福岡が生んだ“from STREET”のボーカルユニット、ビーグルクルーの軌跡

緊張の表情を浮かべるビーグルクルー。左からJOY、YASS、NARI
  • 緊張の表情を浮かべるビーグルクルー。左からJOY、YASS、NARI

4/5(日)12:40、Yahoo!JAPANドームのマウンドに、マイクを手にした3人の男が緊張した面持ちで歩みを進めていた。プレイボール前でスタンドはざわついている。そんな空気をあっという間に鎮めたのは、マウンドの手前で彼らが奏でたハーモニーだった。

グラウンドに立つ男たちの名はYASS、NARI、JOY。4/1に1stシングル「we are Runner」でメジャーデビューを果たしたボーカルユニット「ビーグルクルー」のメンバーである。結成はさかのぼること3年前、2006年1月。最初は、ある時は警固公園で、またある時は中洲の出会い橋で…というように、路上を中心に音楽活動を続けてきた。路上ライブを始めた当初は、何をどうしたらいいかさっぱり分からなかったという。しかし、路上で響く彼らの力強くも美しい歌声に、街行く人は足を止め、その評判は徐々に広がっていく。

路上での活動が実を結ぶようになると、イベントにも呼ばれるようになる。ライブハウスだけでなく、ショッピングモールや住宅展示場…場所を選ばず歌声を届けるためだけに九州各地を動き回った。音楽関係者にも知られるようになってからは、インディーズとしての活動が本格化。出場した対バン企画番組でも活躍したほか、Zepp Fukuokaで3度の単独ライブを成功させていることからも、彼らの実力がインディーズ界で折り紙つきだったことは明らかだろう。

そんなビーグルクルーのデビューへ向けてのターニングポイントは、ホークスのエースである斉藤和巳との出会いだった。2007年のある日、路上ライブ中の彼らの歌声をホークスの2軍選手が気に入ってCDを購入し、それを練習場で流し始めた。このころ、ケガで2軍調整中だった斉藤投手も彼らのメロディに好感をもち、自身のブログで紹介したところ、「ビーグルクルー」の知名度が飛躍的に向上したという経緯がある。「斉藤和巳投手は兄貴」と語るメンバーたち、爆風スランプのヒット曲「ランナー」と一部メロディラインを共にするデビュー曲「we are Runner」は、ケガからの復帰に向けてリハビリを続ける斉藤和巳応援ソングとなっている。

斉藤との出会いを機に、ホークスの選手個人のみならず、球団との関係も濃くなっていく。神内投手や水田投手がドーム入場曲として彼らの楽曲を採用し、昨シーズンの交流戦(vs中日戦)では、プレイボール前にミニライブを決行。ホークスに支えられることで知名度はさらに上がり、ついに念願のメジャーデビューが決定した。しかし、デビューが決まってからも彼らは路上ライブを続ける。結成当初と変わらず、来る日も来る日も歌い続ける。昔と変わったのは、彼らの歌う技術と、大きく膨れ上がったファンの数だけだった。

メジャーデビューしてからの最初の大舞台が、この日のヤフードームでのライブ。デビューシングルのカップリング曲「ときめきよ永遠に〜ずっと忘れない〜」のハーモニーが球場内に響く間、ライトスタンドでは「祝デビュー」のプラカードが揺れる。マイクを降ろした瞬間に、大きな拍手が彼らを包み込んだ。試合終了後には、ホークスタウン内のCDショップでサイン会を実施。サインを求める列は途切れることがなく、30分以上にわたり、CD200枚以上に丁寧にサインをして、しっかり握手を交わしていく。そんな3人の表情はとても晴れやかでとても眩しく思えた。

3年の助走期間を経てメジャーの世界へと飛び出したビーグルクルー。デビューシングルはオリコンデイリー初登場48位。福岡のストリートの力が純粋に反映された結果なのだから、上出来といったところだろう。“from STREET”の男たちの挑戦はまだ「開幕」を迎えたばかりなのだ。

【九州ウォーカー/山田晃裕】

キーワード

[PR] おすすめ情報