本を読むスピードを上げたいなら〇〇を唱えよう/ライフハック大全

「速く読む」ために、頭の中の声をマントラで抑制する

私はあまり速読には重きをおいていません。1冊の本を数十分でスキャンするように読める、写真を撮るようにページを記憶できると主張する人もいますが、たいていは内容に対する先入観に基づいた飛ばし読みに過ぎず、本を味わうことにはつながらないからです。

それでも、平均的な速度を上げるために気をつけることができることはいくつかあります。何も考えずに読みはじめるのではなく、あらかじめ目次や節見出しを頭に入れて本の構造を立体的に構成しながら読むことや、ページ中の意味を探しながら読むスキミングという方法を意識して読むことなどです。

人によっては、声に出さずに意識の中で音読をしてしまうという癖をもっている場合もあります。これを抑制して、目の動くスピードで読むことができれば、読書を加速することが可能です。

謎の言葉「インガー」

こうした心の中の声を抑制する方法として、私が師事した高校の心理学の教師が勧めてくれたのが、無意味な言葉を読み上げながら目で文章を追うという方法です。

意味のある言葉だと読んでいる内容と干渉してしまいますので、その人は「Inger(インガー)」という意味のない文句を頭の中で唱えながら目を走らせることを教えてくれました。

頭の中で文章を読み上げそうになった場合は、舌の上でこうした無意味な言葉を仏教のマントラのように転がしつつ、目だけを素早くページの上に走らせます。このとき、ページの一番端まで目を動かすのではなく、中央部分を往復することで視界の端に行端が引っかかるようにして読むとさらに効果的です。

速読には限界がありますが、実はすべてのすきま時間で常に本を読み続けることで、全体の速度を上げることはできます。そのためには、いつでも、どんな場面でも開くことができる本を複数用意しておくという方法があります。

多くの読書家が実践しているのは、たとえば自分の部屋でゆっくりと読む本、通勤の途中で読む本、リラックスしたいときに読む本、といったように複数の本に同時に取り組むことによって、常になんらかの読書が進んでいるようにすることです。

たとえば読むのが難解な本を1冊だけ読んでいて、それが終わるまで他の本に手を出さないということをしていると、短い時間や、難しい本を読む気分ではない時間を読書にあてられなくなってしまいます。

それを避けるために、難解なものと平易なもの、勉強のための本と遊びのためのもの、持ち歩けるものと分厚いもの、紙の本とデジタルの本といった組み合わせで複数を同時に読むことで、さまざまな時間を読書に割り当てることができるのです。

複数の本を同時に読む場合は、特に難解なものや、筋を覚えていなくてはいけない本について読書ジャーナルをつけておきます。また、小説の終盤などのように特に大切にしたい箇所は意識して時間を割り当てるといったように、それぞれの本を味わうためのペースも考えたいところです。

この方法においては、同時に読むとよい冊数は、人によってまちまちです。2冊という人もいれば、6冊ほどを同時に進めるという人もいます。重要なのは、数をこなすことではなく、限られた時間で本を味わうための最適なペース作りなのです。

(つづく)

【著者紹介】堀 正岳(ほり・まさたけ)
研究者・ブロガー。北極における気候変動を研究するかたわら、ライフハック、IT、文具などをテーマとしたブログ「Lifehacking.jp」を運営。知的生産、仕事術、ソーシャルメディアなどについて著書多数。理学博士。

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