堺雅人や八千草薫らが戦争や東日本大震災について熱い想いを吐露

『日輪の遺産』の完成報告会見で堺雅人らが登壇
  • 『日輪の遺産』の完成報告会見で堺雅人らが登壇

「鉄道員」「地下鉄に乗って」などのベストセラー作家、浅田次郎の小説を映画化した『日輪の遺産』(8月27日公開)の完成報告会見が4月19日にスペースFS汐留で開催。主演の堺雅人、福士誠治、八千草薫、原作者の浅田次郎、佐々部清監督が登壇し、それぞれが映画への思い入れと共に、戦争や東日本大震災などについてあふれる思いを語った。

浅田次郎が、1993年に発表した「日輪の遺産」は、戦争中、マッカーサーの財宝900億円(現在の貨幣価値で200兆円)が秘密裏に隠匿されたという斬新な設定の戦争ドラマだ。映画では、3人の軍人と1人の教師、20人の少女たちが、戦争間近の極限状態で結束する姿と、その後に起こる悲劇が、見る者の胸を打つ。浅田は「1945年8月15日、それ以前とそれ以後の日本を、別の世界のように考えてしまうけど、そうじゃない。国民も、日本という名も変わっていない。だから日本の歴史をきちっと連続性をもって捉えるのが使命だと思っています」と真摯な表情で語った。

主人公の真柴司郎少佐役を演じた堺は「把握し切れないほど大きな作品に参加させていただいた。戦争という大きな出来事をどう捉えて、どうそしゃくしたか、消化し切れなかったものをずっと抱え込んでいる日本そのものの姿かもしれない」と感慨深い表情でマイクをとった。小泉重雄主計中尉役の福士誠治は、『チルソクの夏』(04)以来、8年ぶりの佐々部監督作の出演となった。「こういう時代、テーマが壮大なものに参加さていただき、いつも以上にとても緊張した現場でしたが、それがスクリーンで映っていたら嬉しいです」。

金原久枝役の八千草薫は、本作への思い入れの深さをしみじみと語った。「昨年、終戦50年ということで3本の戦争映画に出て、否応なしに戦争を思い出さずにはいられませんでした。当時、私も(少女時代の)久枝(森迫永依)が終戦を迎えた年とだいたい同じくらいの年だったので、いろんなことを思い出して。本当に思い入れが強すぎて、もう少し客観的に役をやれた方が良かったんじゃないかと。私自身も心に残る作品になると思います」。また、東日本大震災のことについても悲痛な思いを口にした。「今、もし財宝を見つけることができたら、今被災した人たちがどんなに潤えるかと思ったりしました。テレビで見た一部分は、戦争中の焼け野原と同じで。火が遠くから迫っていた感じもそうで、余計に映画のことを思い出したりしました」。

佐々部監督は、本作の映画化が難航し、足掛け4年かかってようやく本作が完成したことについて感無量のようだった。「4年かかったけど、監督10本目がこれになったのが、すごく幸せで。おふくろと同じ世代の八千草さんに出ていただけたし。ひめゆりの塔の悲劇の少女たちではなく、国が生まれ変わるという映画にしたいと思いました。被災した方と、それを一生懸命支えようとする日本人に勇気を与える映画になればと」。

最後に堺はこう締めくくった。「この映画は戦争を扱いながらも、人生で一度も経験してない、見通しの悪いことに人が直面した時のことを描いてます。その時、自分たちができることをやる、そこで歴史が動くし、その人の価値が決まる。この登場人物がどういう判断をしていたかと時々ふっと思い出し、今の自分の指針にしています。そういうことをかみ締めながら、これからもこの仕事を続けていきたい」。

戦争とは違うが、今、大地震という未曽有の災害に見舞われた日本で、私たちは何をすべきなのか。堺の言葉通り、本作を見れば普遍的な力強いメッセージが伝わってくる。スタッフ、キャストのそれぞれの熱い思いが込められた力作『日輪の遺産』を見れば、凛として襟を正したいという思いになる。【取材・文/ 山崎伸子】

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