第10回トライベッカ映画祭開幕!寒空の中、エルトン・ジョンの熱唱に観客も熱狂

映画『The Union』は、エルトン・ジョンとレオン・ラッセル(右)がコラボを組んだ同名アルバムの制作過程を描いたドキュメンタリー
  • 映画『The Union』は、エルトン・ジョンとレオン・ラッセル(右)がコラボを組んだ同名アルバムの制作過程を描いたドキュメンタリー

2001年9月11日に起きた世界同時多発テロで、富の象徴だったウォール街の世界貿易センタービルのツインタワーが崩壊した。大きな打撃を受けたマンハッタンのダウンタウンの復興を願い、ロバート・デ・ニーロらが中心となって2002年から開催されたトライベッカ映画祭が、早くも10年目を迎えた。

4月20日から5月1日(日)まで開催されている同映画祭のオープニングを飾ったのは、キャメロン・クロウ監督の『The Union』。同作は、エルトン・ジョンと、エルトン自身が大ファンだというレオン・ラッセルがコラボを組み、見事グラミー賞にノミネートされた同タイトルのニューアルバムの制作過程を描いたドキュメンタリーだ。ニューヨーカーや映画ファンと共に歩んできた同映画祭の10周年を飾るにふさわしく、グランドゼロから近いウェストリバー沿いのワールド・ファイナンシャル・センターの屋外ウィンター・ガーデンで、無料の上映会とエルトンのコンサートが開催された。

無料イベントに参加するために必要なリストバンドは当日16時から配布されたが、16時の時点で、先頭が見えないほどの長蛇の列ができていた。先頭にいた人々は朝7時から並んでいたそうで、列の中には同映画祭に参加するために、開催期間に合わせて休暇を取ってサンフランシスコから訪れたファンもおり、約2000人分の着席用リストバンドは、あっという間になくなってしまった。

17時から開場した会場は18時頃には満席になったが、デニス・レアリーの司会でセレモニーが始まったのは20時頃だ。デ・ニーロの朋友マーティン・スコセッシ監督やエルトンが登壇し、「ニューヨークは大好きな街です。この映画がオープニングに選ばれたことを大変光栄に思っています。皆さん、来てくれてありがとう」と挨拶し、同映画祭とキャメロン監督、そしてレオンの功績を称えた。残念ながら、レオンと、そしてキャメロン監督はマット・デイモン主演の最新作『We Bought a Zoo』(全米12月23日公開予定)の撮影中のため来場できなかったが、撮影現場からスクリーンを通じてファンに挨拶し、会場は大きな拍手で包まれた。

夜もふけて試写が始まったのは20時半、そして試写が終わったのは22時頃だった。10度を切る寒空の中、登場したエルトンは「指先がかじかんでる」と言いながら、ピアノの弾き語りで「Never Too Old(To Hold Somebody)」や「Song for you」など計6曲を熱唱し、「ラッセルは受けるに値する賞賛を得た。彼をとても誇りに思う」と、レオンへの賛辞を忘れなかった。

レオンは、カーペンターズで知られる「Superstar」などの作詞・作曲も手がけた70年代を代表するロックスターで、エリック・クラプトンやレイ・チャールズらにも多大な影響を与えたが、その後は人気が低迷していた。今も一線で活躍するエルトンが、葬り去られてしまった感のあるラッセルの才能をもう一度世の中に知らせたいとコラボを提案し、その様子を作品にすべく親友のキャメロン監督にメガホンを依頼したことで『The Union』が完成したわけだが、楽曲の中にもあるように「必ず立ち上がれる。遅すぎるということはない」というメッセージは、ラッセルのみならず、テロで被害を受けたニューヨーク市民たち、そして色々な状況で苦境に苦しんでいる世界中の人々に勇気と希望を与えてくれる、まさに同映画祭のコンセプトにふさわしい作品だ。

エルトンの素晴らしい歌声に、勤務帰りの観客らも含む約3000人あまりが寒さも忘れて酔いしれ、拍手喝さいが鳴り止まなかった。【NY在住/JUNKO】

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