井上真央『八日目の蝉』初日挨拶で「子役の目力を参考にしました」

女優陣たちの名演技に注目してもらいたい
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不倫相手の子供を誘拐し、4年間育てた女性と、彼女に誘拐された過去を引きずる女性の心情を描き出した角田光代のベストセラー小説を映画化した『八日目の蝉』。本作が公開初日を迎え、主演を務めた井上真央、永作博美、小池栄子、森口瑤子、渡邉このみ、成島出監督が劇場に登場し、舞台挨拶を行った。

会社の上司で妻帯者の丈博(田中哲司)を愛した希和子(永作博美)は、彼の子供を身ごもるが、産むことは叶えられず、丈博の妻・恵津子の間に生まれた赤ん坊を誘拐。各地を転々としながら、流れ着いた小豆島でひと時の安らぎを得るが、警察の捜査の手が迫り、逃避行は4年間で終わりを告げる。それから17年が経ち、希和子に誘拐された恵理菜(井上真央)は、誰にも心を開かないまま大人に成長していた。ある日、岸田(劇団ひとり)という男と恋に落ち、妊娠。だが岸田は家庭のある男だった。恵理菜は、ルポライターの千草(小池栄子)との出会いをきっかけに、小豆島へ希和子との逃亡生活をたどる旅に出る。

誘拐された過去を引きずり、心を閉ざしている主人公・恵理菜を演じた井上真央は、「悩み抜いて演じた作品です。一つの光を信じるように、違う景色が見えるかもしれないと信じて頑張りました」と挨拶。演じた恵理菜という役柄については「何でこんなに大人なんだろうと思うこともありましたが、徐々に感情を学ぶうちに恵理菜を愛せるようになりました」と役作りでの苦労を語った。

永作博美は、誘拐した子供を4年間育てた希和子を演じた。撮影初日は、雨の中で赤ん坊を誘拐するというシーン。撮影を振り返った永作は「鮮明に覚えています。ただただ『この一日が充実し、最後までうまくいく』という願掛けのようなプレッシャーのようなものを自分に課して挑みました」と当時の思いを語った。また私生活でも母親となった永作は、「(子役の供を演じた渡邉このみと)いっぱい遊んだり、シールをいろんなところに貼ったり、ほかの子役の子たちの子供劇団に入って練習していました」と、温かな微笑みを浮かべ、母親の表情をのぞかせた。

ルポライターの千草を演じた小池栄子は、「自分にはハードルが高すぎるような難しい役でした。切迫した女性で、今の状態から一歩踏み出そうと悩んでいる。千草が自分の中に溶け込むまで、監督の指導のもと、何回もチャレンジしました」とコメントし、共演シーンの多かった井上について「私にとって井上さんが戦友で、井上さんがいなかったら乗り越えられなかったと思う」と熱い思いを語り、井上も「小池さんは辛い時、そっと黙って隣りにいてくれた存在で、この作品で出会えて良かったと思っています」と、相思相愛だったようだ。

恵理菜の実の母親・恵津子を演じた森口瑤子は、「内面で苦しみながら、普通の生活を送り、悩みながらも母性を抱いている役は難しくて、学校の生徒のようにわからないことをたくさん監督に聞いていました」と撮影を振り返り、夫婦役を演じた田中哲司については「『夫婦の空気感を出したいね』と話していました。田中さんは見守ってくれる方で、田中さんが演じた役はどうしようもない男性なので(笑)、現場ぐらいは大きな愛で包んでほしいなと思っていました」と、浮気男に対する女性の本音を明かした。

本作のメガホンをとったのは『孤島のメス』(10)の成島出監督。監督は「子供の扱いは永作さんがお母さんになっていたので助かりましたが、赤ちゃん役は浅はかな考えで双子をキャスティングしました。ただ一人が泣くと以心伝心してふたりとも泣き出してしまいました」と小さな女優に関する苦労話を話した。

また、子役の渡邉このみが花束を持って登場。登壇者に花束を手渡すと、「皆さん、見てくれてありがとうございます」と可愛らしい挨拶。花束を受け取った井上は、「このみちゃんの瞳をじっと見る目力を参考にしました。皆さん、その目力に注目してください」と応えた。

最後に、成島監督は「今回の撮影現場では、『あなたならもっとできる』と必ずやりきってくれると信じていましたが、彼女たちは想像した以上にやりきってくれた。一生忘れられないクランクアップになりました。その思いがスクリーンから伝わってくれればと思います」と作品に込めた思いを語った。監督と女優たちが複雑な心情の描写に挑んだ『八日目の蝉』。その母性と愛にあふれた人間ドラマを、是非とも劇場で堪能してほしい。【取材・文/鈴木菜保美】

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