【本誌連載の拡大版】湘南ベルマーレ坂本紘司選手「J1目前インタビュー」(2)

ことしは出場停止の試合以外、36試合にフル出場! す、すごい…
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高校時代からずっと攻撃的なポジションだった坂本選手は、現在、守備的な中盤で活躍中。戸惑いはなかったの?

――昨シーズンから攻撃的なポジションからボランチにコンバートされています。

「責任感みたいなものは増しました。サッカーの試合はけっこう細かいところで勝敗が決まってしまうんです。例えばあと5mを走らなきゃいけない場面で、楽をしたくてそれを怠る選手もいる。でも、そこでサボらない、気を抜かずに100%のプレーをする……そういったサッカーの原点をもう一度見直さないといけない、根本的な部分から変えていかないとダメだ、というのは2、3年前から思っていたことなんです。もちろん、僕個人も含めてですけど、ベルマーレが結果を残せない中でチームの雰囲気を一新しなきゃいけない、と。そういう厳しい姿勢を年上の選手や長いこと在籍している選手が示すことによって若い選手に浸透していけばいいな、というのはずっと思っていたことでした」

――ボランチのポジションだとそういうことも言いやすい、と。

「前線のポジションの時は攻撃で目立てるか目立てないか、というのがテーマでしたけど、ボランチをまかせられるということは、精神的な部分でチームを支えてくれという菅野監督からのメッセージだと思いました。すごく意気に感じて、ボランチというポジションで頑張ってみよう、と思いましたね」

――静岡学園高時代から攻撃的な選手として活躍してきた坂本選手だけに、もちろん戸惑いもあったかと思います。

「無我夢中というか見よう見まね。若手の方がボランチとしてはずっと長くやっている選手がいるから、そういう選手たちのプレーを勉強しながら……。この年になってまた謙虚になれたといいますか、すごく楽しみながらやれています。攻守とも、中盤にこれまでのウチの弱さがあったのかな、とも思うので。チームが結果を出すための新しいチャレンジですよね。プロの世界に入って10年ぐらい経って、また新入団したみたいな気持ちになりました。いい時期にチャンスを与えてもらって監督には感謝しています」

――5月にOBの中田英寿氏がベルマーレの選手たちと一緒に練習しました。日本代表ではボランチも務めた中田氏から何かアドバイスはありましたか。

「本当にうまい、教科書みたいですからね。アドバイスとかはなかったですけど、練習を見ているだけで刺激になりました。『ことし(J1に)上がらないでいつ上がるんだ』ということを言っていたようですし、実際、僕もそう思うので。かつては名門チームで、偉大な選手たちもたくさんプレーしていたわけですけど、そういう人たちの陰にいつまでも隠れているわけにもいかない。そういう先輩たちを追い越して新しい歴史を、湘南ベルマーレとして新しい歴史を作らないといけないんです」

――99年まで所属したJ1でのチーム名称はベルマーレ平塚でしたからね。坂本さんが加入した00年から現在の湘南ベルマーレなので、新しい歴史となるわけですね。

「そうなればいまいるメンバーたちも語り継いでもらえるようなことになるかもしれない。いろいろな意味で大きなチャンスを、目の前にしているんですよね。大事なのは、残された試合で普段通りの力を出し切ること。できなかったことが急にできるわけがないですから、積み上げてきたものを全部出せるような準備を練習からやらないと。シーズンもこの時期になると週1試合なんですよね。J2は中2日、中3日という日程が比較的多くて、コンディションを万全に整えたつもりでも疲れを残したまま試合をすることがあるので、週1試合になっただけで楽に感じます(笑)。もちろん、大事なのはメンタル。どちらが強い気持ちをもって走れるかというところで勝負が決まるところがあるので、そういうところではベルマーレの選手たちは負けないと信じています」

――そして、坂本選手自身も30歳にして待望のJ1デビューですね。

「そういう選手もたまにはいてもいいんじゃないかな。ウチのチームにはけっこうJ1を経験している選手がいるので、その一方で逆に僕みたいなタイプがいても(笑)」

――97年から3年間在籍したジュビロ磐田での経験を振り返ると。リーグ戦での出場は残念ながらありませんでした。

「ナビスコカップでは試合に出たことがありますけど、リーグ戦はベンチにこそ入ったことがあるものの、ちょっと試合に出られるイメージが沸いてこなかった。確かに壁は厚かったけど、プロに入ってすぐに日本一のサッカーを3年間も目の前で見ることができたことは大きかったですよ。当時の選手たちの意識の高さや実践していたサッカーのイメージは、いまだに僕の理想として残っています。僕が入ったシーズンから3年連続でリーグチャンピオンシップに進出して、ナビスコカップも獲って。その意味では、いまだに僕の教科書といってもいいと思います」

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