最後の主演作を手がけた監督が語る、田中好子キャスティングの理由とは?

塩屋俊監督(左)と杉浦太陽が、急逝した女優・田中好子との思い出話を語ってくれた
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4月21日に急逝した女優・田中好子を偲んで、彼女の最後の主演映画『0(ゼロ)からの風』(07)が現在、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて特別上映されている。5月1日には、本作を手がけた塩屋俊監督と、田中の息子役を演じた杉浦太陽が舞台挨拶に駆け付け、彼女との思い出エピソードを語ってくれた。

舞台に登壇した杉浦は「現場では、田中さんのことを“お母さん”と呼ばせていただきました。一緒にご飯を食べるシーンや腕を組んで写真を撮るシーンもあって、本当の親子のように感じていました。そんな田中さんがお亡くなりになられたと聞いた時は、全然実感がわかなくて。お通夜に行っても、これは映画のワンシーンなんじゃないかと思えてしまい、なかなか現実を受け止めることができませんでした」と、涙ながらに現在の心境を吐露した。

一方、塩屋監督は「スーちゃん、あなたのラストメッセージ、こたえました。僕はあなたと次回作の約束をしていましたね。その時、僕は作品の構想を伝え、君に役柄の説明もしました。君はあふれんばかりの笑みを浮かべ、僕の話を聞いていました。そして、君は天国へと旅立ってしまいました。僕は決めました。あの作品は君がいないと成り立たないので、もうやりません。天国でまた君と会う日まで、大切にしまっておきます。その時には、最高のスタッフとキャストをそろえて準備しておくので、またカメラの前で会いましょう」と、追悼のメッセージを涙ながらに読み上げた。

また、舞台挨拶終了後の取材で、本作の主演に田中をキャスティングした理由について聞かれた監督は、「この映画は、悪質な交通事故でお子さんを亡くされた母親の実話に基づく物語です。その方は、交通事故の悲劇を少しでも減らすため危険運転致死傷罪という法律の新設に尽力し、その一方で、息子さんの夢を叶えるため必死に勉強して、彼が通う予定だった早稲田大学に3年かけて入学された女性なんです。そんな“息子を殺した犯人には厳しい一面を見せ、息子の夢を叶えるためなら天使のような顔を見せる”、2つの表情を演じられる女優は滅多にいません。この難役を演じられるのは田中さんしかいないと思い、いの一番に彼女に出演を依頼しました」と、田中の演技に絶大な信頼を寄せていたことを明かした。

続いて杉浦も「この作品を撮影していた頃、田中さんは闘病生活の真っ只中だったと思うんですが、現場ではそんなことは全く感じさせずに、いつも“明るくて優しいお母さん”として接してくださいました。そんな田中さんの息子として、その遺志を継いで、これからも俳優業に取り組んでいきたいです」と今後ますますの精進を誓い、会場を後にした。

『0(ゼロ)からの風』特別上映は、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて5月13日(土)まで上映中だ。【六壁露伴/Movie Walker】

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