99歳の新藤兼人監督『一枚のハガキ』を天皇陛下が御高覧

天皇陛下御臨席のプレミア試写会で、自身の作品を鑑賞した新藤兼人監督
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99歳という日本最高齢の現役映画監督・新藤兼人が、自身の戦争体験に基づき、映画人生最後の作品として放つ人間ドラマ『一枚のハガキ』(8月6日公開)。本作で主演を務めた豊川悦司、大竹しのぶが、新藤兼人監督と共にプレミア試写会に登場。客席の間を通って現れ、来場した観客に客席から挨拶を行った。

戦争末期に召集された100人の中年兵の一人・松山啓太(豊川悦司)は、仲間の兵士の森川定造(六平直政)から一枚のハガキを手渡される。それは定造の妻・友子(大竹しのぶ)から送られたものだった。フィリピンへの赴任が決まった定造は、生きて帰って来られないことを覚悟し、啓太がもし生きて帰還することができたら、「妻にこのハガキを読んだことを伝えてほしい」と頼まれる。

本作のメガホンをとった新藤監督は、今年4月に99歳の誕生日を迎えた現役映画監督。手がけた映画は脚本、監督作品を含めると、その数は230本を超える。二等兵として出兵し、自身が100人のうちの6人の生き残りという監督は、亡くなった94人の魂を伝えることをテーマに、その生涯をかけてきた。挨拶時、車椅子から立ち上がった新藤監督は、「映画監督の新藤兼人です。本日はありがとうございます。天皇陛下の特別鑑賞会。皆さんもどうかご一緒にご鑑賞ください。よろしくお願いします」と、しっかりとした口調で挨拶。場内の観客からは温かい拍手が起こった。

続いてキャストの豊川悦司と大竹しのぶは、後列の観客にも気を配りながら360度体の向きを変えながら挨拶。主人公・啓太を演じた豊川は、「本日はこのようなスペシャルな会に皆さんとご一緒できて大変嬉しく思っています。最後までごゆっくりご覧ください」と語った。戦争で夫を亡くし、年老いた舅姑と暮らし、義弟との結婚を余儀なくされた女性・友子を演じた大竹しのぶは、「新藤監督を中心に、キャスト、スタッフが一生懸命に作った作品が、このような形で皆さんと見ることができて本当に嬉しく思っています。今日は陛下と監督と私たち、そしてスタッフと一緒にこの映画を愛していただけたら嬉しく思います」と可愛らしい表情を見せながら話した。

監督とキャストの挨拶後、天皇陛下が御臨席。天皇陛下が新藤監督作品をご覧になるのは、1999年の日本映画名作鑑賞会で上映された『裸の島』(60)以来、約12年ぶりとなる。映画をご覧になった陛下の感想も気になるところだ。

戦争を体験した新藤監督だからこそ伝えられる戦争の悲惨さ、そして監督がフィルムに映し出した日本人の心とは? 戦争に翻弄され、全てを奪われた映画の中のふたりの姿を通して、新藤監督が本作に込めた反戦への強い思いを受け取ってほしい。【取材・文/鈴木菜保美】

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