【試写室】「遺留捜査」糸村を“食った”福くんの演技

これで4度目のスペシャルドラマとしての放送となる「遺留捜査」に出演する上川隆也、斉藤由貴、鈴木福(写真右から)
  • これで4度目のスペシャルドラマとしての放送となる「遺留捜査」に出演する上川隆也、斉藤由貴、鈴木福(写真右から)

5月17日(日)に放送される上川隆也主演のドラマスペシャル「遺留捜査」(テレビ朝日系)。連続ドラマとして3シーズン、SPドラマとしてこれまで3度放送された人気シリーズだ。前回放送されてから半年ちょっとでの異例のスピード復活となるが、一足先に完成DVDを見た記者なりの魅力を紹介する。

「遺留捜査」は、事件現場に残された“遺留品”や被害者が残した“被害品”が持つ意味を徹底的に探り、声なき遺体が訴えたかったメッセージを代弁する刑事・糸村聡(上川)の活躍を描く刑事ドラマ。

主人公の糸村は、遺族の心情を救う優しさを持ちながら、超マイペースで空気を読まない不思議なキャラで視聴者をとりこにしてきた。

ちなみにスペシャル版の視聴率は、第1弾が14.0%、第2弾が12.8%、第3弾が12.7%と、それぞれ“2時間ドラマ不遇の時代”にもかかわらず安定した数字を残している。(数字は全てビデオリサーチ調べ、関東地区)

SP第4弾となる今作は、糸村が参加したパーティーの会場で、国土交通大臣の孫・光太(鈴木福)が何者かに誘拐されるところから始まる。

状況が二転三転していく中、糸村は光太が大切にしていた“黒いヒーローのフィギュア”が気になり、単独捜査を開始するというストーリー。

長年このドラマを見守り続けてきた人間からすると、これぞ“泣ける刑事ドラマ『遺留捜査』”というのが正直な感想だった。前半は空気を読めない糸村による、ある種“通常営業”の「遺留捜査」、そして後半はゲストの福くんのオンステージによる極上の人情ミステリーとなっている。

個人的に好きなところは、糸村と“盟友”科捜研の村木(甲本雅裕)とのいつものコントのようなシーンや、糸村と光太の出会いのシーン。特に「『全ての大人は昔は皆、子供だった』って誰かが言っていました」と子供に言ってしまう、糸村らしい哲学じみているようで意味不明なせりふがツボだった。序盤のこれで、いつも通り「遺留捜査」が幕を開けたなと思わせた。

その他、興味深いシーンとしては、誘拐された光太の身代金を受け渡す場面。指定された公園で犯人との接触を待つ女性秘書の近くで、若者たちが三代目J Soul Brothersの「R.Y.U.S.E.I.」('14年)で話題になった“ランニングマン”のダンスを決めている。

特に意図していたのかは分からないが、緊迫したシーンの中にもこういった遊び心というか、はやりものを取り入れるあたりが“古くささと新しさの融合”というドラマの世界観を表しているように思う。ひいては、どんなささいな場面も見落としてはいけないような、ドラマのクオリティーの高さを感じた。

ちなみにこのシーン、誘拐犯を刑事たちが変装して周囲を見張っているのだが、清掃員に扮(ふん)した宮下刑事役の螢雪次朗がとても画になる。むしろ不審者っぽく見えた(失礼!)ような気もしないでもないが、どんな服装をしていても刑事のオーラをまとってしまう、ある意味ではとても希少な役者と言えそう。

そして何といっても今回の見どころはゲストの福くんの演技。詳しくは言えないが、特に終盤で見せる福くんの号泣シーンはお世辞抜きで10歳の少年のソレとは思えないほど、人の心を引きつけて離さない演技となっていた。

個性が強く、マイペースな“食わせ者”として毎回どんなゲストが来ても色あせない存在感を放つ糸村だが、今回そのシーンに限って言えば小さい福くんのあまりにも大きなオーラに、少しかすんでしまってさえいた。

これには上川も「共演者、スタッフ含め全員が福くんに完全にやられました」と語っていたが、オーバーな表現では決してなく、画面の向こう側の記者さえも完全に持っていかれてしまった。

余談だが、あまりにも引き込まれてしまい、思わず食べていたみそ汁が“塩(涙)汁”になるほど、号泣を禁じ得なかった彼の演技。上川も「どんな形であれいずれまた共演したい!」と絶賛するほどの役者・鈴木福。感動を飛び越えて、末恐ろしさすら感じる瞬間だった。

私たちの心に大きな“感動という名の遺留品”を残すのは、もしかすると彼の純粋な涙なのかもしれない。途中で遺留品を放棄せず、最後まで見ることを強くお勧めする。

ドラマスペシャル「遺留捜査」
5月17日(日)夜9:00-11:10
テレビ朝日系で放送

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