『ヒミズ』の二階堂ふみ、園監督の現場で「180度変わった気がします」

『ヒミズ』で第64回ヴェネチア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した二階堂ふみ
  • 『ヒミズ』で第64回ヴェネチア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した二階堂ふみ

『冷たい熱帯魚』(11)、『恋の罪』(11)の鬼才・園子温監督作『ヒミズ』(1月14日公開)で、染谷将太と共に、第68回ヴェネチア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人俳優賞)を受賞し、脚光を浴びた二階堂ふみ。いよいよ公開を迎えた今、本作に出演したことで「強くなれた」と手応えを感じた彼女に、園監督の現場での撮影秘話を語ってもらった。

大きな夢も抱かず、ただ普通に生きたいと思っている住田祐一(染谷将太)。そんな住田に惹かれる茶沢景子(二階堂ふみ)は、愛する人と守り守られ生きていきたいと願う。ところがふたりの人生は、ある事件を境に変わっていく。

本作のオーディションの時、泣いてしまったという彼女。「この役をやりたすぎて、でもそれをどう伝えれば良いのかがわからず、もどかしくて泣いちゃいました。オーディションでは全然うまくできなくて、園監督から『この先、君は役者を続けていくつもりはあるの?』って聞かれた時、『わからないです』って正直に答えたんです。そしたら監督から『君は続けた方が良いよ』って言われ、『私はやりたいんです』って、わーってなっちゃいました」。そして、茶沢役に抜擢。昨年3月11日の震災後、脚本の内容が変わった。「前の脚本も良かったけど、後の脚本を読んだら、その力が強すぎてびっくりしました。私はこれをやったら絶対何かが変わるって、その時に思ってました」。

茶沢役にはどんなふうにアプローチをしていったのか?「役作りってよくわからなくて、どちらかというと、私は体と声を茶沢に貸すっていう方がしっくり来ます。本作では何回かリハをやるし、監督は『自由にやって』と仰ったので、感じるままにやっていって、どんどん茶沢として変化していったような気がします。順撮りだったのでシーンを重ねていくごとに、住田に対して恋とか愛とか言葉では表せない気持ちを感じるようになっていきました。茶沢はものすごく愛にあふれていて、住田からの愛や母性を感じながら撮影していき、また監督やスタッフ、染谷くんら共演者の方々からの愛も大きい現場だったので、全部が幸せでした」。

新人に対しては徹底的にしごくといわれている園監督の現場はどうだったのか?「最初、リハをやった時、全然怒られなくて、ひと言『4点』って言われて。その時は厳しいとも思わず、そう言われて当たり前の芝居だったと思いました。それで、次のリハでは絶対60点は取ろうと思ってやったんです。『何点でした?』って監督に聞いたら『12点』って。『私、60点を目指したんです』って言ったら『60点に限りなく近い12点だ』って言われて、面白い監督だなと思いました」。

現場では、園監督に守られていると感じたそうだ。「お互い人見知りなので、最初は全然話せなかったけど、現場に入っていくうちに少しずつ話すようになっていきました。それで、染谷くんも私も、自分が持ってるもの全てを自由に出せるような雰囲気の現場を監督が作ってくれていると感じていったんです。今回、監督に全てを預けられたし、だからこそ自由にできたんだと思います。現場では妙な安心感があり、自由といっても野放しなわけではなく、守ってくれているというか、一番理解してくれている人だなって思いました」。

この現場を経て、自分自身が変わったと言う。「自分がすごく強くなったと思いますし、女優としても人間としても変化して、180度変わったような気がします。女優業については、覚悟が決まったというか、今まで守ってきたものを一回捨てましたし、ここからまた新しい自分を作っていくという覚悟ができたのかなって思います」。何とも心強い受け答え。園監督はまた新人女優を1ランク上のステージへと導いたわけだ。『ヒミズ』では、染谷将太と二階堂ふみが織り成すエネルギッシュな演技合戦をとくとご覧あれ。【取材・文/山崎伸子】

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