「アートとは常識を破壊すること」 アーティスト・ヤノベケンジと西野達が街とアートを語る2時間 「おおさかカンヴァス」アート座談会ダイジェスト! (上)

おおさかカンヴァスアート座談会
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大阪の街がカンヴァスになる!ことし2回目の試みとなるアートプロジェクト.「おおさかカンヴァス」で審査員を務める世界的アーティストのヤノベケンジさん、今回プロジェクトに出展予定でドイツ在住の現代芸術家・西野達さんと、やはりおおさかカンヴァスの審査員の玉置泰紀関西ウォーカー編集長の3人による座談会が行われた。「おおさかカンヴァス」やアートのおもしろさについて、約2時間、中身の濃いトークが繰り広げられた。

玉置 ヤノベさんは発足時から「おおさかカンヴァス」に携わってこられましたが、これはどんなものですか?

ヤノベ 「おおさかカンヴァス推進事業」は大阪府の橋下知事が「これからはアートの時代だ」と提唱し、大阪府主導で始めたプロジェクト。公募で集まったアーティストに大阪府内の場所を提供し、そこに作品を作ってもらいます。さらに場所を借りる調整や制作費(上限300万円)までサポートする、アーティストには夢のような事業です。

玉置 ことしは旅費、宿泊費なども出るそうですね。西野さんはドイツ在住ですが、海外からの宿泊費も出るのですか。

ヤノベ 場合によっては。もちろん国籍は不問。ことしも従来型の作品に加え、地域社会と密接に関わって、多くの人の参加によって作品を作り、それによる教育効果や地域活性、雇用の創出なども含めたプロジェクトを受け付けます。美術館やギャラリーなど特定のスペースの中で展開される展覧会ではなく、都市の持つ地域性や人々のエネルギーを取り入れ、大阪の街全体を使い切る大きな枠の構想です。

玉置 審査員として実に楽しみですが、昨年も傑作、力作が多数出展されていましたね。

ヤノベ 昨年の作品では子どもたちの夢を描き、LEDを仕込んだ夢の種が熱気球から万博記念公園に降り注ぐ高橋匡太さんの「夢のたね」や、淀川のゴミや漂流物を使ってチヌを作った淀川テクニックの「淀川前夜祭」、川の中に水中マイクを仕込み、水音と電車の音が聞こえる山口良臣さんの「川の中から電車の音が聞こえる」、空堀商店街の長屋を使ってフラミンゴを表現した酒谷星子さんの「フラミンゴ畑」、ジャイアント馬場が車をバックドロップしている永井英男さんの「B-PROJECT へそで投げろ」、「木津川ウォールペインティング」など22作品が展示されました。

玉置  西野さんの作品も予定されていたんですね。

西野 震災の関係で延期になりましたが「おおさかDNA」という作品を展示する予定でした。

ヤノベ このプロジェクトは費用の支給だけでなく、人的支援も受けられます。国の緊急雇用創出基金事業の費用を使い、ハローワークに登録されていて、技術のある人が参加、雇用を産みながらプロジェクトを進めていきます。

玉置  それはおもしろい。

ヤノベ これに参加することでアートの可能性を発見したり、自分の才能を改めて確認したり、引きこもりだった人が外に出るようになったりという社会的な意味のあるプロジェクトにつながっていったのは興味深く思います。

西野 橋下徹大阪府知事は当初文化には消極的だったのに、水都大阪でヤノベさんの作品を見てこのプロジェクトを始めたと聞きました。

ヤノベ 水都大阪は予定より予算が減ったり、関係していたアーティストも手を離したりして、僕も手を引こうと思っていたのですが、ここでやめたらいままでやってきたことをすべて否定することになってしまう。やめることによって可能性もなくなると考え、橋下知事に認めてもらえるようにやらなければいけないと考えました。

玉置  岡本太郎さんも困難な道を行けと行っていますしね。

ヤノベ 予算もないけど、七人の侍のような気持でした。市役所にはジャイアントトらやんを展示し、中之島図書館を「森の映画館」にするなど、街を別世界にすべくトらやんワールドを広げていきました。

玉置  ラッキードラゴンは関西ウォーカーでもスケッチを掲載しましたが、本当にできるかどうか心配でした。

ヤノベ スケッチができたのが展示の1カ月前で、さすがにスタッフにも無理といわれましたが、結果的にはできあがりました。火を噴いたりして、非常に人気もありましたよ。これらが評価され、橋下知事から大阪文化賞を贈られ、おおさかカンヴァス推進事業のきっかけになりました。

西野 日本人は相変わらずアートといえばモネやゴッホ、せいぜいピカソといったところですが、屋外アートなどのおもしろいアートを知ることができるのはいいよね。

ヤノベ わかりやすさもあるけれど、トらやんが着ているのは放射能防護服。僕は97年にチェルノブイリを訪問して、アトムスーツを着た作品を作っているし、ラッキードラゴンも第五福竜丸のこと。一見エンタテインメント風の印象の裏に強いメッセージがある。そのことまで知事が理解したかどうかはわかりませんが、アートが僕たちの生きている社会と密接な関わりを持つことも理解してもらえたのではないかと思っています。

●アート座談会出席者

<パネリスト>

ヤノベケンジ(現代芸術家)Twitterアカウント:@yanobekenji

西野 達(現代芸術家)  ホームページ:www.tatzunishi.net

<司会>

玉置泰紀(関西ウォーカー編集長)Twitterアカウント:@tamatama2

●配信日時:7/7(木) 19:00〜21:00

●アーカイブURL:

【USTREAMチャンネル「関西ウォーカーTV」】

その1:http://www.ustream.tv/recorded/15845844

その2:http://www.ustream.tv/recorded/15845931

その3:http://www.ustream.tv/recorded/15846082

その4:http://www.ustream.tv/recorded/15846396

その5:http://www.ustream.tv/recorded/15846496

その6:http://www.ustream.tv/recorded/15847037

●関連サイト

「おおさかカンヴァス」公式サイトURL:http://osaka-canvas.jp/

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