『デビル』M・ナイト・シャマラン「今後は監督より製作者として映画を作っていく」

シャマラン(左)とドゥードル兄弟
  • シャマラン(左)とドゥードル兄弟

M・ナイト・シャマラン原案・製作による“ザ・ナイト・クロニクルズ”シリーズ第1弾『デビル』(7月16日公開)。監督ではない、製作者としてのシャマランに本作に対する思いを聞いた。

――原案・製作者として『デビル』のアイデアはどのように浮かんできたのですか?

「アガサ・クリスティーの大ファンで、本作は5年程自分の中で温めていたアイデアです。私が好きな作品は密室が舞台となっていて、そこに生じる超常現象に振り回されるるうちに登場人物のキャラクターがはっきりしてくるというようなものです。こうした映画には必ず魅かれます。エレベーターについて考え抜いてアイデアを構築した結果、エレベータに乗り込んだ5人の中の1人をデビルという設定にしようと思いました。これが発端です」

――ドゥードル兄弟がこの作品にふさわしいと判断した理由は何ですか?

「彼らが撮った『The Poughkeepsie Tapes』について聞かされていましたが、とても不快になる映画だと忠告され、なかなか見られずにいました。『よし! 見るぞ!』と思えるまでずっと鞄に入れて持ち歩いていたんです。案の定、映画は実に不快で暗い内容でしたが、とてもよくできていました。かなり倒錯していましたが、素晴らしい内容で、彼らなら『デビル』を任せられると思いました。面白いことをやってくれるんじゃないかとね(笑)。これとは別に『REC レック』のハリウッドリメイク版で、よりメジャーな作品『REC:レック ザ・クアランティン』も彼らが製作していることを知ったのです。これを見たらとても面白く、“彼らこそ『デビル』にぴったりだ! ここに呼ぼう!”ということになりました。彼らを飛行機で呼び寄せて『デビル』のメソッドを渡したらとても気に入ってくれて、『さあやろう!』となったのです」

――監督を他人に任せるという選択は難しいことでしたか?

「正直に言うと、私自身が監督をやるのは難しいと思いました。周りも私が手こずるのでは、と思っていたようです。でも結局そうはなりませんでした。ジョンとドリューに心から信頼を寄せていたし、何よりストーリーがふたりによくマッチしていたからです。ふたりには『この作品が持つ感覚を大事にしてほしい』と伝えました。クオリティーの高さにはこだわりましたが、基本的には彼らの思う通りにやってもらいました。何かが足りないと感じた時にはそれを伝えましたが、全体を通して彼らに納得のいく映画を作ってもらうことを大切にしました。サポート役は素晴しいポジションでした」

――今後は監督よりも原案・製作者として、より多くの映画を手がけていく意向ですか?

「そうでしょうね。大抵の場合、最期になって作品の良い点と悪い点、最終的な仕上がりを検討するものです。私にとっては常にポジティブな結果に終わります。今回、プロデューサーとして作品に関わりましたが、やはりネガティブなことは何もなかったと思います。作品に意識を向ける時は、常にポジティブな感覚を抱いていました。エキサイティングで刺激的な体験でした。製作者が互いに切磋琢磨できる互助会のようなものを作る。それが“ザ・ナイト・クロニクルズ”を通じて実現したいことです」

――デビルの存在を信じますか?

「信じます。地獄にも色々なタイプがあると思うし、本作はその一端を表現しているのです。何の助けもないと感じる時には、現実に起こっていることに対して言葉を失うような、自分自身の脆弱さと恐怖を感じているものです。地獄から抜け出すということは、自分の人生に責任を持つという意味だと思うのです。もし自分の人生をコントロールできたら、瞬く間に流れは変わり、より良い居場所を見つけられると信じています」

――なぜ観客は閉鎖された空間に恐怖を感じるのだと思いますか?

「私は観客自身の想像力をできる限り信じています。映画の製作者とは、観客の恐怖や想像力を引き出し、かき立てる手助けをするものです。たとえばモンスターがいるとします。モンスターを実際に目にすることより、モンスターの気配を音で感じる方がずっと恐ろしい。もしクローゼットに何かがいるとしたら、『お願い、開けないで!』と思うでしょう。姿が見えないまま、その引っかく音や息づかいが聞こえてきたら、本当に怖いですよね。自分の名前が呼ばれたりしたら、さらに恐ろしいと思います。私の場合、情報を極力少なくすることで、より恐怖感を煽るようにしています。これがエンターテインメントの恐怖を追求してたどり着いた形です。人は未知のものに対して恐れを抱きます。だからこの作品では情報を最小限に留めて、エレベーターという閉鎖的な空間に恐怖を創り出したのです」

――冒頭でデビルは私たちの中にいると子供に忠告していますね。ご自身の母親から、こうした作り話をされことはありますか?

「私の両親は移民で、一日中朝から晩まで医者として働いていました。とても働き者で古風な両親でした。私の場合、子供にする話はほとんどが自分で作ったものです。子供たちは怖い話が好きなので、『怖さのレベルは1から5のどれが良い?』と聞くようにしています。彼らはいつも『5!』と答えますが、『それだとベッドに一人で行けなくなるよ』と忠告します。4だとベッドには行きますが、怖い夢を見て目が覚めてしまうかもしれないので、結局いつも3で落ち着くんです(笑)」

――観客には何を感じてもらいたいですか?

「ジェットコースターに乗っているようなスリルを味わってほしいです。座席から飛び上がり、思わず隣の人にしがみついてしまうような感覚をね。ただそれだけではなく、ねっとりとした重い感覚も味わってほしいです。まるで何かにとりつかれてしまったような。それが私たちのゴールです」

――ドゥードル兄弟と一緒に仕事をして、一番ためになったと思うことは何でしょう?またご自身に変化はありましたか?

「彼らは私にはない感覚を持っています。私はずっと静かな人間です。私が落ち着けるのは静寂であり、そこにある大きな価値に疑問の余地はありません。私には本質的に、どうやって物事を肉付けしていくかがよくつかめていないのです。彼らは違います。彼らが私のアイデアをしっかりと把握し、期待以上のものにしてくれました。ひらめきを足してくれたのです。彼らは物事に肉付けし、エキサイティングに仕上げる方法を知っていました。私は彼らのやり方を取り入れていくつもりです。映画制作となると、他人からの影響で自分が変化していくのを止めることはできないと思います」【Movie Walker】

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