『偽りなき者』マッツ・ミケルセン「登場人物一人、一人に共感できる作品だ」

フラストレーションがたまるような脚本だったね
  • フラストレーションがたまるような脚本だったね

現在公開中の『偽りなき者』で、決してぶれることなく無実の主張を貫き、精一杯誇り高くあろうとするルーカスの魂の叫びを渾身の力を込めて熱演したマッツ・ミケルセンのインタビューが到着した。サスペンスフルな本作のテーマについて、そして今後のヨーロッパ映画にかける思いを語ってもらった。

――ぐいぐい引っ張り続けるサスペンスフルな展開が非常に面白く、最後まではらはらしましたが、ご自身で脚本を読んだ時の感想は?

「そうだね。恐らくは観客の皆さんと同じ反応だったね。あまりにも不当な話なので、読んでいて誰か殴ったり、何かを殴ったりしたくなったね。そういう意味では幾分か挑発的な作品だと思う。それに、登場人物はそれぞれに正しいことをしていると思う。それぞれが愛ゆえの、恐怖ゆえの行動を取っているので、敵視するべき人物を特定するのが難しい。だからフラストレーションがたまるような脚本だった。それがスクリーンでもうまく伝わっていると良いんだけど」

――誰のせいにもできないということですね

「そう、事件全体の扱い方が間違った方向に行ってしまったのは事実だけど、親友テオにしても、村の人々や幼稚園の園長先生たちにしても、登場人物の一人、一人に共感できるんだ」

――本国デンマークでは、ここ10年間で公開されたデンマーク映画で歴代2位のオープニング成績と記録的ヒットになっていますが、どのような点が広く支持されたと思いますか?

「スカンジナビアや恐らくアメリカでも、昨今、特に関心を集めているテーマを扱っている点が人気の一つの理由だと思う。現代ではとにかく幼児虐待に対する不安のあまり、プールで自分の息子や子供たちの写真を撮ることができないというところまで来ている。20年前はそうではなかった。ただ、20年前と比較して小児性愛者が増えたかというと、そういうわけではなく、パラノイアだけがエスカレートして、親子の間にある、ごく普通の愛情や思いやりを妨害するに至っている。もう一つの理由を挙げるなら、トマス・ヴィンターベア監督が非常に面白い、サスペンスフルな作品にしてくれたからだ」

――2011年にはヨーロッパ映画賞ワールドシネマ功労賞を受賞、本作でデンマーク人初の第65回カンヌ国際映画祭男優賞を受賞しました。今やヨーロッパ映画界を代表する役者であり、ハリウッド映画にも出演しているあなたのこれからのデンマーク映画、ヨーロッパ映画への期待や夢を聞かせてください

「昔から期待していることだけど、とにかくそれぞれが作るべきと感じる作品を作ってほしい。各々の視点も多岐にわたるわけだから、お互いをインスパイアするはずだ。それだけでなく、デンマーク映画とアメリカ映画がお互いをインスパイアしている。昨今では、韓国映画もヨーロッパで人気を博しているしね。私は独特なヨーロッパ色を出すとか、アメリカ色を出すというアプローチには興味はないね。お互いの影響を受けることで学ぶものが大きいから。ヨーロッパでは必ずしも賞にノミネートされているわけではなくても、毎年力強い映画を輩出している。特定のテーマを実験的に扱ったものや、大衆向けではないが、とてもパワフルな作品が作られていたりするし、商業映画やロマンティックコメディがある一方で、アートハウス作品もあるというのは今後も変わらないと思うよ。その中には、アート性もありながら大勢の観客に訴えかける力強い作品も出てくるだろうし、どれか一つということではなく、全てのタイプが必要だと思う。それが健全な映画作りを支えるんだと思うよ」【Movie Walker】

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