【本誌連載の拡大版】日本初の女子プロ野球選手、吉田えりインタビュー(1)

魔球「ナックルボール」で新しい歴史を作る!
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 日本初の女子プロ野球選手が誕生! 来春、開幕する関西の独立リーグの「神戸9クルーズ」にドラフト7位で指名されたのは川崎市生まれ、横浜育ちの超キュートな高校2年生。武器は魔球、「ナックルボール」。その軌道は本人にもわからないそう。

――「史上初の男子選手と一緒にプレーする女子プロ野球選手」。ちょっと長めですけど、球史に新たな1ページを刻む重みのある肩書きがつきましたね。

「まだ実感がわかないんですよ。プロ野球選手になるのが夢でしたけど、高校生になってだんだん男の子についていけなくなって。もう無理かな、と思っていたところにナックルボールに出会って。これならいけるかもしれない、と再び夢が膨らんできたんです」

――その夢がこんなにも早くかなうとは。

「思っていませんでした。いずれにしても、高校3年になったらプロ野球の入団テストを受けるつもりでした。そう思っていたから、高校1年の時に卒業後の希望進路先に『プロ野球選手』と書いたんです。それを三者面談の時にお母さんにも見せられて……お母さんも苦笑いしながら『あら、ウチの子って』と恥ずかしがっていました(笑)。担任の先生も『いいんじゃないですか。まだ高校1年ですから』と言っていました」

――そもそも、プロ野球選手になる夢を描いたのはなぜですか。

「やっぱりプロ野球選手は輝いているんですよ。プロ野球選手を見て野球を始める人って多いと思いますし、私もそういう輝いている場所でやりたいな、と思いました」

――吉田さんにとって最も輝いて見える選手は。

「ボストン・レッドソックスのティム・ウェイクフィールド投手です。あの難しいナックルボールを操っているところがすごいです。憧れというか好きな選手は楽天のマー君。あの迫力が好きです。ほかの人とは違う迫力がありますよね」

――そのナックルボールとの出会いについて詳しく聞かせてください。

「中学3年の部活が終わった時ですね。こういうボールがあるよ、とお父さんが教えてくれて。小学校や中学校の時もちょこちょことピッチャーをやっていて、ストレートとカーブをごく普通に投げていたんですけど、やっぱり男の子についていけないな、どうしようかな、と思っていた時だったんです。ナックルボールのことは全然知らなかったけど、すごく変化するし、しかも軽く投げている。『何だ、この球は』と思いましたね。でも、これなら体力はいらないし、(マスターすれば)いけるんじゃないかと」

――初めて投げた時はどうでしたか。

「難しかったですよ。硬式ボールは硬くて重いし、実際に投げたら手の指は痛くなるし、中指の爪も痛くなって。簡単そうに見えて実はすごく難しい。でも、お父さんやお兄ちゃん、それにお兄ちゃんの友達が手伝ってくれて、最初のころは(自宅の地下室で)毎日50球ぐらい投げていました。自信が出てきたのは一年ぐらい経ってからだと思います。もちろん、いまもまだ完全にはマスターしていません。中指の爪がかける時もあるし、ホント、大変です。(保護するために)マニキュアを塗っても全然意味がない時があって」

――握りを見せてもらえますか。

「(小指を使わずに親指と薬指でボールをはさみながら)自分はこういう投げ方です。小指がいらなくなっちゃいました(笑)。不思議とはじめからこの握りでしたね。ボールを離す瞬間に押し出すように……ジャンケンのパーにするような感じですね。自分の感覚でいろいろと研究しながら投げ込んでいるうちに、いまのアンダースローとサイドスローの中間ぐらいの投げ方になりました。球速は100�にいくかいかないかぐらいですね。自分の場合、ストレートとあまり変わりません」

――ナックルボールは投げる側もどこに行くかわからない、と言います。

「実は自分でもわからないんです。たまにそのまま伸びていって、キャッチャーのミットをポンッと弾いたりすることもあるんです。あまり大きな変化をすると、キャッチャーが弾いた時にランナーに走られちゃうので、ボール一個分の変化がいいと聞きました。それでバットの芯を外して打ち取るのが理想ですね。三振を奪うよりも打ち取った方が球数も減るし。でも、まだまだです。難しいボールです。2年間投げてきた自分の経験からすると、9月と10月が一番変化しますね。理由はよくわからないんですけど。あと、雨の日はダメですね」

――実際の試合で1イニングをまかされるとします。トータルで10球から15球を投げるとして、球種の配分はどうしますか。

「初球からナックルボールでいきます。自分の場合、カーブやストレートだと何か打たれるかなって。カーブとかストレートを投げて打たれると悔しいし、心残りですから。やっぱり、もし打たれるならナックルボールがいいかなって(笑)」

◆プロフィール
よしだ・えり 1992年1月17日、川崎市生まれ。来年4月開幕の関西独立リーグ、神戸9クルーズがD7位指名。日本初の女子プロ野球選手に。年俸180万円

◆神戸9クルーズHP
http://www.kobe9.jp/

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