【WEB連載】田中稲の仮想DJ「昭和歌謡エンドレスリピート」 4曲目「秋よ来い!」

服のポッケにブドウがついている。さりげなく秋を演出か?岩崎宏美「思秋期」(1977年/ビクター)
  • 服のポッケにブドウがついている。さりげなく秋を演出か?岩崎宏美「思秋期」(1977年/ビクター)

九月の雨がいまだ生ぬるい 今年の秋はいつもの秋より暑さが続く そんな気がして

みなさんこんにちは。ついに9月に突入いたしました!

とはいえ、まーだまーだ暑い。しかもゲリラ豪雨だの雷だの天気は大騒ぎ。まるで夏が終わるのをイヤンイヤンと駄々こねているかのようではないか。これっ、引き際はキレイにしなさいッといくら説教したくても相手は夏。言葉は生ぬるい風に虚しく消えていくばかりである…(おっ、我ながら詩的)。

しかし、だからといって残暑厳しーと愚痴っていてもしょうがない。何かで見たことがある。インテリアをブルーやグリーンなどの寒色系に変えるだけで、体感温度が1度や2度低くなるという実験結果を!

そう。要は気持ち1つでどうにでもなるのだ、きっと。五感にも勝るもの、それが「思い込み」。ここは昭和歌謡というリーサル・ウエポンを出動させ、秋を無理やり自分の中に呼び込もうではないか!!

ということで、まずご紹介したいのが岩崎宏美の「思秋期」。ミスター昭和歌謡、阿久悠作詞の超名曲。高校の頃、放課後、夕日で真っ赤に染まった、好きな男の子の背中に見惚れ、帰り道そっと後をつけた事を思い出す(今思えばプチストーカー…)。カラオケで歌うと途中までは歌の世界にドップリハマるのだけど、「私18」という歌詞のところでどうしても「すいません歌っている私は現在42です」と心の中で素のツッコミに入り、現実に引き戻されるという。

どちらにせよ、若さって素晴らしい、青春ってなんて切ない!と思い出させてくれる世界観。そこに暑苦しさなど一つもなく、ふんわりと涼しい秋空に飛ぶトンボすら思い浮かぶではないか。よし、一歩秋に近づいたぞ!

続いては太田裕美の「九月の雨」。奇しくもこちらもヒロミ。真白いお嬢様ワンピースを身にまとい、裏声をコロコロとひっくり返し「セプテンバーレインレインッ!! 九月の雨は冷たハくフゥてヘッ!」とため息に近い声を交え叫び歌う彼女はどこか危うげで、子どもながらに「倒れそう、この人」と心配になったのを覚えている。そのハラハラ度もアイドルの大切な魅力。彼女の儚い歌声は確実に体感温度を2度は下げてくれる。よし、また一歩秋に近づいたぞ!!

ただちょっと困ったのは、秋の歌は前回の夕暮れソング同様、歌詞の片想い度、失恋度が高いことである。この夏いろいろあった人は、九月の雨に溺れ記憶をブッ飛ばしたくなる可能性も大なので、覚悟して聞いていただきたい。

締めの一曲は、夏の過ちへのハンパない後悔っぷりが、切ないを通り越しいっそ清々しい「終止符」(アリス)をどうぞ。

また次回、お会いいたしましょう。田中稲でした。

【文=田中稲】

田中 稲・プロフィール
ライター。1969年生まれ。10年前から「昭和歌謡倶楽部」部長として超個人的に昭和歌謡の面白さを広め続け今に至る。会社案内から取材、アイドル本、都市伝説本などジャンルの垣根無く飛びまわる日々。
提携グループ・サイト「テイクオー・プランニング」http://www.take-o.net/

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