柴咲コウ「不安が堂々巡り。ここ1年は過渡期だった」

『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』に出演した柴咲コウ
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益田ミリの4コマ漫画の映画化『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』(3月2日公開)で、主人公すーちゃん役を好演した柴咲コウ。本作には、30代の独身女性が抱える恋や仕事、人生のもやもやが投影されている。完成した映画を初めて見た時の感想は、「恥ずかしい。自分の気持ちが透けて見えていたから」だったそうだ。柴咲にインタビューし、本作の製作裏話や、今の心境について聞いた。

彼女が扮するすーちゃんは、34歳のカフェ店員。親友は34歳のOLまいちゃん(真木よう子)と、39歳のウェブデザイナーさわ子さん(寺島しのぶ)だ。3人の日常の幸せ、不安、戸惑いなど、色々な思いが描かれている。柴咲は、演じたすーちゃんについて「普段は見せない、ちょっと縮こまっていて臆病なところや、悶々としている部分が見えちゃっていると思いました」と語る。「それは見せようと思ってやったわけじゃなく、演じていくうえでリンクしたとしか言いようがないです」。

さらに、当時をこう振り返る。「本作のお話をいただいた時も、撮影中も、結構不安に覆われている状態でした。だけど、それが大きな不安感ではなく、ただ漠然としたもので。本当にすーちゃんみたいな感じでした。全然立場が違うから比較できるかどうかもわからなかったけど、確かに共感できる部分がありました。対人関係というか、自分が何かパフォーマンスをした時、それを受け止める人たちの雰囲気や、気持ちを汲みすぎて疲れているみたいな感じで。そこからちょっと脱したいと思いつつも、その渦中にいたんです」。

女優としても、アーティストとしても、第一線をひた走ってきた彼女が、そんなふうに自分のことを吐露したのは少し意外だった。「私がもし大富豪でビバリーヒルズとかに住んでいたら、すーちゃんについて確かにわからないと断言できます。でも、私自身は普通だと思っているし、ネガティブな部分も多分に持っています。自己否定だってすれば、自己対話して落ち込むこともあるし、根本的な部分では似通っているところがあると思いました」。

ここ1年くらいを「過渡期だった」と振り返る。「色々と心に変化が起こってきて、随分強くなってきていると思います。やっぱり、何かあってもどこかしら周りのせいにしたり、期待しすぎたりしていたのかもしれない。今は自分で自分の人生を作っていくしかないし、それが楽しいんじゃないってことにやっと気付けた気がします」。

そう切り替えられたきっかけは節分だった。「節分で、本当に鬼が“しゅるっ”と出ていったんですよ。私は人の持つ固定観念や先入観とかがあまり好きじゃないけど、それを自分も持っているわけで。でも、それって本当に無駄だなと思って、さよならってリリースしたんです。それまで漠然と不安が頭の中で堂々巡りをしていたけど、結局それは自分に帰ってくるし。だから、世間や他人とかを変えるよりは、自分を変える方が楽だなって思いました」。

最後に、楽しく生きる秘訣についてこう語ってくれた。「私も人知れず悩んでいる時もあるし、負のスパイラルに巻き込まれることも多いです。そうなると、ろくなことがないってことは身を持って知ったから、考え過ぎは良くないです。人生では色々な選択があると思いますが、転機が訪れた時、自分はどう思うか?と聞くような癖をつけようかと。いくら他人に依存しても、全てを受け入れてもらうってことはちょっと嘘のような気がするし。自分自身を受け入れてあげるのは自分だけだと思うから、ちゃんと心の底にある声を日々聞いてあげようかなと」。

その日、とてもすっきりとした晴れやかな笑顔を見せていた柴咲コウ。彼女だからこそ、戸惑いつつも自分自身を信じ、今を生きているすーちゃんを等身大で演じることができたのかもしれない。本作は悩める女性全てに勇気を与えてくれそうだ。【取材・文/山崎伸子】

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