ナタリー・ポートマン主演、Netflix映画『アナイアレイション-全滅領域-』の完璧すぎるヴィジュアルが生む中毒性

ナタリー・ポートマン主演作『アナイアレイション-全滅領域-』のレビューをお届け
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“アナイアレイション”とは「全滅」を意味する。一昨年のアカデミー賞で『スターウォーズ/フォースの覚醒』(15)ら並み居る強豪を抑え、最優秀視覚効果賞に輝いたSF映画『エクス・マキナ』(15)のアレックス・ガーランド監督の最新作『アナイアレイション-全滅領域-』は、難解なストーリーと静かな恐怖が立ち込める異様な世界観を、目を見張るほどの圧倒的なヴィジュアルで包み込んだ、なんとも不可思議な一本だ。

ジェフ・ヴァンダミアのSF3部作の1作目「全滅領域」を映画化した本作。足を踏み入れた者は命を落とすといわれる“エリアX”という隔離地域から帰還し危篤状態に陥った夫を救うため、大学教授のリナ(ナタリー・ポートマン)は女性だけで構成された調査隊とともに“エリアX”に向かっていく。そこで彼女は不可解な出来事に遭遇するのだ。

やはりアレックス・ガーランドの新作というだけあって、VFXの数々に視線が奪われてしまうことは言うまでもない。前述した『エクス・マキナ』でアカデミー賞の壇上にあがった4人のうち、アンドリュー・ホワイトハーストとサラ・ベネットが本作にも参加。彼らをはじめとした一流のVFXアーティストたちが作り出した“エリアX”という異世界には自ずと惹きこまれてしまう。

なかでも“シマー”と呼ばれる、カラフルに揺らめく光のカーテンのヴィジュアルは息を呑む美しさ。それをくぐり抜けて深い森の中へと入り込んでいくカットから、薄暗い森の中にかすかに射し込んでいるイメージショットにいたるまで、じつに精巧に“異様なカラフルさ”を浮き彫りにすることで、作品全体の異様さが増していく。

なんといっても終盤の灯台のシークエンスは圧巻の一言に尽きる。灯台に向かうまでの砂浜に多数見受けられるクリスタルの木に無数の骸骨。そしてリナが穴の中に進んだ先で目撃する想像を超える出来事。この終盤の33分間だけでも、何度でも味わいたいという欲求に駆られてしまうほどだ(しかも手榴弾のリングを抜くカットに、ナタリー・ポートマンの出世作『レオン』を想起してしまった)。

物語としてのわかりやすさを排除しても、森や灯台という舞台設定の魅力を活かす以上の完璧なヴィジュアルを追求し、アカデミックな語り口でSF的哲学を貫く。ジョナサン・グレイザー監督の『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(13)や、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』(16)に追随する次世代SFサスペンスである本作は、恐ろしいほどの中毒性を備えている。

『アナイアレイション-全滅領域-』はNetflixにて独占配信中。

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