最強の「自律分散型チーム」を生み出すスケジュール共有ハック/小山龍介

これまで多くの企業では、上意下達の組織体制で成功してきました。やるべきことがはっきりしていて、目標に向かって突き進むだけの状況であれば、そうした組織は大きな力を発揮します。欧米に追いつけ追い越せの時代は、それで問題ありませんでした。

しかしこれからは、追いつくのではなく、他がやらない新しいことをやっていかなければなりません。競争の軸が変わってしまったのです。

マーケットが広がっている間は、同じことをやっていても成長できました。しかし、マーケットが縮小していく中では、いかに独自性を出していくかということが求められます。そのなかでは、すべて監督からのサインによって動くタイプのチームでは、限界があります。

新しい時代の新しい組織とは、ひとりひとりが創意工夫を加えながら活躍する、サッカーのような自律分散型のチームです。サッカーでは、ある戦術を共有しているものの、状況に合わせて選手が自在にポジションを変えて対応します。お互いに約束を守りつつも、指示待ちをするのではなく、自律的に能動的にものごとに対処していくのです。

『ヒトデはクモよりなぜ強い』(オリ・ブラフマン/ロッド・A・ベックストローム著)という本では、頭を失ってしまうと機能しなくなる中央集権型の組織をクモに、現場が自律的に動く権限分散型の組織をヒトデにたとえて説明しています。21世紀型の組織は、クモからヒトデへと変わっていくのだと言います。

しかし、自律型の組織にも弱点はあります。全体の統率が取りづらく、それぞれの現場でバラバラになってしまいがちなのです。どんなにすぐれたチームであっても、戦術の共有がなされていなければ、烏合の衆と化してしまいます。自律分散型の組織を動かすためのテクニックが必要になるのです。

そのサッカー的な組織、ヒトデ的組織を見据えたチームマネジメントのハックが、スケジュールのクラウド共有です。お互いのスケジュールを共有することによってメンバーが自然と連携し、チームとしての一体感を生み出すのです。

チームメンバーの活動を連動させるスケジュールハック

僕のチームでは、あらゆるスケジュールをGoogle Calendarに集約して、チームメンバーに共有しています。誰がいつ、どのような仕事をしているのか一目瞭然です。サッカーでいえば、ピッチ上のどこに誰がいて、何をしているのかが分かるわけです。

仕事の状況も把握できるので、お互いのスケジュールが空いていたら、さっと短い打ち合わせを入れて状況を確認したりできます。また、仕事を頼んだり頼まれたりといったこともしやすくなるでしょう。ひとりに仕事が集中しているという状況も可視化されて共有されるので、仕事量の不公平も是正しやすくなります。

Google Calendarに集約した例。
  • Google Calendarに集約した例。

また、スケジュールを他人から見られるという適度なプレッシャーは、しっかり仕事をしようというモチベーションにもつながります。

軍隊式の組織であればノルマや予算目標、それに対する報酬などによって社員を働かせていましたが、他の人の活躍を見て「自分も頑張ろう!」と思うようになります。賞罰といった外発的な動機づけではなく、より内発的な動機づけによってメンバーが動くのです。

このスケジュール共有はさらに、「自分へのアポ」を入力する動機づけにもつながります。「自分へのアポ」とは、ひとりで行う作業に対して時間を確保するためのアポ。書類や企画書作成などの業務は、しっかりと時間を確保しておかないと、あとからスケジュールが破綻してたいへんなことになります。こうして他人からスケジュールを見える状態にすることによって、打ち合わせを入れられて作業時間がなくならないよう、各々、「自分へのアポ」を入れるようになります。

さらに僕の場合、プライベートの予定であってもオープンにしており、「この週末、家族旅行に行くのか」とか「この日は子どもの運動会があるんだな」といったものまで、チームに筒抜けになっています。子どもの送り迎えのスケジュールも入れていて、そこには予定を入れないよう気を使ってもらっています。

これから働き方改革で、人それぞれのワークスタイルに合わせた働き方を許容する動きが出てきていますが、その前提となるのはスケジュールの可視化にあるように思います。

現状、どのような働き方をしているのかが見えなければ、なかなか改善も、協力体制も組むことができません。スケジュールを共有することで、チームでの共創の第一歩が踏み出せるのです。

【著者紹介】小山龍介(こやま・りゅうすけ)
株式会社ブルームコンセプト代表取締役。名古屋商科大学ビジネススクール 准教授。

【最新刊】『仕事のスピードを上げながら質を高める 最強のライフハック100』(小山龍介著)
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