【本誌連載の拡大版】日本初の女子プロ野球選手、吉田えりインタビュー(2)

ドラフト後は40社ほどから取材が殺到したそう。YWは特別に自宅で時間をもらいました
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――そもそも、なぜ関西独立リーグのトライアウトを受けたんですか。

「正直言うと、ちょっとした旅行気分でした。家族で行ったんですけど、家族で旅行する機会がここ3、4年なかったので……関西方面にも行ったことがなかったので。ホントに1次すら受かるとは思っていなかったんで、トライアウトは神戸で行われたんですけど、1次終わったら大阪に寄って、みんなで遊んで帰ろうという予定だったんですよ。そうしたら受かっちゃったんで、ホント、びっくりして」

――川崎北高校でも野球部に入っていたんですよね。

「はい。でも、入ってすぐに右の手首をけがしちゃって。竹バットで、それが手にすごく響いて。その時は社会人のクラブチーム(千葉熱血MAKNG)にもまだ所属していて、週5日ぐらいしか高校の練習に出ていなかったんですけど……自分としてはナックルボールを練習したかったんですけど、なかなかできなくて。5日間、バッティング練習ばかりで自分の練習ができなかった、というのもあって退部しました」

――クラブチームでもナックルボールを投げていたのですか?

「いまの女子野球チーム(アサヒトラスト)では投げていません。女子野球は金属バットで芯が大きいので、さすがに打たれるだろうな、と思って。クラブチームの時はあまり試合に出られなかったんですけど、練習とかでは投げていました。実戦形式で打者に投げたのは、実はこの間のトライアウトが3回目ぐらいなんです」

――そのトライアウトを改めて振り返ると。最終日の試合形式での登板は空振り三振、四球、セカンドゴロ、ショートフライと見事な内容でした。

「初日は、ピッチャーは室内で一人4分間ずつ投げて、2日目はシート打撃みたいな形で打者3人に投げてライトフライ、レフトフライ、セカンドゴロでした。一応、ノーヒットに抑えてます(笑)。アウトを取れたことはうれしいんですけど、実はまったく覚えていないんですよ。けっこう緊張していて、周りが見えてなくて」

――その結果が、サクラサク!

「全部が終わった後にみんな集められて『11/16にドラフト会議がありますので、それまで風邪を引かないように』と言われただけなんです。そうしたらドラフト会議の3日ぐらい前に『当日は大阪に来てください』と連絡があって、『どうしてかな』と思っていたぐらいですから。そうしたら、大阪に着いた時にお父さんとお母さんから『神戸から7位で指名されたよ』と聞かされて。何かすごい一日だったなと。こうなるとは全然想像していませんでした」

――女性オーナーの廣田和代さんには会いましたか。

「はい。ドラフト会議の後にお会いしました。自分のことをすごく考えてくれていて。住むところはホームステイというんですか、チーム関係者のお宅に部屋が空いているということでそこに。高校は2年生が終わるまではいまの川崎北高で、3年生からは転校します。一応、高校は卒業しておきたいんです」

――周囲の反応はどうですか。

「クラスの友達は『夢がかなってよかったね』とか『神戸に行っちゃうのは寂しいよ』と言ってくれました。自分もやっぱり寂しいです。それに、いまの所属している女子野球チームがすごく好きで。まだ入って2か月ちょっとなんですけど、もう1年ぐらい一緒にやっている感じがして。そのチームと別れるのも辛いんですけど、チームからは『何かあったらすぐ戻って来い』とすごく心強い言葉をもらっています。『神戸合流まではウチの練習に出て来い』とも言ってくれました」

――春になれば「神戸9クルーズ」のキャンプがいよいよ始まります。

「自分の場合、すべてが足りないですね。何もかもやった方がいいと思っています。ストレートももう少し速くしたいし。(自身が投げている写真を見ながら)すごい自分は体が開いているなと思うんですよ。このグローブの位置とか足の位置とか、もう最悪ですね!」

――いまも学校から帰ったらトレーニングをしているのですか。

「土日に一生懸命している感じです。高校生なので、平日の放課後は友達と遊んだりして。それに、平日は練習相手がいないんですよ。お父さんもさすがに毎日できないので。手が空いている時は、お父さんやお兄ちゃんに手伝ってもらいます」

――ご自宅の地下室には筋トレの器具もそろっていますけど。

「筋トレはそんなにしないです。余計な筋肉がついちゃうから」

――基本的にピッチャーは筋トレよりも走り込みが重要ですからね。

「走りもしてないです。走るの、嫌いなんです(笑)。ちょっと走りの方は……ダメですね、しなきゃ。監督からは背筋と腹筋は鍛えておけ、と言われています」

――監督のことはご存知でしたか。阪神タイガースで投手として活躍した中田良弘監督。ピッチングもそうですけど、甘いマスクでも有名でした。

「知らなかったんですけど、実際、本当にイケメンでした(笑)」

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