ルージュ&サングラス!自由自在にショコラを作る男

「オプティク ショコラ」(各2484円)は、インパクト抜群のサングラス形ショコラ。専用のメガネケースまで付いている
  • 「オプティク ショコラ」(各2484円)は、インパクト抜群のサングラス形ショコラ。専用のメガネケースまで付いている

1月21日、世界最大級のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」が東京で幕を開けた。その後、2月15日(日)まで全国6都市で開催され、世界トップクラスのショコラティエたちが、日本中をチョコレート一色に染め上げる。その中でも特に注目を集める、気鋭のショコラティエにインタビューを実施!業界を牽引する彼らが胸に抱く、ショコラ作りの流儀を探る。

<セバスチャン・ブイエ>

チョコレートについて話し始めると、その軽妙なマシンガン・トークは止まらない。素材の話はもちろん、的確にチョコレート業界を捉え、自分の置かれている立場も客観的に分析。何でも興味を持って、何でも楽しんでやってみるのが彼のスタンス。チョコレートというモノトーンの世界にビジュアルを取り込みつつ、心はいつもアルティザン(職人)なショコラティエ。それがセバスチャン・ブイエである。

――この10月に、ご自身初となるレシピ本が発売されたそうですね。

「一般人向けの本が作りたいと思いました。家計に負担をかけない素材で作れるレシピを、プロセスを追って説明したいと。難易度別に4つのカテゴリーに分けています。撮影用のお菓子も、すべて自分で作りました。写真もきれいだし、満足のいく仕上がりになりました。気軽に買える材料でブイエスタイルのお菓子が作れると、みなさん満足してくれています。それに、うちで出しているお菓子がいかに手が込んでいるかも分かってもらえたので、うれしい限りです」

――今年のサロン・デュ・ショコラのテーマは「普遍的な遺産」ですが、ブイエさんが継承したものと、伝えていきたいものとは?

「家族から受け継いだものが大きいですね。両親は人生や仕事の価値を教えてくれたし、僕がパティシエやショコラティエになる機会も与えてくれました。僕が大切にしているものを“遺産”と解釈するなら、伝えていきたいものは“エシャンジュ(交換)”と“シェア(共有)”。若い世代に、自分のパッションや価値観、この仕事について伝えたかった。良い素材を選んで、良いものを食べることの大切さも。この本には僕のメッセージがすべて込められています。それから友情も大切にしています。例えば、友人からの急な誘いでも、時間を取れるようにスケジュールを調整しますよ。ショコラティエの世界は、キュイジニエ(料理人)の世界より交流が盛んです。ライバルではなく、お互いにアドバイスや意見を交換したりする、友情が存在するんです」

――お住まいのリヨンはユネスコの世界遺産に登録されていますよね。

「ああ、『マカリヨン』(マカロンをショコラでコーティングした菓子)は食の遺産と言えるかもしれないですね。今やリヨンのスペシャリテですから。『伝統を受け継いできたもの=普遍的な遺産』だと思います。食の遺産は日本だったら、ミカン、シークワーサー、ユズ、抹茶…。日本人の生活に欠かせない食材もやはり食の遺産ってことでしょうね」

――今年は、その日本の食の遺産を使った新作を出されますね。

「シークワーサーのボンボンですね。ユズがフランスでもポピュラーになったのは良いことだけど、日本にはミカンなどの興味深い柑橘類がたくさんある。いつもユズでは芸がないですし。ミカンは今回、『マカリヨン』にして、ほのかな酸味にサンショウの苦味を少し加えてみました」

――新作を作る時に、何から一番影響を受けますか?

「ショコラティエにとって、素材は命です。僕は素材を発見するのが好きなんです。その素材がどうやって作られているのか、どんなふうに実るのか。例えばシークワーサーは日本のお店で食べた瞬間に、インスピレーションが湧きました。日本なりの調理法があったとしても、フランスのエッセンスを加えて、自分のやり方で使いこなそうと考えます」

――この夏、フランスで話題になった商品も、サロン・デュ・ショコラに登場するそうですね。

「1番の目玉は『オプティク(眼鏡/サングラス)』。フランスで出したものとはちょっとデザインが違うけど、3種類を日本で出します。『ルージュ・ア・レーブル』の流れをくんでいる商品で、遊び心があってかしこまりすぎていない。僕にとってクリエイティブな商品というのは、サプライズの要素があって、パッケージもプレゼントに適していること。楽しんで食べられるチョコレートというのがこの商品のコンセプトです」

――パティシエからスタートして、ショコラにも力を入れていらっしゃいますが、アプローチの違いは?

「新商品を作る時、チョコレートの場合は何よりも素材が重要で、味、見た目の順に続きます。例えばレモンを使おうと思ったら、最上のレモン探しから始めて、素材の味が前面に出るように工夫するんです。酸味を抑えるために、ビターの他にミルクチョコレートも加えたほうがいいなとか。ケーキの場合は、見た目、味、素材といったように順番が逆になります」

――カラフルでポップな商品のイメージがありますが、チョコレートのデザインへのこだわりはありますか?

「僕がチョコレートで好きなのは、ごまかしが利かないという点。美しいチョコレートを作る方が、美しいケーキを作るよりもっと難しいんです。特にボンボンは形が違うだけで、ビターチョコレートでのコーティングなら色は黒、ミルクチョコレートなら薄茶色。フォークで模様をつけるのが1番シンプルだけど、すごく地味です。あるいは何かの粒を表面につける程度。でも、チョコレートはそのままの自然な状態が1番きれい。以前はカラフルな転写シートを多く使っていたけれど、考えが変わってきました。最初のうちはパティスリーと同じように、チョコレートにもモダンさを持ち込もうとしたんですよね。今、僕が目指しているのは職人としての真のショコラティエ。ちょっとモダンだけど、基本はトラディショナル」

――他のショコラティエとの違いは?

「僕はセバスチャン・ブイエであり、僕の価値というのは、僕自身のスタイルであり、僕自身の味覚に基づいています。パティスリーよりも、チョコレートの方がコピーするのが難しいんです。パティスリーの場合、味はもちろん重要だけど、まずは見栄えだから。チョコレートは何よりも味が重要。だからショコラティエは、パティシエよりもちょっと秘密が多いんですよ。作り方やコツをあまり言いたがらない(笑)」

【東京ウォーカー/記事提供=サロン・デュ・ショコラ オフィシャル・ムック2015】

※記事の内容は「サロン・デュ・ショコラ オフィシャル・ムック2015」から一部抜粋、再構成したものです

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【セバスチャン・ブイエ】
パリのジェラール・ミュロなどで修行後、2000年に父のパティスリーを引き継ぐ。2004年には当時最年少でルレ・デセール(著名なパティシエやショコラティエで構成される国際的な協会)のメンバーになる。現在は本店のほかショコラ専門店、chokolaを始め、リヨンに5店舗、東京に2店舗を展開。2013年からは本店の近くにオープンスペースも構え、製菓教室も主宰している。

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