きっかけ vol.1-2「考えごとで家事を楽しむ」 山崎ナオコーラのエッセイ

 山崎ナオコーラさんのエッセイを連載中! 今回はvol.1-2をお届けします
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雑誌『レタスクラブ』で連載中の山崎ナオコーラさんのエッセイ「考えごとで家事を楽しむ」をレタスクラブニュースでも特別公開!

家事に仕事に子育てに大忙しの毎日。実体験に基づいた言葉で語られるからこその共感や、生活を楽しむためのヒントが隠されています。

vol.1「きっかけ」を4回に分けてお届け。今回は第2回目をお送りします。

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 家事労働の間は心を空白にして、あとは、「歯磨きのついでに洗面所の掃除」「魚を焼いている間に味噌汁を作り、料理を運びながら子どもの相手」と、最短の道はどこにあるか、ということだけを頭で追う。

 さらに、電化製品にもバンバン手を出した。たくさんの貯金があるわけでも、高い定収入があるわけでもないのに、「金よりも時間の方に価値がある」と言い訳しながら、産後の家事が心配だった妊娠中に、共働きの三種の神器と言われるロボット掃除機、全自動洗濯乾燥機、食器洗い機を一気に購入した。

 しかし、一時間かかることを三十分でやったり、三十分かかることを十五分でやったりはできても、決してゼロ秒にはならない。

 すると、家事をやっていない人に対して「ずるいな」という感情が湧いてくる。

 私が家事で心を無にして過ごしている時間を、夫は仕事でミスをして「次からは、こうしよう」と成長したり、仕事相手の誰かと人間関係を築いたり、とにかく、人間としてプラスになるようなことをして過ごしている。

 悔しい。

 家事をしているときの自分の成長を無にしかできないとしたら、仕事をしている人に負けてしまう。

(続く)

文=山崎ナオコーラ イラスト=ちえちひろ

■著者:山崎ナオコーラ
1978年福岡県生まれ。埼玉県育ち。2004年『人のセックスを笑うな』で作家デビュー。エッセイ集に『指先からソーダ』『かわいい夫』『母ではなくて、親になる』などがある。目標は「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」。初めての絵本『かわいいおとうさん』(絵ささめやゆき、こぐま社)も刊行。
山崎ナオコーラさんのTwitter

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