安藤サクラ、ボクサーの役作りで驚異の肉体改造!

『百円の恋』で主演を果たした安藤サクラ
  • 『百円の恋』で主演を果たした安藤サクラ

安藤サクラ主演の『百円の恋』(10月20日公開)を見て、度肝を抜かれた。なぜなら本作が不器用な女の子のラブストーリーにして、筋金入りのボクシング映画でもあったから。若手演技派女優として確固たる地位を築いてきた安藤だが、本作で見せたデ・ニーロ・アプローチならぬ、安藤サクラ・アプローチは、息を呑むほどすさまじい。安藤サクラにインタビューし、本作に懸けた、ほとばしるような情熱について話を聞いた。

本作は、故・松田優作の出身地、山口県で開催される周南映画祭に新設された、第1回松田優作賞グランプリの脚本を『イン・ザ・ヒーロー』(14)の武正晴監督が映画化した意欲作。どん底の生活を送っていた32歳の女が、中年ボクサーと出会い、ボクシングを通して成長していく。

まずは、安藤の驚異的な肉体に目がくぎづけになる。しかも撮影期間はたったの2週間!「下着姿の撮影まではだらしない体でいたかったので、撮影4日目以降、後半の10日間でボクサーの体型に向けて絞っていきました。撮影時間もあまりなかったので、お家のシーンやコンビニのシーンはまとめて撮ったんですが、中にはすごく太っている時に、絞った時のシーンの撮影をしたこともありました」。

映画を見れば、安藤のビフォア&アフターの体型の違いに誰もが目を疑う。安藤自身も「私も実際自分の体を見ていて、10日間で人間って、こんなに変われるものなんだなあと。人間の体ってすごい!自分とは関係なく、人間の体そのものを見直しましたね。ここまで短期間に体型を変化させたのは初めてでした」。

特に中盤から、ボクシングのプロテストを受け、試合に挑むまでのリアルな姿は、まるでドキュメンタリー映画を見ているようだ。「ボクシングは中学3年生の時に少しだけやっていて、10数年のブランクはあっても、基礎はありました。ただ、やるからには、ボクシング関係者の方に『しょせん女優さんがやるボクシングでしょ』というふうには絶対に思われたくなかった。撮影現場でもボクシング関係者の方々にご協力をいただいてたので、すごいプレッシャーは感じていました」。

プロテストに向けて、ストイックにトレーニングをした安藤。「プロテストは、本当にプロの女子ボクサーの方といっしょにリングに上がりました。でも、いざ、そのシーンになったら、とにかく怖くて。その日は本当にプロテストの審査をされている方や、世界戦のレフリーをされている方もいらしていて、実際にプロのチャンピオンたちといっしょに、リング上でプロテストを受けるということだったので。だから、リングに上がるまでに、緊張しすぎて過呼吸状態になってしまいました。勝手に自分にプレッシャーをかけていたんですね」。

安藤は、本作に出演している俳優で、ボクシング指導者でもある松浦慎一郎から指導を受けた。「試合のシーンは、松浦さんと相手役の子と武監督と、0から作り上げていきました。とにかく練習は3か月間、泣きながら頑張りました。そしたらうれしいことに、世界戦のレフリーをやられているすごい方々が『映画だと思っていたけど、とんでもないね』とおっしゃってくださって。また、私のちょっとした自慢なんですが『プロテストを受けないか』と何度も言ってくださったんです。もうそれで十分だなと。ああ、頑張って良かったと思いました。

相手役の新井浩文とは何度も共演していて気心も知れている。「新井くんだったからこそ、一緒にここまで頑張れたんだと思います。新井くんも相当追い込んで体を作っていましたから。だから、無理なことをして、肉体はすごくすり減っていくんですが、本当にストレスがなかったというか、精神的にはまったく摩耗しなくて、常に満たされている状態でした。武組自体がそういう現場だったというのも大きかったです。気持ちの良いガテン系の現場というか、これこそが映画の現場という感じで、それが何よりも幸せでした。私…マゾなのでしょうか。ふふふ」。そう言いながらイタズラっぽいな笑みを浮かべる彼女はとてもキュートだ。

最後に安藤は「身近な景色なのに、知らない間に興奮していく。すごく代謝が良くなる映画です」と本作をアピール。その独特な表現がとても彼女らしい。第27回東京国際映画祭では日本映画スプラッシュ優秀作品賞を受賞した『百円の恋』。安藤サクラの女優魂にうなる本作は、間違いなく彼女の代表作の1本となるだろう。【取材・文/山崎伸子】

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