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ナチス時代を経験した脚本家ポール・ヘンゲが『ミケランジェロの暗号』に込めた思いとは?

『ミケランジェロの暗号』の脚本家ポール・ヘンゲが本作に込めた熱い思いを語ってくれた
  • 『ミケランジェロの暗号』の脚本家ポール・ヘンゲが本作に込めた熱い思いを語ってくれた

第80回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した秀作『ヒトラーの贋札』(07)のスタッフが贈るサスペンスミステリー『ミケランジェロの暗号』(9月10日公開)。第二次世界大戦時のヨーロッパを舞台に、ユダヤ人画商とナチス軍人が“ミケランジェロの絵”を巡って駆け引きを繰り広げる様を描いた本作で、シナリオを担当したのが、戦時中のウィーンで幼少期を過ごしたという脚本家ポール・ヘンゲだ。そのヘンゲ氏に、作品に込めた思いや人物描写に対するこだわりについて語ってもらった。

まずは、自身にとっても辛い経験である、ナチス占領時を物語の舞台に選んだ理由について聞いてみたところ、「時代背景よりも、どのような人物を描いたら面白いかか?という観点から物語を考えました。その結果、極限状態におかれた人間が、どういった行動を取るのかを丁寧に描く、という方向性にたどり着き、今回のお話ができ上がりました」との答えが帰ってきた。

ちなみに、同時代を舞台にした映画には“悲劇性”を重視した作品が多数あるが、本作はそれらとは打って変わり、“ユーモア”や“活劇性”を随所から感じ取ることができた。脚本執筆の段階でも、それらの違いは意識したのだろうか? 「この時代を描いた映画は、これまで何本も見てきましたが、私はそれらを『同情を呼ぶ映画』『痛みを分かち合うための映画』であると感じました。けれどもユダヤ人には、ただ同情されるだけではなく、自分たちの力で困難を解決していく力があります。また、人間はどんなに最悪な状況に陥っても、心にユーモアを持つことで生きていくことができる。つまり、ユーモアのなかには“生き抜くための力”が秘められているんです。この映画では、そんな力強いユダヤ人の姿と、ユーモアの持つ力を描いたつもりです」。

また、本作には“重厚な歴史ドラマ”と“ユーモアに富んだサスペンス”という2つの側面があるが、それらは互いに影響し合う要素として、劇中でも相乗効果を発揮しているという。「人に対して何かの話をする際、すぐに飽きてしまうような話し方があれば、関心を持って聞き続けてくれる話し方もありますよね。それと同じように、ユーモアには聞き手の興味を引き付ける要素があるんです。そして、緊張の続くドラマのなかに、時折、ユーモラスなシーンが入ることで、次に来る緊張感をより高めることもできるんです。とはいえ、そこで描かれる内容は、史実に沿った本当の出来事でないといけないし、誰もが納得する正しい行動でないといけない。つまり、どちらの面も両立して初めて、物語は成功したと言えるのです」。

劇中では、ユダヤ人の画商である主人公ヴィクトルと、その親友でありながらナチスに傾倒するルディというふたりの人物が、実に対照的に描かれているが、そのキャラクター設定にはヘンゲ氏自身の経験が活かされているという。「幼い頃、私の周りには人種に関係なく、大勢の友達がいました。ところが1938年、オーストリアがドイツに併合された瞬間に、私たちの友情は崩れ去ってしまったのです。ユダヤ人は劣等民族というレッテルを貼られ、何かにつけて迫害されるようになりましたが、そういった環境の中で、私はよく『もし、自分がユダヤ人ではなく、あちら側の人間だったとしたら、どんなことをするだろう?』と考えていたんです。ヴィクトルとルディは、その頃の自分の気持ちを反映したキャラクターとして作り上げました」。

過酷な時代を経験したヘンゲ氏だからこそ描ける“緊張”と“ユーモア”が融合した物語が好評を博し、第61回ベルリン国際映画祭でも話題を集めた『ミケランジェロの暗号』。本作を鑑賞する際は、当時の世界情勢や迫害された人々の歴史なども事前に確認しておくことで、物語の世界観により深く浸ることができるはずだ。【六壁露伴/Movie Walker】

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