主演時代劇が2作連続公開。名優・役所広司が独自の時代劇観を語る

海外でも好評を博した『最後の忠臣蔵』。その見どころを役所広司が語ってくれた
  • 海外でも好評を博した『最後の忠臣蔵』。その見どころを役所広司が語ってくれた

先日、LAで行なわれたプレミア試写会が大好評を博すなど、日本だけでなく、海外でも話題になっている歴史大作『最後の忠臣蔵』(12月18日公開)。本作で、ある使命を全うするため、武士の身分を捨ててまで生きようとする主人公・瀬尾孫左衛門を演じたのが、実力派俳優・役所広司だ。従来の忠臣蔵を題材にした作品とは一線を画す内容や、かたくなに使命を成し遂げようとする孫左衛門というキャラクターについて、役所はどんな思いで撮影に臨んだのか? 今回は、そんな本作に対する意見や感想を語ってもらった。

まずは、自身が演じた主人公・瀬尾孫左衛門について。その人物像を、どのようにとらえていたのだろか?

「孫左衛門は、主の大石内蔵助から『自分に代わり、娘の可音を育ててほしい』と頼まれ、16年もの間、かたくなにそれを守ってきました。でも、可音の縁談が決まった時、自分の中に彼女に対する恋情があったことに気づいてしまうんです。自分の気持ちと、主の命令を守らなければならないという気持ち。現代人の感覚だと、不器用にしか見えないけど、そういった2つの気持ちを抱えて揺らぐところなど、すごく人間的で、演じ甲斐のある人物でした」。

『十三人の刺客』(10)に続き、時代劇に2本連続で出演することとなった役所。一見すると、全く趣の違う作品に思えるが、演じるうえでは意外な共通点があったという。

「どちらの作品も、太平の世となった江戸時代が舞台ですが、この頃は、侍よりも商人の方が幅を利かせるようになっていて、侍が侍らしく生きていくことが、なかなか難しい時代だったんです。『十三人の刺客』の島田新左衛門も、本作の孫左衛門も、そんな時代に侍としての死に場所を探していたので、非常に似たキャラクターだと言えますね。また、どちらの主人公にも「暴君を討ち取る」「主の娘を守り抜く」という使命があって、命懸けでそれを全うする点も似ていますね」。

本作では、赤穂浪士の生き残りであり、孫左衛門の親友でもある寺坂吉右衛門を佐藤浩市が、大石内蔵助の隠し子であり、孫左衛門が命懸けで守りぬく少女・可音を桜庭ななみがそれぞれ演じ、話題を集めている。これら共演陣との、撮影時のエピソードも聞かせてもらった。

「佐藤浩市さんは、いろんなジャンルの役どころを精力的にこなしている、日本映画になくてはならない俳優さんです。もともとよく知ってる仲だけど、劇中でも彼が演じる吉右衛門が登場する場面では『今まで一人で背負ってきた使命を、共有してくれる仲間が現れた』という気持ちになり、肩の荷が降りる感じでした。ふたりがしゃべる場面は少ないですが、その分、目で会話するシーンがたくさんあるので、そういった点にも注目して見てもらいたいですね。また桜庭ななみさんは、クランクインのずっと前から着物の着方や所作の練習に取り組んでいた姿が印象に残っています。時代劇初挑戦ながらも、監督の指導でメキメキ成長していって。勘が鋭くて、芯の強い女優さんだなあと、感心しながら傍で見ていました」。

また劇中には、京都の美しいロケーションや、生活感あふれるリアルなセットが多数登場する。こういったこだわりの光る環境で撮影ができたことを、俳優としてどう感じたのだろうか?

「本作の美術は、僕がまだ駆け出しだった頃からお世話になっている西岡善信さんという方が監修されました。なかでも孫左衛門と可音が暮らす家は、ふたりが過ごした年月を感じさせる、本当に良い雰囲気のセットです。俳優としても、気持ちよく芝居ができました。ちなみに、台所や風呂場は本当に使えるようになっていて、床も木目の出た、とてもリアルなものになっています。その分、じかに座ると凸凹していて痛かったです(笑)。でも、こういう質素な生活を丁寧に描くからこそ、そこに美しさを見出すこともできる。海外で行なわれたプレミア試写会でも、こういった点が楽しんでもらえていましたね」。

今年は主演時代劇が2本連続で公開されることになった役所。最後は時代劇そのものに対する考えを語ってもらった。

「若い頃は、時代劇ってオッサン臭いなあ、なんて思ったりもしましたが、やっぱり日本映画の中に残していきたいジャンルですね。そのためには、見てくれるお客さんはもちろん、まずは時代劇が好きで、楽しんで時代劇に取り組める俳優やスタッフを育てていかないといけない。そうしないと、時代劇が撮れる人間がいなくなってしまいますから。若い人たちに興味を持ってもらえるよう、これからも時代劇には挑戦していきたいですね」。

出演作のみならず、時代劇というジャンルの行く末についても熱く語ってくれた役所広司。そんな彼が出演する、数々の時代劇が公開された2010年を締めくくるにふさわしい大作『最後の忠臣蔵』をどうぞお見逃しなく!【トライワークス】

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