“芥川賞候補”又吉直樹「盗作じゃないですから…」

「芸人と俳人」出版イベントに登壇したピース・又吉直樹、堀本裕樹氏(写真左から)
  • 「芸人と俳人」出版イベントに登壇したピース・又吉直樹、堀本裕樹氏(写真左から)

自著「火花」(文藝春秋刊)が芥川賞候補になるなど、お笑い芸人としてでなく物書きとしても一流の才能を持つピース・又吉直樹が、気鋭の俳人・堀本裕樹氏に弟子入りし、徐々に俳句の面白さに開眼していく過程を収めた「芸人と俳人」(集英社刊)の刊行記念イベントが行われ、イベント前に二人が囲み取材に応じた。

「芸人と俳人」は、又吉にとって初めての俳句入門として「すばる」(集英社刊)の'12年10月号よりスタートさせたコラム連載をまとめたもの。最初は、俳句の創作について「恐ろしい」と語っていた又吉が、時に厳しく時に優しい堀本氏の指導を経て、独特なセンスを生かしながら成長していく過程が描かれている。

囲み取材に登場した又吉は「俳句は学生時代から興味があったんですが、言葉とかが理解できなかったんです。句集とかも買って読んでいたんですけど、半分以上分からなかったりして。だからこそ、いつか理解したいなとずっと思っていたんですよ。そんな中で2年ぐらい前にこのお話をいただいて、やらせてもらいました」と、俳句を始めた経緯を明かす。

又吉を指導した堀本氏は「俳句の基本、5・7・5や季語、俳句独特の“切字”を又吉さんにお伝えすることから指導は始まりました。でも本当に優秀な生徒さんで、先生役としてはすごく楽でした。吸収するのも早くて、1を言ったら10覚えるみたいな感じで」と持ち上げると、又吉は慌てて「イヤイヤそんなことないですよ」と恐縮した。

リポーターから「芸人と俳人」の中からお薦めの句を教えてくださいと聞かれ、又吉が悩んでいると、堀本氏が「消しゴムのがいいのでは?」と助言。又吉も「そうですね。あれ?でも、何でしたっけ?(笑)。えっと…」と、自分で作った句を言いよどむ。すかさず取材陣から「本当に作ったんですよね!?」と、いじわるなツッコミが入る一幕も。

しかし、又吉は冷静に「作りましたよ。盗作じゃないですから…。僕の実体験を基にしているので。単純に一字一句正確にお伝えしたいだけです」と熱弁。慌てた周囲のスタッフから、その句が書かれた紙を渡され、「ありました。発表します『爪切りと消ゴム競ふ絵双六』です」と、ホッとした様子で発表した。

また、又吉といえばつい先日「第153回芥川賞」へのノミネートが話題を集めたため、“文豪”又吉への質問が殺到。

ノミネートしたと聞いて「うれしいですけど、不安もありますよね。最初は『あっ、そうですか~』と思いました」と率直なリアクションを明かす。

ちなみに相方の綾部祐二は又吉がノミネートされたことを知らなかったようで、又吉は「綾部はネットニュースも読んでいなくて、夜中に自分の携帯電話を見ながら『俺の携帯、(情報更新)遅いんだよな。お前の記事本当に載ってるか?』って言われました」と、綾部の天然さを暴露した。

さらに記者から芥川賞を取る自信はあるのかと聞かれると「自信はないです。今は取れるかな、取られへんかなってことよりは、どういうふうに皆さんに読んでいただけるんだろうっていう怖さと期待がありますね」と、又吉らしく淡々と語った。

いろんな顔を持つ又吉。今後、芸人、小説家、俳人として忙しくなるが、配分については「割と考えたりするのは好きなんです。全然世に出ていない時から、朝まで起きていて何かやっていたりしたので。そんなに大きく生活は変わらないですよ。どれも楽しいですし」と力強く、“三足のわらじ”を宣言。

又吉は「でも、どれが向いているというとどうなんですかね。お笑いは16年くらいやっているんで、ネタを考える時もプレッシャーが少ないですし自由にできますしね。俳句や小説を考える方が大変ですね。慣れているか否かということもあるんでしょうけど」と率直に語った。

最後に、芥川賞を取りたいのかと聞かれ「もちろん取りたいです。でも、だからって『取りた~い!』とか叫べませんけど(笑)」と苦笑しながら野望を明かし、堀本氏も「本当に取ってほしいですね」と静かに応援した。

「芸人と俳人」
集英社より発売中

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