これが面白かったら次をやるわけで、終わるとしたら面白くなかったってことだから観に行かなくてもいい……いや、それはダメだ!

水島:ダメだよ!!

高垣:あはははは

山寺:面白いかどうかは、ぜひ足を運んで確かめてください。色々言いましたが、気軽に楽しんでいただける、観ていて突っ込みを入れたくなる舞台です。

水島:とにかく笑いたい人はぜひ会場にいらしてください。

「Cash on Delivery」は、11月29日(水)から12月3日(日)まで、銀座・博品館劇場にて公演。チケットは全席指定・6800円でチケットぴあ、イープラス、ローソンチケットで販売中ですが、すでに完売している回もあるので、早めにチェックしてみてください。

■ラフィングライブ第3回公演「Cash on Delivery」
期間:2017年11月29日(水)~12月3日(日)
劇場:博銀座・博品館劇場
演出:野坂 実
出演
山寺宏一(エリック・スワン)/高垣彩陽(リンダ・スワン)/岩崎ひろし(ミスター・ジェンキンズ)/横島亘(アンクル・ジョージ)/斉藤こず恵(ミズ・クーパー)/折笠富美子(サリー・チェンシントン)/小形満(ドクター・チャップマン)/高橋広樹(ミスター・フォーブライト)/越川詩織(ブレンダ・ディクソン)/水島 裕(ノーマン・バセット)
料金:6800円(全席指定)

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