「書類を探す時間」を減らすためにトヨタ社員がしていること/トヨタ流片づけ術

「書類を探す時間」は、積み重なると大きなムダとなる

オフィスで働いている人は、ものづくりの現場で働いている人ほど、整理・整頓やムダについて意識していないかもしれません。しかし、自分のデスクまわりにも、実は多くのムダがあるのです。

たとえば、デスクの上に、たくさんの書類やファイルなどを乱雑に積み重ねている人をよく見かけます。

タワーのように書類を積んであっても、「自分は必要な書類をすぐに取り出せる」と豪語する人もいますが、いったんほかの人が整理したり、書類の山が崩れてしまったりすると、どこにどの書類があるかわからなくなりますし、何より見た目が悪い。

上司から頼まれた資料を何分も探した挙句、結局出てこない、といった話はよくあります。パソコンの中のファイルやメールでも同様です。これらも当然、時間のムダなのですが、「そのくらいは、たいした時間ではない」と涼しい顔をする人もいます。

しかし、1日30分間、何かを探す時間に充てていたらどうなるでしょうか。

1カ月20日働くとすれば、1年で7200分(600分×12カ月)。ということは、1日8時間働くとすれば、年間15日間の貴重な時間を探すことに費やしていることになります。これをムダといわずに何といえばよいでしょうか。小さなムダも積み重なると、大きなムダになるのです。

今日、必要なもの以外はデスクの上に出さない

トヨタでは、オフィスであっても整理・整頓が求められます。

あるトレーナーは、こう証言します。

「私が所属していたトヨタの生産管理部では、書類は10秒以内に取り出すことが暗黙のルールでした」

つまり、上司から「あの資料を見せてほしい」と言われてから、あたふたと探しているようではダメ。これこそ、探す時間のムダです。

トヨタで39年もの間、車体製造の工程を担当してきた別のトレーナーもまた、デスクまわりの整理・整頓を心がけて仕事をしていた一人。

「デスクの上に積まれた書類の山の中に、今日の仕事で必要なものは、どれだけあるでしょうか。今日の仕事で使うのは、その中の一部で、ほとんどのものは使わないはずです。なかには、1カ月以上、ひどい場合は1年以上使わないような資料が積まれているケースさえあります。

デスクで仕事をするうえでの鉄則は、『今日、必要なもの以外はデスクの上に出さない』ということ。明日、使う書類は必要ありませんし、文房具も今日使わないのであれば、定位置に収納しておくべきです。そして退社するときには、デスクの上には何も残っていない、というのが理想的な状態です」

置きっぱなしの書類のほとんどは捨てても問題ない

社内で地位が上がり、部下が増えれば増えるほど、デスクまわりが乱雑になってくる人も少なくありません。

部下が増えれば、それだけまわってくる書類が増える。出席する会議も増えるので、資料も多くなる。だから、それらを保管するスペースがどんどん増え、モノばかり増えていく。そして、「場所がない、場所がない」とボヤいているのです。

しかし、トヨタの場合、管理職になるほどモノが少なくなり、デスクまわりがすっきりしている場合が少なくありません。

「500人を超える部下を抱えているのにもかかわらず、デスクまわりがキレイに片づいている課長」という人がいますが、機械部で課長職を経験したトレーナーの土屋仁志もその一人。

一時は530人を超える部下のマネジメントをしていたにもかかわらず、「デスクの上に置かれているのは電話1つ、しかも、キャビネットは3つだけだった」と土屋は言います。

「自分のデスクの上に置きっぱなしになっている書類を見渡してみてください。本当に必要なものなど、ほとんどないはずです。

本当に重要なものは、データならパソコンの中に入っているし、紙なら鍵のかかる引き出しなどに入れてあるはず。なくして困るものなら、肌身離さず持っていて、家に持ち帰るでしょう。自分の免許証をデスクの上に放置する人はいませんよね。財布などは決まった位置に入れているはずです。それはデスクの上でも同じ。

デスクの上に置きっぱなしにしているという時点で、捨ててもかまわないものである可能性が高いでしょう」

人間心理として、「いつか使うかもしれないから捨てにくい」と思ってしまうものですが、実際には、捨てて困ることはほとんどありません。だいたいはパソコンの中にデータとして残っていますし、ほかの誰かが保管しているものです。

大事に資料などを保管している人もいます。「またいつか使うかもしれない。だから捨てにくい」と言いますが、現実に使うことなどめったにありません。

そもそも時間がたてば、ビジネス環境は大きく変わっています。昔の資料などは時代が古くて使いものにならない。そのときにはそのときの新しい資料が必要になっているはずです。

【POINT】

トヨタでは、工場にかぎらず、オフィスでも片づけが重要視されている。10秒以内に目当ての書類を取り出せるかどうかが目安となる。

【著者紹介】(株)OJTソリューションズ
トヨタとリクルートが設立したコンサルティング会社。トヨタ在籍40年以上のベテラン技術者が「トレーナー」となり、トヨタ時代の豊富な現場経験を活かしたOJTにより、現場のコア人材を育て、変化に強い現場づくり、儲かる会社づくりを支援する。製造業から金融・介護・自治体などの非製造業、または海外拠点まで、様々な業種・地域の顧客にサービスを提供している。20万部を突破した『トヨタの片づけ』、『トヨタの育て方』『[図解]トヨタの片づけ』『トヨタの上司』、文庫『トヨタの口ぐせ』(すべてKADOKAWA中経出版)などシリーズ累計80万部を超える。

【著書紹介】トヨタの片づけ
「ムダ」が宝になる! トヨタ式の驚くほど結果が出るようになる「片づけ」の極意。「『いらないもの』探しは壁ぎわから」「1年間使わなかった名刺は即刻処分」「線を1本、引きなさい」など、すぐに使えるメソッドが多数。

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