堺雅人、宮崎弁のセリフに手応え「クレヨンの淡い色まで出せた」

『ひまわりと子犬の7日間』の主演を務めた堺雅人
  • 『ひまわりと子犬の7日間』の主演を務めた堺雅人

堺雅人の最新主演映画は、2007年に宮崎県の保健所で起こった犬と人間との奇跡の実話を映画化した『ひまわりと子犬の7日間』(3月16日公開)。本作は、山田洋次監督の下で、共同脚本や助監督を20年に渡り務めてきた平松恵美子の監督デビュー作だ。本作で堺は故郷の宮崎県でロケをし、初めて宮崎弁での演技にトライした。舞台挨拶では、本作について「家宝のような作品になりました」と語った堺にインタビューし、本作への思い入れを聞いた。

宮崎弁で芝居をするのは長年の夢だったと言う堺。「念願が叶って嬉しかったです。撮影したのが2011年の秋でしたが、前年、家畜の伝染病である口蹄疫が宮崎で流行ったんです。それで、命を巡る物語である本作を、宮崎で撮影し、宮崎の言葉で語るというのは願ってもない機会だと思い、一も二もなく飛びつきました。宮崎弁のセリフは、僕からご提案させていただいたんですが、それを面白いねって感じで柔軟に脚本を作り直してくださった平松さんや、プロデューサーの方には非常に感謝しています」。

本作で堺が演じるのは、保健所の職員・神崎彰司役。彼とその家族が、人間不信に陥った母犬と生まれたばかりの子犬の命を救おうと奮闘していく。故郷の言葉ということで、堺はすんなりとセリフを紡げたそうだ。「若林(正恭)さんを叱るセリフがあったんです。台本だけを読むと、叱責とか、怒りとかの感情でしたが、実際に話すと、もう少し違う懇願や同情、自分に対するふがいなさなどが出るんです。クレヨンの12色でいえば、その間にある淡い色まで湧き上がってくるような感じがして。それは方言の力というか、ネイティブだからこそかなあと」。

彰司の幼なじみの獣医師・五十嵐美久役に中谷美紀が扮する。「中谷さんは、前に共演したことがあるんですが、本当に素敵な女優さんです。他の共演者の方もそうですが、一流の方々が、自分が育った土地のなまりを口にしてくださることは、大きな喜びでした。中谷さんの甘くささやくような宮崎弁を聞いて、僕はこんなに素敵な言葉に囲まれて育ったのかと改めて思いました。非常に嬉しかったです。共演者のみなさんには感謝しかないですね」。

本作では、彰司の父親としての葛藤や成長も描かれる。特に、彼が子供たちに保健所の仕事について必死に説明するシーンが心に染みる。「彰司の頼りない優柔不断な部分は、お父さんとしてほめられた部分じゃないけれど、安易な言葉に逃げないという意味では、すごく素敵な大人なのかもしれない。ちゃんとタジタジになって口ごもるし、逃避していることも自覚するし。だって、思春期の子にあんなに真っ直ぐに来られたら、のらりくらりしないとやってられないでしょう。でも、ちゃんとそうしてるという認識が彼にはあるんです。そこには正解がないというか、マニュアルはないわけですから」。

堺は、本作を是非、ファミリーに見てほしいと語る。「社会には矛盾があるけど、それをどう伝えるのかが難しい。自分自身も納得していないことがたくさんあるわけだから。でも、もし全部正しいことばかりの世の中だとすると、それはそれでつまらない。難しいですよね。本作は、子供向けに都合良く作った話ではないと思うけど、3歳の子供なら3歳として、中学生なら中学生として、大人は大人として考えることがいっぱいある映画なんじゃないかと。子供向けにごまかした映画ではない。だからこそ、すごく家族向けの映画として、ふさわしい話になったと思います」。【取材・文/山崎伸子】

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