発達障害の僕が「食える人」に変わった「かばん」最強の選び方/借金玉

あらゆる物がどこかに消える残念な人々へ

僕のツールハックの中でも、最も大きな効果が出たのがこの「かばん」です。僕が「普通のことが普通にできない」サラリーマン生活から抜け出せた一番の原動力は、このかばんにあると言っても過言ではありません。ADHD傾向の強い人は、持ち物の管理が苦手なことが多いと思います。僕も大変苦手です。物をどこに収納したのか覚えておくのは本当に苦手ですし、パッキングも信じられないほど下手です。すぐにあらゆる物がどこかへ消えます。大事な書類も、大切にしたかった万年筆も、実印も、何もかもです。

そういうわけで、僕はこの「かばん」ハックに至るまで10個以上かばんを買い換えてきました。その上で、使いやすいかばんをどう選ぶかについての結論が出ました。

必要な、あるいは必要になるであろう物品全てを「ぶっこめ」るだけの容量を持ち、同時に一覧性が高く、またそれぞれへのアクセス性が高い。これを軸にかばんを選ぶ必要があります。物品管理が苦手な皆さんは、つい「整理整頓」や「出し入れ」などの工夫で全てを解決しようとしがちで、僕もずっとその工夫につまずいてきました。しかし「必要なときに必要な物がない」というリスクの回避だけを考えるなら、「全ての物をひとつのかばんにぶっこんでおく」という習慣をつけて、それを持ち歩けばいいのです。一覧性の高いバッグを使えば、「重い」という問題はありますが、他はおおよそ解決します。

僕くらい重症のADHDになりますと、「かばんが軽いと不安」という状態です。そこで重たいかばんの中にはとにかく全てが入っている、だから安心、これさえ持っていれば何とかなる、と思えるようにするのです。

かばん選び、7つの条件

【条件①】十分な容量(集約化が可能)

僕は毎日かばんの中身を適切に入れ替えるという行為ができないので、物をどんどん入れていってもある程度の期間容量的に耐えられるかばんである必要があります。また、必要になりそうな物はあらかじめ全て入れておく戦略を取るため、こちらでも相応の容量を必要とします。どれくらいの容量が必要かは、あなたの仕事によります。

【条件②】開口部が大きい

僕は折り重なった物品の中から必要な物を見つけ出す能力が非常に低く、また収納も非常に苦手です。だからかばんは開口部が大きくて内部の一覧性が高く、可能な限り多くの物品に「一手でアクセスできる」ことが重要です。我々にとって「見えない物は存在しない物」です。折り重なって一覧性を失った物品は全て消滅すると考えてください。

逆に、例えば一般的なリュックサックのように内部の仕切りがなく、物を積み重ねて収納する前提のかばんは、全く使いこなせません。また、かばんの奥にある物を取り出すために手前の物を一度出さなければいけないというのも、非常に大きな紛失リスクになるため可能な限り回避したいです。

【条件③】自立する

支えていないと倒れるかばんはとにかく使いにくいです。中身を取り出すにも、あるいは床に置くにも非常に不便。倒れた拍子に中身が吐き出される悲劇は、もう繰り返したくありません。あれは本当に恥ずかしい。

開口部を全開にしたままでも自立することが大切です。僕は片手で何かを持って、もう片方の手で作業をするということが非常に苦手です。注意力が分散し、何もできなくなってしまうのです。かばんは何の心配もなく地面に放り出せるものに限ります。これは絶対です。

【条件④】頑丈である。重要物品の保護材が入っている

僕は仕事上ノートパソコンを持ち歩くのですが、「丁寧にかばんを使う」ことが苦手でどうしても取り回しが荒くなるので、破損防止の保護材が中に入っていることが必須です。落とす、ぶつけるは日常茶飯事なので。思い切り放り投げても大丈夫、くらいの強度は必須と言えます。僕はあらゆる物に衝突しながら歩く人間です……。ADHDの方には非常によくある傾向でしょう。

【条件⑤】内部は4つ以上に仕分けられ、かつそれぞれ独立の開口部がある

物を収納する場所をある程度でも仕分けておけば、その分取り出すのが楽になります。また、郵便局に出す、役所に提出する、誰かに渡すなどのタスクを失念したらまずい物品を収納する専用の場所も欲しいところ。そこが空であれば安心できます。

【条件⑥】A4のバインダーが最低でも4つ入るだけのサイズと容量

後述の書類管理ハックのために必要です。また、このエリアも独立していると望ましいです。

【条件⑦】小物が一手で取り出せる、大きく、一覧性の高いポケット

電卓、スマートフォンの予備バッテリー、押印マット、朱肉、巻尺など、「業務上すぐに取り出せる必要のあるアイテム」はそれなりに多いです。かばんの中から物を探すのが下手なので、これは可能な限りアクセスしやすい位置に配置したいところです。

(つづく)

 
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【著者プロフィール】借金玉(しゃっきんだま)
1985年生まれ。診断はADHD(注意欠如・多動症)の発達障害者。幼少期から社会適応が全くできず、登校拒否落第寸前などを繰り返しつつギリギリ高校までは卒業。色々ありながらも早稲田大学を卒業した後、何かの間違いでとてもきちんとした金融機関に就職。全く仕事ができず逃走の後、一発逆転を狙って起業。一時は調子に乗るも昇った角度で落ちる大失敗。その後は1年かけて「うつの底」から這い出し、現在は営業マンとして働く。ブログ「発達障害就労日誌」Twitterが話題となり、初著書『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』を刊行する。

【書籍紹介】『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』(KADOKAWA)
うつでもコミュ障でも必ず成果は出る!発達障害だから書けた「弱者の戦略」。
自分は「大人の発達障害」なのでは、と悩む人が多いなか、その解決策を具体的に示した本は少ないのが現状です。
本書には、発達障害当事者である著者が、試行錯誤と度重なる失敗の末に身につけた「本当に役立つ」ライフハックだけを詰め込みました。発達障害の人はもちろん、グレーゾーンの人、仕事や人間関係がうまくいかない人にも役立つ1冊です。

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