ヅラの岩松了&竹中直人、温水洋一共演、森崎東監督作がクランクアップ!

岩松了主演映画『ペコロスの母に会いに行く』がクランクアップ
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『塀の中の懲りない面々』(87)などバイタリティーあふれる喜劇を数多く手掛けてきた森崎東の監督最新作『ペコロスの母に会いに行く』(秋公開予定)が、都内のライブハウスで2月27日にクランクアップを迎えた。ラストシーンは、主演の岩松了がご機嫌にライブをするという陽気なシーン。迎えるギャラリーは、竹中直人、温水洋一と、ノリノリのエキストラたちだ。『ニワトリはハダシだ』(04)以来9年ぶりにメガホンを取った85歳の老将・森崎東監督は、撮影が終わると「バンザイ!」をした。

『ペコロスの母に会いに行く』の原作は、長崎在住の漫画家・岡野雄一が、認知症の母親との可笑しくも切ない日常を描いた同名コミック。岩松は、主人公の岡野ゆういち役を、母みつえ役を赤木春恵が演じる。竹中は、ゆういちの友人本田トオル役、温水は、ゆういち行きつけのバーのマスター役だ。ハゲのかつらでゆういちになりきった岩松と、ハゲを隠すためにかつらを被っているという役柄の竹中は、共にそのヘアスタイルでつかみOKな感じがする。

岩松と森崎監督は、共に長崎出身だ。演奏前にゆういちが言う「おいの曲ば聴いて」というセリフがしっくりくるのも頷ける。愉快なライブシーンは、いろんな角度から何度もテイクが重ねられた。ギャラリーの中には、カラフルヘアに紫の網タイツという一際異彩を志茂田景樹の姿も発見! 彼は“謎のおじさん”役としてシーンにスパイスを与えていた。

岩松は森崎監督の印象について「初対面の時は緊張しました」と語り、役作りについて「実在の人物をやっているので、もう少し岡野さんのことを知って、心身共に岡野ゆういちになっていった方が良かったかなと。真似するってことではなく、岡野さんから浸透してくるものを受け入れてやっていけば良かったかなと思いました」と振り返った。森崎喜劇の醍醐味については「映画の観客として見た印象は、混然としている、飾らない感じ。良い格好しない感じが良いですね。現場もたぶんそうで。森崎監督の物への対し方が、真摯で飾らないんです」と語った。

竹中は、お笑いでデビューした27歳の時に出演した森崎監督作『ロケーション』(84)でのエピソードを語ってくれた。「当時はどの現場でも本番で即興のギャグをかましていました。でも、初めての森崎組では『余計な芝居をするな。お前のままでやれ』と怒られて。妙にその言葉に感動して、トウモロコシ畑のそばで泣いてから、現場に戻りました。本作でも余計な芝居をしないでおこうと思ったけど、せこい人間なので、やっちゃったんです。でも、今回は怒られなくて良かったです(笑)」。

温水は、最初の衣装合わせの時、森崎監督から彼の出演シーンについて「君ならこのシーンをどう面白くするかね?」と宿題を出されたそうだ。「長くいろんなことを考えていったんですが、監督から『あそこまで長くなくても大丈夫』と言われて、ちょっとアドリブとかを入れたりしました。印象としては、最初は怖い方かなと思いましたが、とても穏やかな監督でした」。

森崎監督は、最後にバンザイをしたことについて「くだらんことやったなという後悔の念と共に、あれで良いんだという気持ちがあります」と語った。クランクアップを迎えた心境については「ほっとしてます。明日からぶっ倒れても大丈夫ですから。良かったなというくらいのもんです。試しにぶっ倒れてみようかな」とおちゃめに言うと、岩松や竹中が「仕上げが残ってますから(笑)」と突っ込んだ。

最後に「本作はどういう映画になりそうですか?」という質問に対して森崎監督は「クランクイン前も後も、ずっと何年経ってからも思うでしょうけど、正解が浮かんでこないんです。ぼーっとしてて」と、少し重苦しいコメントが飛び出した。その後「作品の典型は、人間の性格一つひとつに表れるものだってことは間違いないので、そこはきちんと見ようと。誠実にやらなきゃなとは思っている」と締めくくった。大ベテランの森崎監督だが、その言葉からは、文字通りの誠実さと、真摯な姿勢だからこそ生まれる葛藤も感じ取られた。【取材・文/山崎伸子】

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