夢枕獏、歴史上の人物に魂を吹き込む秘訣は?チェン・カイコーとのタッグに感激!

原作者の夢枕獏が、空海の魅力を語る!
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夢枕獏の「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」をチェン・カイコー監督が映画化した『空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎』(2月24日公開)。17年もの歳月をかけて執筆した小説が世界的巨匠によって壮大なスケールで映画化されたことに、夢枕は「夢がかなったよう」と感無量の面持ちを見せる。

唐に渡った若き天才僧侶・空海(染谷将太)が詩人の白楽天(ホアン・シュアン)と出会い、歴史を揺るがす巨大な謎に挑む姿を描く本作。カイコー監督が本物にこだわり、東京ドーム8個分とも言われる規模で長安の街を再現したことでも話題だ。

「映画化の話をいただいたのは9年くらい前だと思います」と振り返る夢枕は「こんなに長い話をどうやって映画化するんだろうと思ったんですが、監督が撮ると聞いて『これはすごいことになるぞ』と思いました」と吐露。「僕は監督の『さらば、わが愛 覇王別姫』や『始皇帝暗殺』が大好きで。映像が美しく、人間の奥底まで描いていく監督という印象がありました。チェン・カイコー監督ならば、僕の作った物語を想像以上のところへと連れて行ってくれるのではないかと思いました」と期待に胸を膨らませたという。

映画化が決定してからはカイコー監督と交流を重ねたそうで「この何年かは僕が中国に行くたびに監督と映画について語り合ったり、食事をしたりしました。いろいろな話をしましたね。監督とのこれまでの旅が楽しくて楽しくて、正直に言うと、映画が完成するのにあと3年くらいあってもいいと思うほど(笑)。それくらいものすごく楽しかった。お祭りが終わるような、さびしい気持ちになっています」と苦笑い。

撮影現場も訪れ、カイコー監督のこだわりを目にした。「映像化されるときは、僕はあまり口を出さないようにしているんです。原作者があまり要望を言うのは迷惑でしょう?」と自らのスタンスを明かしつつ、「監督は『僕はこうしたいと思うが、どう?』と周囲に聞くんです。誰もが意見を言い合える空気があって、とてもよい撮影現場でした」と述懐する。

「楊貴妃が“極楽の宴”を催すシーンがありますが、そこに参加する女性はヒゲを生やして男装をしていたり、一方で男性は女装をしていたりするんです。これは監督がこだわった点で、『楊貴妃は進歩的な人。誰もが思い思いの姿で宴に参加していいと思っているはずだ』とおっしゃっていました。その時もみんなに意見を聞いていましたが、映画にはそうやって細部までこだわった監督のたくさんの想いが散りばめられています。本当に監督にお任せしてよかったと思いました」。

夢枕が空海に興味を持ったのは「10代のころ」だそう。「陰陽師」シリーズでも安倍晴明をはじめ歴史上の人物に見事に血を通わせたが、「キャラクターに魂を吹き込む秘訣は?」と聞いてみると、「愛ですよ!」と大きな笑顔を見せる。「20代ですでに空海が出る話を書いていて、『魔獣狩り』シリーズにも空海が出てきます。僕が考える空海の魅力は、人間を赦す力が強いところ。お坊さんというと厳しいイメージがありますが、空海は“ヨッシャ、ヨッシャ”と両手をあげてすべてを受け入れてくれる雰囲気がある。これは僕のなかのファンタジーかもしれませんが、空海からは“よろしい”という声が聞こえてくるような気がするんです。大好きですね」。

「空海に興味を持った時は、僕のほうが空海より年下でしたが、いまは空海の亡くなった年齢を越えてしまった。唐へ渡る前の空海についての話を書き始めましたので、『これからも空海を』と思っています」と“愛”こそが、なによりの原動力となっている。そして、カイコー監督の映画にかける姿からも同じものを感じたそう。「監督の姿勢にはものすごく共感を覚えました。映画と小説は表現形式こそ違えど、作り手としてのパッションは変わらないものだと思いました。そう思える監督とご一緒できて、原作者としては本当に僥倖としか言いようがありません」と改めて喜びを噛み締めていた。

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