朝倉かすみ新刊インタビュー 『夫婦一年生』

朝倉かすみ氏
  • 朝倉かすみ氏

―いま「田村はまだか」で人気沸騰中の朝倉かすみさん。日常でふと抱く感情を、軽快な文章で読ませるところが魅力ですね。

「喜怒哀楽とかくっきりした感情でなく、その間(あわい)にあるものが書かれている小説が好きなんです。私も登場人物の心の揺れ動きもこぼさずに書いていきたいと思っています」

―「肝、焼ける」「そんなはずない」「田村はまだか」など、印象的なタイトルが多いですが、いつもどのようにつけているのでしょうか。

「がっかりされるかもしれませんが…『なんとなく』レベルで決めています(笑)。『インパクトを与えよう』とか『キャッチーなものを』とか、そういうことは考えていません」

―最新作は「新婚夫婦の物語」。はじめに構想のきっかけを教えてください。

「きっかけは、当時の担当編集者に『夫婦の話を書いてください』と言われたことです。ドラマチックな事件が起こったりするのではなく、相性のよい2人が一緒に暮らして、『夫婦』になじんでいく様子を書きたかったんです」

―リアルな結婚生活は、ご自身の体験がもとになっているのでしょうか。

「私自身の経験も多少入っていますね。例えば、気まずくなった空気をどう盛り返そうとか、親戚の慶事に包むお祝いの額とか、小さなことでしょっちゅう迷ったりします。あと、主人公・青葉のひと言多いところは私に似ています(笑)」

―2人の出会いのシーンで「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」という山口素堂の句が出てきますが、普段の生活で俳句も作ったりするのでしょうか。

「私自身は作ることも読むこともしません。主人公の名前が『青葉』ですし、その句の持つ清々しさ、粋のよさ、旬の感じは彼女のイメージに合うと思い、引用しました」

―最後に読者へメッセージをお願いします。

「結婚してよかったことは、なにがあっても、きっと私の味方でいてくれる人が一人いること。私も彼の最強の味方でいるつもりです。彼がどう思っているかわかりませんが(笑)。この本を読んで『結婚って、結構いいものかも』と思っていただけたら嬉しいですね」

【ライター/峰尾亜希子】

『夫婦一年生』(小学館・1260円)
新婚カップル・青葉と朔郎が、北海道での新しい生活を始めた。青葉は慣れない環境に悪戦苦闘するが、朔郎と共に新しい「我が家」を見つけていく。

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