「座頭市 THE LAST」の阪本順治監督の新作「大鹿村騒動記」は個性豊かな“オヤジ”集結!

原田芳雄を「いつか主演に」と考えていた阪本監督にとって「大鹿村騒動記」は念願の企画だった
  • 原田芳雄を「いつか主演に」と考えていた阪本監督にとって「大鹿村騒動記」は念願の企画だった

 勝新太郎の当たり役として知られ、ビートたけしも演じたことのある、盲目の剣の達人で時代劇の異色ヒーロー、座頭市。その市をSMAPの香取慎吾が演じて話題となった「座頭市 THE LAST」('10年)が、CS放送の日本映画専門チャンネルで4月24日(日)にTV初放送される。共演は市の妻・タネ役である石原さとみのほか、極悪非道なやくざの親分・天道役の仲代達矢や、倍賞千恵子、反町隆史、工藤夕貴らとそうそうたる顔ぶれが並んでいる。監督を務めた阪本順治に話を聞いた。

――長く続いてきたシリーズですが、これが最後の映像化とのこと。シリーズの“ラスト”に込めた監督の思いは?

「名だたる監督による過去の座頭市シリーズに近づきたいという思いはありましたね。全シリーズを見直して、愛する人のために刀を置こうとする、田中徳三監督の『新・座頭市物語』('63年)などには自分が撮りたいものとの近さを感じました。それ以外でも、市の『人を斬りたくて斬ってるわけじゃない』っていうセリフとか、そういう過去のシリーズの中にある精神性みたいなもの受け継ぎたいと思いました」

――本作で市が悪を斬る殺陣のシーンも、足場が悪くて狭い場所での戦いが多く、痛快というより、むしろ悲愴な雰囲気です。

「殺陣も、その精神性を体現しようと思って、無様なさまや、斬るときに苦悩するような市を見せようと狙いました」

――これまで勝新太郎さんやビートたけしさんの演じた市には、コミカルな要素もありましたが、香取さんの市は終始シリアスです。バラエティー番組やCMなどで見せる香取さんの明るいキャラクターからするととても意外ですね。

「シリーズを受け継ぐに当たって、何に特化したかというと“人を斬る痛み”。慎吾には、彼が最も得意とする柔らかさとか明るさを封じると何が出てくるのか、ということに期待しました。彼に課せられていたのは、市の抱える“闇”を表現すること。クランクイン前から彼はそのへんを理解していて、僕が打ち合わせ中にダジャレを言うと『そういうのやめてくれませんか…』って言われました(笑)。僕もダジャレを封じなきゃいけなかった(笑)」

 また、阪本監督は、原田芳雄を主演に迎えた新作「大鹿村騒動記」の公開を7月16日(土)に控えている。ベテラン俳優の原田は、「座頭市 THE LAST」をはじめ、「KT」('02年)、「亡国のイージス」('05年)などにも出演している阪本作品の常連でもある。「大鹿村騒動記」は、300年にわたり村歌舞伎が受け継がれている長野県大鹿村で、食堂を営む善(原田)のもとに、駆け落ちしていた友人の治(岸部一徳)と善の妻・貴子(大楠道代)が現れ、騒動が巻き起こるという物語。村に伝わる“大鹿歌舞伎”は実在するもので、その歌舞伎の上演を再現したクライマックスの場面は圧巻だ。

――実際に大鹿村で撮影されたんですよね。

「小さな村の小さな話なんですけれども、歌舞伎が真ん中にあることによって、エンタテインメントに満ちている。村の人たちがどこまで意識をされているかわかりませんが、とても虚構の似合う村で、だからこそそこで映画が撮れる。どこでもよかったわけじゃないんです。初めて村に行ったとき、最初に見た村人が黒人の親子だった(笑)。そこの中学校で英語を教えている先生の奥さんと子供だったらしいんですけど。僕らが持ち込む虚構を受け止めてもらえる感じでした」

――主演の原田芳雄さんを筆頭に、岸部一徳さん、石橋蓮司さん、小野武彦さん、でんでんさんら個性豊かな“オヤジ”俳優ばかりです。しかも皆、とても楽しそうに生き生きと演じてます。

「映画あるいは映画俳優が最も大事にしなきゃいけない、“遊ぶ”ことを日常から携えている人たち、“普通”とか“道徳”とか“倫理”からまったく縁遠い人たちに集まってもらって(笑)十分に騒いでもらう。それがキャスティングの肝でした」

――「座頭市 THE LAST」と比べると、この作品は開放感にあふれていますね。どのような人に見てもらいたいと思っていますか?

「映画を見に行ったとき、『どんな話を見せてくれるんだ?』っていうことはもちろん大事なんですけど、『どんな人と出会わせてくれるんだ?』っていうのも大事だとしたら、ぜひ若い人にこの原田芳雄さんを見に来てほしいですね。こんな人いたら面白いだろうなと思いつつ、最終的に身内にはいてほしくない感じのキャラクター(笑)。いま映画って、こんな人が近所や同じクラスにいるよな、っていう親近感を覚える登場人物が多いと思うんですけど、逆にこの映画の登場人物はいそうでなかなかいない。それで印象を残して興味を持たせる。そういうのが面白いんじゃないかな」

映画「座頭市 THE LAST〈PG-12〉」(本編前後に「日曜邦画劇場」支配人・軽部真一による阪本順治監督インタビュー付き)
4月24日(日)夜9:00-0:00ほか 日本映画専門チャンネルで放送

日本映画専門チャンネル公式HP
http://www.nihon-eiga.com/

映画「大鹿村騒動記」
7月16日(土)より全国ロードショー

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