『危険な関係』ホ・ジノ監督が恋愛映画にこだわる理由とは

恋愛映画の名手、ホ・ジノ監督を直撃!
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『八月のクリスマス』(99)、『四月の雪』(05)など、恋愛映画の名手と呼ばれるホ・ジノ監督。最新作『危険な関係』(1月10日公開)は、1931年の上海を舞台に、美しくも残酷な愛の駆け引きを描く物語だ。ジノ監督が「すべてが新しい挑戦だった」と語る本作。ジノ監督に、男女の愛を描き続ける理由。そして新しい挑戦で見えてきた、“愛の不思議”について聞いた。

本作の原作は、フランスの作家ピエール・ショデルロ・ド・ラクロが1782年に発表した小説だ。フランス文学の金字塔とも言われる原作について、ジノ監督は「恋愛心理を扱ったものでは、秀作として指折り数えられるもの」とすっかりほれ込んでいる様子。「今回の映画は、私にとって初めての時代物であり、初めての大作。全編を中国語で撮るというのも初めての経験でした。新しい試みをするというのはとても勇気のいることですが、この原作自体にとても魅力があったので、ぜひやってみたいと思いました」。

映画化するにあたり、舞台に選ばれたのは1931年の上海。「時代背景を1931年の上海にしました。当時は上海モダンと呼ばれていた時代で、これはビジュアル的な面でも面白いものになるだろうと思いました」とジノ監督。物語は、裕福なプレイボーイのイーファン(チャン・ドンゴン)と、女性実業家のジユ(セシリア・チャン)が仕掛ける危険な賭けをめぐって展開。賭けの対象となるのは、貞淑な未亡人のフェンユー(チャン・ツィイー)だ。

西洋と東洋が混ざり合う、煌びやかな上海上流階級を見事に再現。そのなかで、実力派俳優陣がゾクゾクするような愛の駆け引きを繰り広げる。「イーファンとジユは、愛をゲームのように扱っている二人です。ゲームをはじめた当人たちは、『もう自分たちは、愛のゲームにはまることはない』と思っている。愛のゲームにはまらないことこそ、勝利の鍵ですから。でも当人も気付かないうちに、恋に落ちていってしまい、結局は身の破滅につながるわけです」。

ロマンチックでスリリングな愛のゲームを描く上では、撮影の手法にもこだわった。「今回は心理描写がとても重要になってくると思いました。そのため、これまで私がほとんど使ったことのなかった、“クローズアップ”を多様しています。私自身、学びながらのトライでしたが、“クローズアップ”を使ったことで、人間の心理というのは、表情、特に瞳を通して表れるものなんだということがよくわかりました。そういった心の揺れの細かい部分も表現することができたので、とても良い試みだったと思います」。その言葉通り、登場人物の息遣いが伝わるほどに顔が近づくたび、彼らの緊張感が伝わり、観客もドキドキとさせられるはずだ。

静かで、どこか懐かしさの漂うような美しい恋愛映画を手掛けてきたジノ監督。官能的な愛の物語を描いてみて、新たな愛の側面に気付いたことはあっただろうか。「愛をもってして、ふざけてはいけないんだと思いましたよ(笑)。“恋は落ちるもの”という表現がありますよね。そのように、愛とはコントロールできないものだと思うんです。原作の小説でも、愛のゲームを通して、教訓を伝えているようなところがあります。私の映画でも、恋や愛とは、コントロールできずに、はまってしまうものであるということ。そして、真の愛を知った時にはじめて、幸せが得られるんだという思いを込めています」。

男女の愛をテーマとして描き続ける理由を尋ねると、柔らかな笑顔でこう答えてくれた。「恋や愛がはじまる瞬間というのは、感情のなかでも特に美しいものだと思うんです。今回は違うアプローチであれ、やはりその美しい瞬間にあふれていると思いますよ」。【取材・文/成田おり枝】

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