ドラえもんやタラちゃん、アニメキャラの変な足音の起源って?

シンセサイザーもない時代に、身近な音で独自の世界を作り上げた大野松雄
  • シンセサイザーもない時代に、身近な音で独自の世界を作り上げた大野松雄

ドラえもんや「サザエさん」のタラちゃんなど、アニメには奇妙な足音をたてるキャラクターが数多く登場するが、その源流に当たる「鉄腕アトム」の足音は耳にしたことがあるだろうか? ピョコピョコという愛らしい効果音は何気なく聞き過ごしてしまいがちかもしれないが、実はこれ、当時最先端の電子音楽を応用した極めて先進的な試みだったのだ。そんなアトムの足音を作り上げた音響デザイナー、大野松雄を追ったドキュメンタリー『アトムの足音が聞こえる』が5月21日(土)より公開される。

日本初の国産テレビアニメとして「鉄腕アトム」の放映が開始されたのは1963年。まだ技術が未熟な時代であったため、パラパラ漫画と言われてしまうレベルのものだった。しかし、そんな映像の拙さを補ったのが、大野の作り出した未来の音だ。マリンバの音を録音したテープをヘッドにこすりつけて作り出したというアトムの足音のほかにも、これまでに聞いたことのない効果音の数々によって作品の世界観は劇的に変化することになった。

あまりに独創的な発想ゆえ、大野は作品の世界観を巡って、原作者である手塚治虫と衝突することも多かったという。だが「ASTRO BOY」として全米で放映された「鉄腕アトム」が、ディズニー作品に親しんでいたアメリカの子供たちからも支持された事実を考えれば、彼の功績は大きい。その後のアニメ界においても、「機動戦士ガンダム」などの音響作家たちから“天才”や“音の神様”と評されたり、絶大なオマージュを捧げられており、もし彼がいなければドラえもんやガンダムやサザエさんのあの音も生まれていなかったかもしれないのだ。

本作では、そんな大野の活動が与えた影響の大きさを「鉄腕アトム」を中心に明らかにしていく。監督を務めるのは、菊地成孔や相対性理論のPVも手掛ける冨永昌敬。劇中にはレイ・ハラカミやOpen Reel Ensembleなどのアーティストも登場し、エレクトロミュージックの先駆者としての大野を語るなど、「鉄腕アトム」を見たことがない方でも存分に楽しめる内容になっている。是非、劇場の音響システムで大野松雄による音の錬金術を目の当たりにしてほしい。 【トライワークス】

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