転職エージェントに丸投げしていませんか? 『このまま今の会社にいていいのか? と一度でも思ったら読む転職の思考法』【後編】

この本から転職市場に挑むための知識と考え方を学んでみましょう。

安易に転職エージェントに任せきってはいけない

普段忙しく働く人が、転職活動にかかりっきりになるのは難しいもの。まずは、転職エージェントに頼ってみる、という人もいるでしょう。

しかし、彼らもビジネスでやっているのであって、どんな親切な人であれ究極的には顧客のためでなく、自分のためにやっていることを忘れてはいけません。どんなビジネスであれ、これは当たり前のことですから。

――転職エージェントは短期的な視点でしか物事を見ていないーー

そう断じる本書では、転職エージェントに対しなかなかに厳しい物言いもしています。それでも、全面否定しているのではなく、直接応募、友人からの紹介などチャンネルは複数持った上で、転職エージェントも賢く利用させてもらうことを推奨しているのですけど。

では、どのような視点でエージェントを選べば良いのか。

一、 どこがよかったか、入社するうえでの懸念点はどこかをフィードバックしてくれる

二、 案件ベースでの「いい、悪い」ではなく、自分のキャリアにとってどういう価値があるかという視点でアドバイスをくれる

三、 企業に、回答期限の延長や年収の交渉をしてくれる

――同書/第1章「いいエージェントの五箇条」よりーー

ここで全てのネタばらしはしません。残りが気になったあなたは、自分で実際に手に取って読んでください。

このように1章では、転職にすぐに使える情報がたくさん用意されています。残す2〜4章はどちらかというと、転職にまつわる情緒面の問題を解消するのに役立つ内容にとどまっている印象。しかし、この本にとって重要な「思考法」はそこにこそ詰まっているように思えました。

滲み出る著者の怒りこそが最大のメッセージ!?

物語形式で構成された同書の2〜4章では、転職に一歩踏み出した後に起きがちな悩みや問題が解決されていきます。それと同時に著者が持っている「転職を邪魔する存在への怒り」を感じさせるような箇所も見受けられ、そうしたビジネス書らしからぬアツさが本書の一つの魅力。そこから、いくつか抜き出してみましょう。

――「『辞められない』という思い込みの檻の中に閉じ込められたら、どんな人間も必ず自分に小さな嘘をつくことになる」――

本書を通じて説かれているのは当然ながら「転職をすることの意味」ですが、読むほどにむしろ「転職を“しない”ことの意味」についても考えさせられます。

現状になんの不満も感じていない、転職なんて考える必要がないと感じている。そんな人にとっても、現在の職場を離れることなく自分の価値を高めていくためにも役立つ本なのではないでしょうか?

――「転職が悪だというのは、新たな選択肢を手に入れる努力を放棄した人間が発明した、姑息な言い訳にすぎない。人間には居場所を選ぶ権利がある。転職は『善』なんだよ。個人にとっても会社にとっても」――

ここでは「転職は悪」というもの言いは、「努力を放棄した人間の姑息な言い訳」とかなりキツい言われ方をしています。というか、著者はもう怒ってますよね。その対象は、転職を決意した者の邪魔をする(と予想される)上司や企業だけではないでしょう。

おそらく転職を悪とはいわずとも、どこか後ろめたさを感じている、タイミングは今じゃないと後回しにしがちな読者に対しても向けられているのだと感じました。

そしてその怒りは、最終的にどこに向かうのかというと……。

――現在の給料に惹かれて成熟企業に入っても、マーケットバリューを高められなかった人間は、本間部長(編注: “会社のため”と架空計上を行い、降格処分を受けた人物)のように、どこかで肩叩き、あるいは言及にあわざるをえない。覚えておけ、この国の悪いところは、その事実は40代後半まで本人に隠しておくことなんだよ。――

ついに怒りは、「国」のあり方にまで向けられていました。

このように、転職へのネガティブイメージ・誤解をどうにかしたいという思いが溢れている本が、この『このまま今の会社にいていいのか? と一度でも思ったら読む転職の思考法』なのでした。

◇ ◇ ◇

最後に全体を通したまとめの感想となりますが、この本がタイトル通りに「このまま今の会社にいていいのか?」と一度でも思ったときに読むべき本かというと、そうは思いません。

いや、決して役に立たない本と言ってるのではなく、その逆なんですけどね。

本書自体に「いていいのか? と思ったとき」には、すでに手遅れであることが多いことに気づかされる内容を含んでいるから、タイトル通りのタイミングではちょっと遅いのではと感じてまして。

だからどちらかというと、就職を控えた学生のうちに読んでおくのがベスト。ですが、StudyWalker読者の皆さんは、すでに就職して何年も経っている人が多いでしょうから、「(今の会社に)いていいのか? と思う前」に読んでおくべき本なんじゃないかと、そう思った次第です。

【書籍紹介】『このまま今の会社にいていいのか? と一度でも思ったら読む 転職の思考法』(北野唯我・著、ダイヤモンド社)
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