唐沢寿明が明かす、自らのキャリアと昔の夢。懸命にショッカーを演じたから“今”がある!

唐沢寿明がスーツアクター時代を語る!
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「俺の話だと思った」。唐沢寿明がこう語るのは、観客に顔を知られることなく、肉体を酷使して闘うスーツアクターの情熱に迫る主演最新作『イン・ザ・ヒーロー』(9月6日公開)だ。誰もが認めるトップ俳優の唐沢が、「自分が経験したことがそのまま詰まっている」というほど、思い入れを込めた本作。主人公とピタリと重なった唐沢の過去とは?そして、その過去があってこその“今”を語ってくれた。

本作の主人公は、スーツアクター歴25年の本城渉。本城と彼を取り巻く面々の姿を通して、決して表舞台に出ることのなかった名も無きヒーローたちにオーマージュを捧げた熱き物語だ。唐沢は、「俺の話じゃないかと思った。自分が今のような立場にならなかったら、こういう人生だったんじゃないかな。でも撮影所に行けば、ああいう人はいっぱいいる」と、貧しい部屋に住みながら、夢を追い続ける主人公の印象を語る。というのも、唐沢自身、東映アクションクラブのスーツアクター出身で、「仮面ライダー」シリーズなどに出演していた過去を持つのだ。

もちろんスーツアクターゆえ、観客に顔を知られることはない。いつか自分の顔と名前を出して映画出演することを夢見る主人公同様、当時の唐沢の夢は「顔出し」だったとか。「その頃は、道で人とすれ違った時に『あの人どこかで見たことあるけど、俳優さんじゃない?』って言われることが最高の目標だった。顔を出して、役をもらってセリフをしゃべるなんて、夢のまた夢だったんだよ。俺は本当に、運が良かったということなんでしょうね」。

俳優を目指しながら、オーディションにも落ち続けた。それでも唐沢が、夢に向かって心がけていたのが、「何でも一生懸命やる」ということだ。「ショッカー役をやっていても、別に手を抜いてもいんだよ、きっと。考えてみると、ショッカーなんて誰も見たことないじゃない?だから“ショッカーの動き”と言われてもよくわからないんだけど、自分たちなりに、細かく一生懸命にショッカーの動きをやるわけ(笑)。すると、『あの唐沢っていうのは、なかなか体が動くな』と、また次に呼ばれるようになったりする。一つ一つのことを一生懸命やっていれば、誰かが見てくれていて、次につなげてくれるんだ」。この情熱、まさに主人公・本城そのものだ。

「当然バイトをしなきゃいけないから、ショーパブでバイトしたりね」と唐沢。彼が最高にカッコイイのは、その過去を決して隠そうとはせず、自分の強みとして感じているところだ。「そういうところから始まっているからね。仕事があればなんでもやりますよ。コマーシャルやドラマで変なことをやることになっても、あんなの何とも思わない。文句をつけたこともないし、なんでも精一杯やる。あの頃があったからこそ、思い切りできるというのもあるしね」と笑う。

劇中では、オーラを持った新人俳優の存在に落ち込み、「叶わない夢もある」と俳優への夢を諦めようとする後輩スーツアクターが登場する。唐沢は「この仕事をやってきて、そう言ってやめる人を山ほど見てきた」と述懐。「人は何かをやめる時に必ず、何らかの理由を作るわけだけれど、それが言い訳になる時がある。でもね、それはすべて、『あなたの夢は何?』『どうなりたい?』『そのための能力、資質はある?』という疑問に帰っていくわけ」。

「昔、渋谷でラーメン食べながら相談を受けて。『もう俺、やめるわ。だって、スターになったって、映画やテレビに出るだけじゃん』って言うんだよ。俺、吹き出しそうになったよ」と記者を笑わせるが、表舞台に出れずに去ってゆく、たくさんの人を間近で見て来た唐沢にとって、俳優という仕事への思いは生半可なものではない。彼らの思いを背負うかのように“全力投球”だ。

その思いが凝縮されたのが、白装束の忍者に扮した本城に、黒忍者100人が襲いかかるクライマックスのシーン。唐沢は、経験者の強みを大いに活かして、激しいアクションにチャレンジ。さらに「いっぱい良い思い出があるし、良い仲間とも出会えた」という、唐沢の東映アクションクラブ時代の仲間たちなど35人が駆けつけて、黒忍者として大立ち回りに参加。その隠されたドラマにもまた、胸を熱くすること必至だ。

「昔レッドに入っていた人や、こんな人まで来てくれるんだっていう人が来てくれたりね。本当にありがたいことです。久々に会って、ご飯を食べたりしてね」と仲間との再会を思い出し、嬉しそうに目を細める。決して緩やかではなかったひとりの俳優の道のりが重なり、映画への愛がたっぷりと込められた『イン・ザ・ヒーロー』。夢を追いかける人への応援歌と、自信を持っておすすめしたい。【取材・文/成田おり枝】

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