「花宵道中」のテーマ曲を歌う異色のユニット・黒色すみれに直撃!前編

11月26日に10周年記念アルバム『Cosmopolitan』をリリースした黒色すみれのゆかとさち(写真左から)
  • 11月26日に10周年記念アルバム『Cosmopolitan』をリリースした黒色すみれのゆかとさち(写真左から)

安達祐実主演で好評公開中の映画「花宵道中」で、テーマソングを歌う女性2人組ユニット・黒色すみれ(ゆか、さち)にインタビューを敢行。この秋に10周年を迎える彼女たちの最新アルバム『Cosmopolitan』(コスモポリタン)に懸ける思いや音楽への熱い情熱など、余すところなく語ってもらった。

――公開中の映画「花宵道中」のテーマソング「ラピスラズリ」に込めた思いを教えてください。

ゆか:原作者の宮木あや子さんとは以前から交流があり、お互いに「何か一緒に作品を作る機会があったらいいね」と言っていた矢先「花宵道中」の映画化が決まりました。初めは私たちが少しだけ画面に映ったり、挿入歌的に使ってもらえたりしたらいいな、と宮木さんが(製作の)東映ビデオさんに言ってくれていたんです。CDをお渡しして「作品のテイスト的に合うようであれば使ってください」といった具合ですが、どうやら私たちが三味線を弾けると思っていたらしくて(笑)。お話の中に出てくる三味線の2人を私たちがやる予定でした。アコーディオンとかピアノならできますが、三味線は…全く(笑)。ですので違う方が出ることになりました。それでも宮木さんが「私の処女作の大事な作品が映画化するから黒色すみれを使ってください」と東映ビデオさんにかけあってくれた結果、「エンディングテーマに使えそうな曲を書いて」という話に。今までオーダーを受けて曲を作るという作業は何度もやっているのですが、いつも私たちの音楽そのものを気に入っていただいた上で作らせていただいたので、今回のようなケースはレアケース。お互い腹の探り合いのような感じになりました。豊島圭介監督が「花宵道中」に関しては、原作とは別の世界観を持たせようと思ってらっしゃるのがヒシヒシと伝わってきたので、オーダーも結構細かくありました。だから、アルバムの『Cosmopolitan』という曲もそうですが、(「ラピスラズリ」も)映画のために書き下ろした曲としては異色の仕上がりになっています。私たちの中にないものは制作できないことは分かっていたので、“黒色すみれらしさ”も出しつつ、監督の希望に沿うように作りました。

――ちなみに具体的にはどういった指示があったんでしょうか?

ゆか:監督の思いとしては「時代劇だけど多くの方に共感してもらいたい」というのが第一にありました。時代背景は違っても、現代の人たちと共通することは何なのかを探ってらっしゃって。“遊女”は今で言えばキャバクラで働く人や銀座とか六本木のママのような感じでしょうけど、自分の意志だけで遊女になったわけじゃないですよね。ということで、現代に置き換えて「花宵道中」に出てくるキャラクターと現代の人たちが同じ境遇になることはありえないということを踏まえた上で、恋をする純な気持ち、というのを曲なり詞なりに反映できたらいいなと思いました。エンディングテーマになると聞いていたので、とにかく楽器の数を減らしてシンプルにするということを心掛けました。歌とピアノだけとか、楽器の編成とか、邪魔なものを取っ払ってシンプルに伝わるように。詞の世界もあまり難しい表現や比喩は使わず、パっと聞いてすぐに頭に入っていくものにしました。

――歌詞の中で、特に気に入っている部分はどこでしょうか?

ゆか:(映画の中で)主人公が愛しい人に会いに行くときにいつも走っていたり、柱に釘で傷をつけて会いたい日を数えていたり、会いたいという気持ちがとてもよく伝わるので好きです。その焦燥感というか、そういう気持ちを柔らかく出せたらいいなと思っていました。サビの部分の「今日はあなたに会えるかな、会えないかな」という部分は一番シンプルな言葉でつづっていますし、2人で会えたらしたいことをシンプルに描きました。比喩で走っている場面というのも書いてみたんですけど、監督にカットされちゃいました(笑)。あと、原作の中で監督がいいと思っている部分が「きれいな中にも毒がある」というか、主人公も恋する心を持っているけど自分は“遊女”だから、完全に幸せじゃなくて切ない感じというか…。手を伸ばしているのに私には届かないという、喉から手が出る感じ。歌の中盤ぐらいに「胸に刺したナイフから血が出ているけど、その血は乾かない」というフレーズがあって、その部分でこういうグロい表現も使わせてもらいました。

さち:確かにビックリするくらいグロい部分もあるよね。

――普段、歌詞を書く上で心掛けていることは何ですか?

ゆか:すてきなものを見たり、自分の苦手なことを見たりしたとき、目に見えない感情を音で表現することを心掛けています。「ラピスラズリ」をアレンジするときも、音をたくさん重ねてオーケストレーションしたら、監督にカットされてしまって…。

さち:編曲の担当は私なんですが、シンプルにということだったので、バイオリンの音にしても音を重ねて表現するというより、一本のバイオリンの音で表現するということにしました。今回の「ラピスラズリ」のアレンジにはそういう苦労がありました。

――歌詞はどういうふうに書かれましたか?

ゆか:私は(曲を作るとき)歌詞から書くタイプなんですが、一つの思いから全てが始まります。「ラピスラズリ」で言えばシンプルに恋をする心が“核”になり、そこから広げていくんですが、今回のアルバムは全部の曲がこういうことを曲にしたい、というところから広げていった感じです。

――「ラピスラズリ」ができるまでにどのくらいの期間がかかりましたか?

ゆか:実際、制作期間的には全くなくて…1カ月くらいです。それでも割と時間が掛かった方かなと思います。「1週間で2曲作って!」と言われることもありますし。映画はスケジュールのしわ寄せが全部音楽にきますから(笑)。でも、監督のビジョンがしっかりしていて作品自体がブレなかったおかげで、そこに私たちが合わせていけばいいだけという信頼関係のもと作業が進められました。私たちは舞台音楽などもやらせていただいていて、そのときちょうど重なっていて、舞台音楽をやりながら「ラピスラズリ」のプレゼンもして、実は結構大変でした。でも、できるときは早いし、ひらめいてしまえばこっちのものですから。ただ、3回書き直してこれでダメだったら、宮木さんには悪いけど、降りようかなと思っていました。これ以上は書けないというところまで追い込まれていたので…。最後にOKが出て良かったです。

アルバム「Cosmopolitan」
発売中
3780円(税込)

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