『クラウド アトラス』ベン・ウィショー演じる作曲家の交響曲に魅了される人続出

作曲家ロバート・フロビシャーを演じるベン・ウィショー
  • 作曲家ロバート・フロビシャーを演じるベン・ウィショー

『マトリックス』シリーズのウォシャウスキー姉弟と『ラン・ローラ・ラン』(98)のトム・ティクヴァという3人の監督が、デヴィッド・ミッチェルの小説に基づき映画化した『クラウド アトラス』(公開中)。本作の公開以降、「クラウド アトラス六重奏の美しい旋律が頭から離れない」「クラウド アトラス六重奏を聞いた時不思議と落ち着いた」などと、本作の全体のビジョンとなっている交響曲「クラウド アトラス六重奏」が話題となっている。本作で描かれる6つのストーリーを結ぶ楽曲制作の過程が明らかになった。

ティクヴァ監督は、自分の監督作品の曲を自ら作る数少ないフィルムメーカーのひとり。さらに彼は、映画の撮影と編集が終わった後で曲が作られる通例とは違い、撮影前に作曲を始めることを好む。ほぼ全作品で組んできたジョニー・クリメック、ラインホルト・ハイルと今回もコラボレーションしたティクヴァは、本作の音楽を撮影開始2ヶ月前には作り終え、収録も終えていた。ハイルは「トムは、撮影中にほかの作曲家による仮の音楽を使うよりも、この方法を好むんだ」と説明し、ティクヴァは「この方法なら、音楽は映画にとって雰囲気を出すものや背景的なものというだけでなく、音楽も撮影の一部になるので、キャストにとってもインスピレーションの源となる」と明かす。その言葉通り、本作で主演を務めたトム・ハンクスは「脚本の読み合わせをしたときに、フィルムメーカーたちが最初にやったのが、僕たちキャストにこの映画の音楽を聞かせ、それを解釈してくれることだったんだ。僕たちがこれからどんな冒険に乗り出すのかが分かるようにね。音楽という、完全に形になったビジョンの一部を、最初から見せてもらえたというわけだ」と振り返る。

本作の舞台は、19世紀から24世紀。過去・現在・未来にまたがる500年の間の6つのエピソードが、アトランダムに行き来するように見えて、実は完璧に計算された順序で描かれていく。本作の中で音楽に最初に注目が集まるのは、ベン・ウィショー演じる若き作曲家ロバート・フロビシャーが「クラウド アトラス六重奏」を完成させようと苦しむストーリーにおいてだが、クリメックは「それは絶えず存在する旋律なんだ。シンプルな弦楽器の演奏から、1970年代のロックでのリフ(反復楽句)、カベンディッシュのパーティーのBGMとして演奏されるジャズ六重奏まで。500年という長さを描き切れるだけの美しさと適応性のある旋律が必要だった」と苦労を明かす。そして、ティクヴァは、その曲がそれ自体で、どのようにより大きな生まれ変わりのモチーフの一部になるのかを認めながら、「何回も生まれ変わったあとで、それを聞いた誰かが、聞き覚えがあると感じるかもしれない。この六重奏は、それが作られた1930年代に属する音楽で、フロビシャーの時代にあっては現代的なスタイルで書かれた曲かもしれないが、映画全体の中心的なテーマとなりながら、あらゆる場所で繰り返され、多くのシーンに合うんだ」と付け加える。「クラウド アトラス六重奏」は、そのユニークさ、雰囲気、そしてテーマがリズミカルに一体となり、ストーリー自体の構成に反響する。そのメタファーを包み込みながら、「このストーリーには多くの主観的な声があり、ひとつの美しいコーラスを作るために、僕たちはそのすべてを網羅するようなひとつの声を探したんだ」とティクヴァは語る。

そして、作曲家チームは、ティクヴァが共同監督としてメガホンをとったウォシャウスキー姉弟監督に対し、「音楽をドラマチックに使うセンスがある」と話し、彼らは音楽家ではないが、作曲プロセスが最高の形で刺激を受けたという。映画全体のビジョンとなった「クラウド アトラス六重奏」をはじめとする素晴らしい楽曲が花を添える本作。現在、公式サイトでは、大切なつながりを募集するキャンペーンを実施しており、投稿すると音符として五線譜に追加され、人と人が時代を超えて何度も出会うことを想像して書いた曲「クラウド アトラス六重奏」の曲に乗って掲載されていく。映画を鑑賞前に大切な人を想って、鑑賞後に想いついた大切な人へ向けて「クラウド アトラス六重奏」を聞きながら投稿してみてはいかがだろうか。【Movie Walker】

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