北海道ゆるっと鉄道旅~室蘭本線3:鉄の街、室蘭の工業地帯を行く

列車に乗って、鉄の街室蘭の名物「ボルタ人形」を見に行きましょう
  • 列車に乗って、鉄の街室蘭の名物「ボルタ人形」を見に行きましょう

室蘭本線の旅。最終回となる今回は室蘭本線の東室蘭駅から室蘭駅までを紹介します。両駅の間はわずか約7km。工場の脇や住宅街の近くを通る路線で、北海道と聞いて一般的にイメージする雄大・広大な風景とは全く異なる雰囲気です。鉄の街、室蘭を進む短距離区間に乗車してみましょう。

【写真を見る】室蘭駅に停車中の普通列車
  • 【写真を見る】室蘭駅に停車中の普通列車

工業地帯の中、特急列車が普通列車に!?

東室蘭駅から室蘭駅までを走る列車は、普通列車のみ。主に1~2両編成程度のディーゼルカーが行き来しているほか、5両編成の特急電車の車両を使った普通列車も。こちらは札幌駅発着の特急列車「すずらん」の車両。札幌駅から東室蘭駅までは特急列車として運転していますが、東室蘭駅で列車種別を変更し、室蘭駅まで普通列車として運転します。

室蘭駅に停車中の特急電車の車両。東室蘭駅と室蘭駅の間は乗車券だけで乗れます。ちょっとお得な気分!(室蘭駅にて)
  • 室蘭駅に停車中の特急電車の車両。東室蘭駅と室蘭駅の間は乗車券だけで乗れます。ちょっとお得な気分!(室蘭駅にて)

もともと室蘭本線は、夕張市などの石炭輸送のために建設された路線。室蘭港が石炭の積出港として整備され、産炭地から大量の石炭が室蘭本線を経由して国内外へと運ばれていきました。室蘭市はカギ型をした地形のため、天然の良港。ここに石炭が大量に集まるうえ、噴火湾で砂鉄がとれたことから製鉄業も興り、工業都市として長年発展してきました。現在は石炭産業がなくなり製鉄業も縮小しましたが、北海道随一の重工業都市であることに変わりありません。この区間が全線複線電化されているのも、北海道内で重要な鉄道区間であった証です。

室蘭といえば工場夜景が有名!工業地帯だからこそ楽しめる風景です
  • 室蘭といえば工場夜景が有名!工業地帯だからこそ楽しめる風景です

「ボルタ工房」で鉄の街を体感!

東室蘭駅に停車中の室蘭駅行普通列車
  • 東室蘭駅に停車中の室蘭駅行普通列車

東室蘭駅から室蘭駅の列車に乗ります。東室蘭駅を出ると函館駅方面へと向かう線路と分かれ、しばらくの間工場や住宅の間を縫うように進みます。地図を見ると「W」の文字を描くかのような線形です。工場を右手に見つつ、一駅目の輪西(わにし)駅に到着。ここで途中下車して、「ボルタ工房」へ行ってみましょう。

輪西駅から徒歩約6分でボルタ工房へ
  • 輪西駅から徒歩約6分でボルタ工房へ

ボルタは屑鉄工房の「ボルトマン」など世界中のボルト人形を参考にして製作されたもの。ボルトやナット、ワッシャーなどをハンダづけした人形です。かつて輪西地区は製鉄所の門前町として栄えましたが、昭和時代後期に製鉄業が下火となりました。地域の活性化とともに、鉄の街室蘭をより多くの人に知ってもらおうと作られたのがこの工房です。ここではボルタ人形の購入と制作風景の見学ができるほか、ボルタ人形作りの体験も可能(要事前予約)。クリエイターになった気分でアートな作品を探したり自分で作ってみたり、してみませんか?

自転車に乗るボルタ。ボルトとナットなどでこんなに可愛らしい作品ができるのですね!
  • 自転車に乗るボルタ。ボルトとナットなどでこんなに可愛らしい作品ができるのですね!
武将のボルタ人形。想像力豊かになります
  • 武将のボルタ人形。想像力豊かになります
ガラス越しに製作風景を見学できます
  • ガラス越しに製作風景を見学できます

ブタだけどトリ!?名物室蘭やきとりは外せない!

室蘭駅はかつて約1.1km西側にありましたが、1997(平成9)年に商店街など街中心部が近い現在の場所へ路線短縮のうえ移転
  • 室蘭駅はかつて約1.1km西側にありましたが、1997(平成9)年に商店街など街中心部が近い現在の場所へ路線短縮のうえ移転

再び輪西駅へ戻り、室蘭駅行の列車に乗ります。工場や住宅が建ち並ぶ中を進む列車。カーブが多いため少しスピードがゆっくりに感じます。御崎駅、母恋(ぼこい)駅と、ちょっと綺麗な名前の駅名を過ぎると、終着の室蘭駅へ到着。

見た目は「やきとん」。それでも「やきとり」。これぞ「室蘭やきとり」、洋ガラシをちょっとつけて味わいます
  • 見た目は「やきとん」。それでも「やきとり」。これぞ「室蘭やきとり」、洋ガラシをちょっとつけて味わいます

室蘭といえば、室蘭やきとりが有名。豚肉とタマネギを串焼きにしたもので、洋カラシをつけて食べるのが流儀。味はタレが一般的です。豚肉を使っているのなら「やきとん」ではないの?と誰もが思うはず。でも、室蘭など道南の一部地域では豚の串焼きのことを「やきとり」と言うのです。なぜでしょう?

室蘭などでは戦時下に、食糧増産と軍靴の皮生産のため養豚が奨励され、豚のモツが大量出回るようになりました。当時はモツのほか野鳥も串焼きにされていたことから、これらすべてまとめて「やきとり」と称したことが語源ではないか、と言われている模様。ただ、確たる証拠はない模様。「郷に入っては郷に従う」ということで、豚肉のやきとりを味わいましょう!

訪れたのは、室蘭駅から歩いて3分ほどの「焼鳥 吉田屋」。2018年に近隣より移転して綺麗なお店ですが、創業は戦後まもなく。室蘭やきとりの老舗、知る人ぞ知る名店です。

気さくな女将、吉田さんが手際よく炭火で焼いてくれます(店内の様子は移転前の旧店舗です)
  • 気さくな女将、吉田さんが手際よく炭火で焼いてくれます(店内の様子は移転前の旧店舗です)

豚の精肉やモツなどを炭火で焼き、創業以来長い年月守られ続けている秘伝のタレにくぐらせた室蘭やきとりは絶品!タレは甘さやくどさがなく、うま味がありつつすっきり。肉の素材の美味しさが引き立つ味わいです。

店内には地元の常連客と思われる人が多数。仕事帰りの一杯にと訪れているのでしょうか。忙しそうに働く女将の様子を伺いながら女将と掛け合う姿に、長年積み重ねた阿吽の呼吸を感じます。工業の街で長年愛され続けている名店ならではの雰囲気です。

室蘭本線の旅、いかがでしたか?特急列車が行き交う長万部駅から沼ノ端駅までの区間、かつての石炭産業の栄華を感じる沼ノ端駅から岩見沢駅までの区間、そして今回の工業地帯を進む東室蘭駅から室蘭駅までの区間。区間により全く異なる顔を持つ路線で、それぞれに異なる魅力があります。気分と気持ちを入れ替えつつ、3回に分けて乗車してみてはいかがですか?

ボルタ工房 ■住所:室蘭市輪西町1-32-6 ■電話:0143・47・8233 ■営業時間:10:00~17:00 ■休み:5月~10月は月曜、11月~4月は日曜・月曜

焼鳥 吉田屋 ■住所:室蘭市中央町2-3-6 ■電話:0143・23・2948 ■営業時間:17:00~23:00 ■定休日:日曜※日曜含む連休で月曜などが祭日の場合は日曜営業、月曜など連休最終日が休み ■席数:39席(喫煙可)

キーワード

[PR] おすすめ情報